システムに注目が集まりやすいのは無理もない。とても均整の取れたRPGに仕上がっていると思う。だけど、本当に注目すべきは「ディル=リフィーナ」という架空世界。キャラクターのエピソードを掘り下げず、世界観から掘り下げていく。壮大なファンタジードラマの嚆矢はそこにある。
『幻燐の姫将軍』からの明確な志向性、広大な世界設定、作品のリンク。回を追うごとに、重厚になっていく「ディル=リフィーナ」世界の嚆矢的な存在。地理的な広がりを見た。私の評価は著しく高い。
◆システム◆
何よりもやり込める。コンシューマの『ファイアーエムブレム』や『ティアリングサーガ』といったコンシューマの名作と比較しても、なんら見劣りしないことが大きな強み。お気に入りのキャラクターを育て上げる喜びは何物にも代えがたい。難易度も絶妙。
◆シナリオ◆
軍記物としては力作。編年的に物語するため、ヒロインのサブイベントに欠ける。心の機微を描けておらず、主人公とヒロインの距離が分かりにくいのが難点。とは言え、登場人物の数を鑑みれば、決して雑な仕事とは言えないはず。
それよりも、ディル=リフィーナの地理的拡散に、このシナリオは多大な役割を果たした。この世界がキャラクターを産み落としたのであり、キャラクターが自然発生したのではない。そう言えるほど、緻密で魅力的な世界が広がっている。
◆エッチ◆
「濃密なエッチシーン」とOHPでも謳っているように、シーン回想は当時としては相当なもの。尺はそんなに長くないが、不特定多数のユーザーの嗜好に答えられるよう、色々な属性のキャラを用意している。この時代にして、この数は合格点。
◆音楽◆
オープニング曲はなかなか。全体的に見ても、及第点を与えられる。
◆総評◆
非常に完成度が高く、エロゲーRPGの入門として良好だ。操作性に時代を感じるが、全体的に見ても、現代のゲームとして通用する。世界観の広がりについて、いま一度再評価を促したい。
【雑談】
今までは、明らかにコンシューマのほうがゲーム性では優れていました。しかし、今やその幅は狭まりつつあります。コンシューマとエロゲーのゲーム性の溝を埋める事は、業界にとっても損ではないはずですから、少し目線を上げてやる必要があるのかもしれません。