誰も正しくなく、誰も間違っていない
DVD版にてプレイ。
とにかく退廃的な雰囲気でとんでもない事件など起こらないし奇跡も魔法もない、ただ流れていく退屈な日々に苦悩し葛藤し、結果何の解決もしない。そういう作品。エロゲとは思えないほどの生々しい世界観で、この作品は基本的に性欲と登場人物の心情によってしか話が動かない。人によっては退屈に感じるかもしれないが、日々生きずらさや生きていることへの違和感を感じている人にはとても刺さると思う。
主人公は欲に忠実であり偽悪的に振舞っている節があるが根は誠実なため嘘をつけない。欲のために嘘をつけば良いだけの場面でも馬鹿正直に考え込んでしまう。そういう不器用さがとても共感出来たしヒロイン達もそういう部分に惹かれるのだろうという納得感があった。
どのルートも真っ当なハッピーエンドではないがバッドエンドでもない。言ってしまえば全て気の持ちようでしかないのだけど、「それは永遠でなく、真実でなく、ただそこにあるだけの想い……」というテーマをそれぞれ別の形で表現した秀逸なものでオチは全ルート良い。
演出もEDの入り方も最高。システム面も2003年のゲームと考えるとかなり快適で、不満はバックログ機能がなく読み直しのための巻き戻ししかないことくらい。あと個人的には主人公の名前はデフォルトネームでもヒロイン達が呼んでくれないのが不満だった。主人公の名前が出る箇所だけ不自然にボイスが抜けてるので没入感を削がれた。
他に書いてる人があまり居ないが個人的には攻略順に注意した方が良いと感じた。榊しのぶルートは絶対透子ルート後にやった方が良い。
プレイした順は須磨寺→明日菜→真帆→しのぶ→透子で
オススメの順は透子→しのぶ→真帆→明日菜→須磨寺
完全に順番ミスりました^^; 正直透子の次しのぶ以外はある程度自由でいいと思う。真帆で終わると流石にあっさりし過ぎなので須磨寺か明日菜、しのぶで終わるのもアリ。
ルートとしてもヒロインとしても明日菜が一番好きだった。
中古価格が上がり続けているので購入検討してる人は早めの購入がオススメ。