青春は理屈じゃない。行動で示す必要がある。
キャラゲーにはキャラゲーの良さがある、とはよく言うが、この作品は設定上、もっとシナリオに力を入れるべきだった。青春を題材に用いているものの、迸る熱気や直線的な思い、行動が足りていない。理屈は不要だが、理解は必要だと思う。
◆シナリオ◆
いくら気持ちが入っていても、行動も言動も伴っていなければ、どんな偉人にも人はついていかない。口先だけの人物は、いつの時代もペテン師かほら吹き扱い。大衆には理解されにくいものである。主人公にとって「ロケットはいいもの」なのかもしれないが、その良さを彼が具体的に語らないのは問題だ。かといって、理知的な行動を取るわけでもないので、単に我侭を通しているだけのように映る。信念と我侭は似て非なるもの。同じまっすぐな行動でも、ライターがそこを履き違えているため、主人公の立ち回りが酷く滑稽に映る。
ロケットを飛ばしたいのは理解できるが、それをどうやって作っているのか、どういう造形なのかがまったく伝わってこない。具体的なところを大味に描いている。こちらとしても、なかなかイメージが湧きにくい。時間が経てば、ロケットが完成に近づくのは当たり前。その過程で起こりうるトラブル、心的描写、心の成長がきちんと描かれてこそ、青春モノとしての役割を全うできるのではなかろうか。この程度の内容では、主人公との一体感を得られない。
舞台設定や人物設定は面白く、伸びしろもあるように見える。だが、結果的にそれらを活かしきれてない。外面的な面白さが、内面にまで十分に浸透しきっていない。それこそが一番の問題である。
◆グラフィック、演出◆
トゥインクの造形が白眉。探査機モードよりも、通常モードのほうが好き。健康的なエロス、小動物的なかわいさ、ほんの少しのミステリアス。不思議と惹かれてしまう。赤面しているトゥインクのCGがお気に入り。
個人的には、織澤あきふみ・osa・くらはのお三方には、是非ともチームを組み続けていただきたいところ。結局、キャラクターを生かすも殺すもライター次第なのだということを、嫌でも思い知ることになってしまった。
◆キャラクター◆
トゥインクに尽きる。このレビューを書いている時点では、今年度マイベストオブヒロイン。声のチョイスもばっちり。制服もどことなく近未来的。クリエイター陣はセンスの塊なのだろう。それだけに、シナリオが足を引っ張ったのは致命的だった。
◆エロ◆
何気に全裸シチュが多い。個人的には、こういうストレートなのは嬉しい。実用度は下の上から中の下といった
ところで、必ずしも高くはない。
◆サウンド・ヴォイス◆
声があってないキャラは皆無。妥当な人選だと思われる。音楽は並。
◆総評◆
いつものアクセントに比べて、イチャラブは抑え目。ドタバタ成分は、『おたマ』に持っていかれたとあって、新規ユーザーの取り込みには少々苦労しそうな一作である。既存のアクセント作品よりも、掘り下げる部分を見誤った気がしてならない。パンチ力に欠けている。
やはりシナリオに難がありすぎるのがネック。鳥の目、魚の目を持ちながら、虫の目を持たぬライターらしい仕事。ミクロな部分を追いきれていない。トゥインクという、取り分け優れたビジュアルを持つキャラクターを擁していながら、世界観や小道具に深入りせず表層をなぞるだけとあって、私の落胆もかなり大きかった。主人公の気持ちが空回りし、青春という好材料をみすみす無駄にしている。もったいない。ビジュアル面は優れているだけに、あとはライター次第。いかにして読ませるかが、今後の作品を作るうえでの課題と言えるだろう。
【雑談】
トゥインクは本当にロリホイホイですね。