可愛い系の絵柄では珍しく、何気にHシーン回想数の多い優秀な萌え抜きゲー。シナリオの薄っぺらさは冒頭で把握できるため、合わない人はストーリーをある程度流し読みしてほしい。実用性は高い。
本作は抜きゲーだ。だから、「抜き寄り」の評価をしたい。
まず、天草帳さんの描くキャラクターたちは誰もが可愛く、アヘ顔やトロ顔もあって実に卑猥。体位や構図も豊富で、メインヒロイン一人につき回想数は11。色々なシチュエーションやプレイを楽しめるだろう。サブキャラとの絡みも割とマニアックで、三人ともお尻をヤラれるし、レズ風のシーンもあるので総じて濃い。メインヒロインそっちのけで、こんがりギャルの麻姫を気に入る人もいるだろう。先生も悪くないチョイスだ。
Hシーンの特徴としては、主にヒロインが憑依を受けた状態での絡みが描かれており表情の変化が豊かだ。オーラルセックスの数が他の抜きゲーと比べると割合多くを占めているが、本番もヒロインごとに複数回あるので、実用性に不安はない。むしろ特異なシーンの方が多く、発情状態にある女の子の卑猥な感情がうまくシチュエーションに生かされている。どうしようもなく身体の火照った女の子に対して、主人公が分身して2+2本挿しなんて非現実的なシーンもあるし、「ドスケベ2重奏」や「コンデンスザーメンミルク」などといった思わず二度見してしまうような造語もある。抜きゲーとして見ても、人によっては突き抜けっぷりに付いていけないのかもしれないが、可愛いヒロインが下品な言葉を連発するからこそ、私はこの作品に価値があると思っている。女の子がイキまくる抜きゲーはやはり素晴らしい。
だから、ストーリーには目を瞑ってほしい。「遅刻!遅刻!」などと呟きながら、器用にパンをくわえて駆けてくるヒロインと通学路でぶつかる……そんなハプニングは、「エロゲーではよくあること」と昔から言われてきた。それでも、実際にそんなゲームとお目にかかる機会はぐんと減ってきたように思うのだが、この作品のオープニングでは、なんと主人公が「パンをくわえたヒロイン」と「二又の道でぶつかる」のである。その上で、主人公がそんな天文学的確率な遭遇を幾度となく経験してきたことを独白するし、作中で何度もぶつかってストーリーを流していくのだから、もうこの時点でストーリーレベルはお察しである。読んでいられないほど理解不能ではないが、すごく楽しいギャグゲーでもない。ストーリーに感化されるなどもってのほかだ。しかしながら、そもそもこの作品は抜きゲーなのだから、実用性に上乗せしてストーリーに対して何かを求めることが、最初から禁物だったのではないだろうか。合う人に合えばいい……これからプレイする人は、その程度の内容と考えるべきだ。
話を戻すと、萌え抜きゲーとしては高水準だと言える。上質なエロボイスが完全無修正というのもプラスに働くだろう。声は総じて違和感がない。エロテキストの卑猥さは、この手の絵の抜きゲーとしては、トップクラスではないかと思う。なお、射精カウンターがあればもっと良かったのかもしれないが、個人的な拘りがない部分なので、ここでは評価を下げていない。他の萌エロゲーの回想数の実状を考えると、こういう可愛い系の抜きゲーというのは未だに貴重だし、シーン数のボリュームも含め、実用性に富んでいる萌え抜きゲーとして評価したいところだ。
ストーリーは一度きりの場合もあるが、Hシーンは“何度も使える”のである。
【雑記】
実は部活動モノでもあるんですが、そのうち忘れてしまう人が多そうです。パッケージに描かれた巫女要素はさほど強くないので、その点は注意してください。