優等生ほど長所が見えにくい。
どこの学校にも必ずと言っていいほど、通信簿の評価が4か5ばかりという優秀な生徒がいる。
テストを受ければ殆どが学内トップレベル。100点、または100点に限りなく近い点数を取り、
副教科も万能の成績を収める。担任としてはさぞ鼻が高いことだろう。
平均点を見ても彼らの学業成績が突出していることは明らかで、どんな人から見てもケチのつけようなど無いはずである。
しかし、あまりにテストの成績が良すぎて、彼ら自身の得意教科は点数を見ただけでは分からない。
なんとも贅沢な悩みではあるが、優秀がゆえの器用貧乏さが、時としてその飛翔を妨げることもある。
この作品もそんな苦悩を抱えている。
肉感的でありつつもキュートで質の高い絵柄。
センス溢れる衣装の数々。
抜きゲーとしての要諦に足る十分な回想数。
技巧的な声優陣の艶やかな演技。
ハーレム状態のエロゲにありがちな好青年。
ハプニングを多く取り入れたエロ無しの共通ルート。
かたや本番時のエロさ際立つ個別ルートという王道的構成。
そして、読み応えもヌキ応えもある隠しシナリオ。
それらの個々のレベルは高くとも、その集合体の力点が何処かと言われれば答えに窮する。
「全体は部分の総和ではない」とよく言うが、我々の満足度と照らし合わせたとき、
総和以下の能力しか発揮できていないのは気のせいか。
満遍なく高得点を満たせる能力は素晴らしい。
ただ、胸を張って得意教科と言えるカテゴリを作ってほしい。
100点未満にしか見えない100点という矛盾。優等生とは罪なものである。
【雑記】
『プリマ☆ステラ』→『えれくと!』→『あおぞらストライプ』という流れが、
脈々と受け継がれているように感じました。