刺さる人には刺さるSМフルプラ作品の雄。ファンディスクなのだが、そんなことすら忘れてしまうぶっ飛び具合がここにある。今後のブラッシュアップは必要だが、作品の良さをに残しつつ、性癖特化路線をこのまま究めていってほしい。
シリーズ最初の『てにおはっ!』から、このブランド特有の性癖には一目置いていた。そして、いざ今作をプレイしてみると、「あっ、やっぱりこっちに行っちゃったか~!」と半ば安心するくらい突き抜けていた。このブレなさ……流石である。
回想は56。その殆どが一般受けしないハードコアなシーンというのが凄い。シーン中は常に下品な音声が飛び交い、アナルセックスをさも当たり前のように猛然とこなすし、ペニバン逆アナルすら行う。それに加え、鼻フックで女の子の顔を平気で歪ませたり、腹コキしてお互いにフルバーストしたりもする。サブヒロインの中にはニプルファックをプレイの軸に持ってくるなど、玄人でも面食らうシチュエーションがある。以前もこのブランドで同じ場面を見た気がするが、私は依然としてそれを理解できる域には達していないようだ。この時点で人を選ぶのは言うまでもない。なお、アナル過多であっても安易にスカまで行かないのは、SМ関係そのものに重点を置いているように見受けられる。その点は大変よろしい。
さて、抜きゲーでは、実用性はもろちん、ボイスと画風の相性を重視したいところだ。その点も声については何ら不安がない。日常シーンが記憶に残らないほど、ヒロインはアヘ声を頻発させる。とくに、萌えゲーによく出ている鹿野まなかさんを起用している点は、個人的な驚きを隠せない。これまでは、『ナツイロココロログ』における可愛い系のイメージがあったため、大変なギャップがあった。前作も出演こそしていたが、そういったシーンがなかったため、これは嬉しい誤算である。
声優陣の熱演に応えるかのように、画風はいたく官能的に仕上がっている。“このテキスト&ボイスにして、このイラストあり”というわけである。どのヒロインも乳(乳首)と下半身がエロの権化なので、ボイスとあわせると威力倍増。貧乳であっても乳首がエロい。アマクラさんは割と可愛い系寄りの一枚を描ける画風にもかかわらず、ヒロインが誰にも見せられない情けないメス顔になってしまうので、抜きどころには事欠かない。やや舌の色を気にしてしまうCGがあったが、下品なシチュエーションには大変相性のいい絵柄だと思う。なお、抜きゲーでお馴染みの断面図は一切ないが、これは描いてくれた方が嬉しかった。
一方で作品の問題点を挙げるとすれば、SとМのシチュエーションが闇鍋状態ということだろうか。SМの傾向として愛実はS多め、ひなたは中庸、彩寧はМ多めという一定の割合があるように見受けられるが、それぞれのヒロインがSになったりМになったりと豊かな表情を見せるのも、作品の特徴として挙げられる。ボリュームというのは大切な要素であるが、こと抜きゲーにおいて、対立する嗜好の共存は諸刃の剣に成りうる。両極端なシチュエーションが混在しているため、片方の嗜好だけを持ったプレイヤーは作品をフルに楽しみにくいのだ。性癖にも色々あるのはご存じだと思うが、如何せん“受け”と“攻め”を一貫して追求するのが難しくなってしまった。
もし、意図して交代プレイのゾクゾク感を描きたいのであれば、やり方がないこともない。Tinkle Positionがよく実装していたように、ヒロイン視点での回想があれば、また一風変わった感覚を味わえただろう。とは言え分量の都合もあるだろうから、シチュエーションに応じて作品を分割したり、ヒロインごとにプレイを特化させるのも、決して悪い選択肢ではなかったように思われる。
これは初代からずっと指摘されている事なので、そろそろどちらかに絞ったほうがいいだろう。私が思うに、逆アナルをはじめとするドМプレイは男が画面に入りやすいから、男性に忌避されやすい傾向にある。また、ライバルの一つであろうSМ系のバイノーラル音声作品が近年М過多という点に鑑みれば、ここは一つ、Sに特化した方がユーザーの支持が得られやすいように思う。
このように、相当にニッチな作品なのは否めないが、ぶっ飛び具合からして性癖開拓にはお勧めの一本。割とエロゲーに慣れている人は、興味が出てきた頃に、このブランドの作品を手に取ってほしい……戻れなくなっても責任は持てないが。
【雑記】
本編の4Pを超えるシチュがなかったのは少し残念でした。
声優さんは本当にお疲れ様でした。是非ご自身の喉を労わって、今後も出演していただきたいです。