でぼの巣製作所の進歩の無さを体現した一作。IZUMOの頃から微動だにしなくなった、工夫なきシステムは健在。画集としての存在価値くらいしか認められない駄作。
ロートル感溢れる一作。2000年代前半ならば目を瞑れるシナリオと質。コンスタントに作品をリリースできる強
みは認めたいが、肝心の質は低価格ブランドのそれと同等。リスクを承知で、その生産性の高さを大作に賭ける
気概を見せていただきたいものだ。
【シナリオ】
20章を超える長編モノではあるのだが、実のない蜜柑のように中身はスカスカ。ギャグ色が濃い割にさっくりと
終わってくれず、ずいぶんと胴長な印象を受ける。ラノベテイストのライトな内容でありながら、プレイ時間は相当
なもの。間延びした印象すら伺える。
一つの章は、AVGとACTから成っている。その合間合間にご褒美的な要素としてエロシーンを挟むのは、相変
わらずのでぼのす風味。この構成もいささか苔生した感すらある。根本的に変化しない絵柄と併せると、より一
層保守的な要素が際立ってしまう。ACTパートによる一時停止がもどかしい。
【システム】
出来がさほどよろしくない。コマンドを入力せずにボタン一つで必殺技なりコンボ(チェインシステム)なりを放つ
のはまだしも、ダッシュや回避アクションでもキーを一つ潰されるのは地味に痛い。スキルが増えてくると、あれ
もこれもとなりがちなのがこの手のゲームの悩みどころではあるが、やはり基本的な移動コマンドについては、カ
ーソルキー連続押しなどで対応したいところ。それができないのは致命的だ。
シンプルな戦闘の割に、操作は意外にも煩雑でやりにくいことこの上ない。デモムービーのように華麗な戦い
方をするには、少々の根気と工夫が要るようだ。周回しようにも、この程度の錬度ではやる気が削がれるというも
のである。
そもそも操作自体が完全にビギナー向けとあって、やりこみ要素もほとんどない。設定を間違わなければコンボ
はほぼ自動で繋がるし、レベルが足りずに詰まるといった現象も見られない。実に親切すぎるゲームなのだ。私
個人の経験からすると、類似したシステムを積んだ『DUEL SAVIOR』のほうが質が高いと断言する。 横スクロ
ールアクションとしての面白さ&完成度は、必ずしも高いレベルとは言いがたい。
このゲームをプレイしたいと思えるような魅力が、とくにシステム面において欠けている。これは、ことACTゲームにとっては致命的な失点だ。フルプライスを支払うのは、いくらなんでもハイリスクに過ぎる一作である。
【雑記】
スライム系に回復能力がある上、ちょこまかと動いて地味に強いんです。うざったらしいことこの上ないです。