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AtoraさんのRe;Lord ~ヘルフォルトの魔女とぬいぐるみ~の長文感想

ユーザー
Atora
ゲーム
Re;Lord ~ヘルフォルトの魔女とぬいぐるみ~
ブランド
Escu:de
得点
75
参照数
1099

一言コメント

テトリス風陣取りSLG+脱衣バトル。トリッキーなゲームを作ってきたエスクードならではの、今までにありそうでなかったタイプのエロゲーだと思う。 ボリュームが足りず小作の感は拭えないものの、新感覚の脱衣エロゲーとして一定の評価を下せる佳作。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 エロゲー版テトリス風陣取りSLG+脱衣バトル。「何が王道だ!」とパッケージのジャンルを見て嘯いたとおり、
案の定トリッキーな内容。歯ごたえがありつつもサクサクと。実に巧者エスクードらしい作品に仕上がりつつある。


【SLGパート】
 変則的なテトリスで陣取りをしているという感覚。一定の陣地があり、ブロックを使って進軍していく仕様。ターン制限があるが、魔女にわざと負けたり、隠し陣地を全て取ろうなどと意気込まない限り、シビアに感じることはない。ひょっとしたら、ユーザーは全ての陣地をブロックで埋めたいと思うかもしれない。そして、それが叶った時の達成感はひとしおである。

 テトリスで4段一気に消すことを「テトリス」と言う。最高にキモチいい。リロードのブロックシステムは、これとよく似ている。テトリスにて「棒が来ない、棒が来ない」と嘆くのはよく見られる光景だ。対してリロードはいつでも好きなときに好きな形のブロックを計画的に使うことができる。テトリスのように消える爽快性に欠けるぶん、代わりといってはなんだが、フラストレーションもほぼ溜まらないというわけだ。

 もちろん、ブロックの使用回数には制限がある。自由に使えたらゲームにならない。だが、バトルパートでのドロップ品や予め陣地に設置されているオブジェクトから、ブロックの入手が容易にできる。テトリスのような「在庫切れ」に陥ることもなく、悠々と熟考しながら陣地を築いていける。また、別にブロックは4つの固まりというわけではなくて、[■■]のようなものもあるし、[■■■]のようなものもある。変則的なものになると、

■            ■         ■
■■■    や     ■   や    ■■
■          ■■■         ■■

といったものまで存在する。基本的には2~4ピースを中心に進軍していくことになるので、こういった5ピースものは使いどころが限られる。変則的なだけに、ぴったりはまる場所を見つけたときの気持ちよさは何物にも代えがたい。テトリスを偶発的な快感を得られるゲームとするならば、こちらは計画的な快感を得られるゲームだと言える。

 SLG自体の難易度設定は低め。陣地をできるだけ取ろうとしたりすると、たった一度の敗北が命取りになることもある。困難に立ち向かいたいなら、無理すればよい。
 ボリューム自体は丁度いい……というよりも、根本的なシステムとストーリーが、長く遊ばせるように仕向けられた類ではないのだろう。テトリスを数十時間も続けたいとは思わない。それと同じで、ダレないうちに見切りをつけて正しいゲームだと思う。


【バトルパート】
 『あかときっ』からの進化系。画面はそのままに、グラフィックに“攻撃”することで実際に脱げる&倒せるを実現している。これまで、ありそうでなかったタイプの脱衣ゲームだ。つい先日、PSVで『限界凸記モエロクロニクル』が発売されたばかりだが、画面内で実際に脱がすゲームが最近のブームらしい。ブロック崩しは別にしても、脱衣ゲームというのは昔からご褒美CGありきという感じだった。それが商業ベースのRPGやSLGの戦闘画面にまで侵食してくるとなると、形を変えて復権を果たしたように思えてくる。
 それはさておき、本作のバトルシステムはそこそこ練られており素晴らしい。実際に部位破壊をして敵を倒すことで、着衣エッチに繋がったり全裸エッチに繋がったりする。バトルその後にまで脱がし方が後の展開に影響するのだから、紳士諸君の入れ込みようは並々ならぬものがあるだろう。魔法の切り替えや防御もマウスひとつで行えるので、お手軽に楽しめること請け合いだ。もし敵との戦闘でミスしても、致命的な負けでない限り、ゲームオーバーには繋がらない安心仕様。幅広いユーザーが手に取りやすい良設計だと思う。
 ただし、ジャストガードのシステムや敵のルーチンには若干改善の余地がある。防御判定のタイミング云々以前に、結構な頻度でマウス連打で防げるからだ。


【総評】
 たしかに短さの募る小作ではあるものの、そもそものシステムにさほど強度がないと鑑みるに、むしろ小作であることに意義があると思う。決して主役を張れないタイプで、トリッキーな役回りをしがちなエスクードらしい作品と言えよう。
 ただ、続編ものにするにしても最低限告知はしておくべきだった。それで批判を食らうことはこの内容から言って考えにくい。大作にしたらしたで、ダレ&作業性が高まるのは想像に難くないからだ。その両天秤で迷うにしろ、やはり告知はすべきだった。結果的に分割したからには、さらなるブラッシュアップを期待したい。


【雑記】
 ダリウス、俺と代われ。