おっぱいエクスプローラー……? いや、このゲームはおっぱいを探求するためだけの作品ではない。なんたって、このゲームの正体は「ちっぱい☆エクスプローラー」でもあるのだから。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ○ ちょっと大雑把な感が残る。
グラフィック☆ 御敷仁(黒ノ御神籤)さんの萌えぷにっとした絵が好きなら是非。エロい。
エッチ☆ 抜けるか抜けないかの二択なら、間違いなく抜けると言えるえろの濃さ。
サウンド・ボイス★ 声に関しては、これ以上ない人選だろう。代役が貫禄を出しきった。
ゲームシステム★ 使いやすいシステム。次の選択肢に飛べる仕様は嬉しい。
クロシェットのいいところ。
それは、ユーザーが「できる限り、いずれのヒロインも嫌いにならない」よう細やかな配慮を加えつつ、物語が構築されていることだと思います。物語を読み進める上で非常に重要なファクターは、テキストを追い続けてもストレスを溜めないことです。その点に関しては、この『カミカゼ☆エクスプローラー!』でも例によって例のごとく、見事に体現されていました。プレイしていてすごく楽しかったですし、どのルートにおいても、いちゃラブを堪能させていただきました。
当初は、変に穿った見方をせず単純にキャラ萌えだけを期待していれば、順当な評価を得られる作品かと思っていました。しかし、どうやら自分はタカをくくりすぎていたようです。このゲームの真髄は、乳の繰り合いにあったのです。「とりあえずおっぱい星人ならやっとけ」と思わせるロケットボイーンやバズーカボイーンを堪能できるえろシーンの数々は、今までのどのクロシェット作品よりも淫猥な雰囲気に満ちていました。仮におっぱい星人でなくとも、ワイ語盛りだくさんの濃いえっちを目の当たりにすれば、誰もがクロシェットの「突き抜け具合」を感じ取ることができるはずです。
そしてなんと言っても、うさぴょんこと宇佐美沙織は、救いようのない変態路線を我が物顔で驀進しておりまして、ちっぱい党にもたまらない作品となっています。これには、初代シリアナード・レイである誰かさんも背筋を凍らせているのが容易に想像できるというものです。
シナリオの分析、評価、雑感などをつらつらと。考察を加えているわけではないので、読むのが面倒という方は、飛ばしていただいたほうがいいでしょう。
◆姫川風花◆
どう見てもぽわぽわ代表。
クロシェットのヒロイン一番手というと、集合写真の中央にいながら一歩引いている「自己主張の薄さ」が気がかりでした。「スズノネセブン!!」の仁乃にしろ、「あまつみそらに!」の神奈にしろ、他のヒロインのインパクトにうち勝てていなかったように思うのです。とくに神奈は妹の美唯のキャラクターが強すぎて、どことなく窮屈な思いをしているように感じられたほどです。この作品でも、女の子キャラクターは、サブキャラも含め一癖も二癖もある曲者ぞろいです。そんな中で、「中央でババーンと」(店頭デモの琴羽がそんなことを言ってました)手を拡げてらっしゃる風花嬢はどうなることやらと心配しておりましたが、彼女にいたってはそんな心配とは無縁でした。
冒頭からコロコロと表情や仕草が変わるので、発売前の立ち絵情報からは全く想像できないほど、キャラクターが活き活きとして見えました。立ち絵の上目遣いの表情や、指を立てる所作には思わずグッとくることでしょう。かくいう私も、冒頭で一気に引き込まれてしまいました。性格的に控えめではあるものの、時に強い自己主張を行い、芯の強さを表に出してくれます。ここらへんが彼女の魅力なのです。変化に富んだ立ち絵差分の恩恵に浴したおかげで、プレイ前とはまるで違うキャラクターのように見えました。
個別ルートに入ると、途端にアマアマなカップルのできあがり。風花自身がえっちな自分を意識していく流れがあり、実際、えっちはかなり濃いです。恋人以前の風花も魅力的ですが、恋人その後はかわいさ3割増し(体感的に)になってました。結局のところ、いちゃラブをどれだけ楽しめるかが評価のポイントだと思います。物語の本筋自体は、いちゃラブとはかけ離れたところにあるんですが、シナリオ自体が面白いかと問われれば、必ずしも首を縦に振れないのが、ファンとして少々辛いところです。これはどのヒロインにも言えることで、いちゃラブの描写に較べると、本筋の展開はいくらかランクダウンしてしまいます。つまらないというわけではないんです。攻略する順番によって、展開が二度塗りになっているところがある。それが問題なんです。
シナリオはさておき、鮎川ひなたさんの演技は風花のイメージにぴったり。物語を読み進めるうちに、感情移入してしまいました。個人的には、最も惹かれたキャラクターでしたね。
◆沖原琴羽◆
おっぱいオブおっぱいオブおっぱいオブおっぱい。まさに澄之江が誇るおっぱいクイーン。とにかく、そのロケットボイーンのインパクトに、視覚的に圧殺されそうになりました。腕を組んだ立ち絵が強調すべきものをしっかりと強調してて、プレイ開始直後はかなり凶悪な果実に見えます。意図的な立ち絵だと思いますが、威力がすさまじいです。「でも、ぶっちゃけスズノネの美奈都と大差ないよね」と言われればそれまでなんですが、なまじ他のヒロインも立派なものをお持ちなので、どうしてもえっちシーンに期待せずにはいられないキャラクターでした。なかでも、その“きょ(だいお)っぱい”を活かした騎乗位エロは必見です。ライターさん分かってらっしゃる。
ただ、シナリオは、あまり褒められたものではありません。個別ルートへの展開がかなり強引で、恋人その後の物語がなかなか核心を衝いてくれないんです。これには、かなり不満が残りました。なので、完全にいちゃラブと割り切らなければ、読めたものではないでしょう。とにもかくにも、いちゃラブしてますね、青春してますねって感じの面映い恋愛劇でした。エレガントな琴羽が照れた時などは例にもれず、いたるところで“琴羽=かわいい”を連発しており、ライターさんの心情が意図せずしてダダ漏れになっているようで、ちょっとやりすぎな感もあります。
また、琴羽の善人ぶりは風花ルートでも見受けられ、嫌いになれない人格者という扱いでした。シナリオの具体的な内容に関しては、ここではあえて割愛します。ネタがタイムリーすぎて、発売時期の悪さが悔やまれるところです(時が経てば、書き直すこともあるでしょう)
その分と言ってはなんですが、エッチシーンの事を少し書いてみます。これは美汐や風花にも言えることなんですが、琴羽の孕ませ願望の強さには思わず面喰ってしまいました。クロシェットは、それなりに濃い萌えエロを取り揃えているブランドという認識がありました。「うわぁ、萌えゲーなのに濃いなあ」という印象は、実はこの作品をプレイする前からあったんです。ところが、この作品ではそれが一気に濃くなった。琴羽や後で書く美汐のように、強烈な孕ませ願望を持ったヒロインが出てきてしまった……いや、ものすごい違和感を感じましたね。今までのクロシェットからすると、群を抜いて濃い性描写が特徴的と言えましょう。それはもう、「幼馴染み補正のような隠しエロエロパラメーターでもあるのか」と邪推してしまうくらいです。しかも、漏れなくワイ語まで飛び交う始末。前の作品をやってたらびっくりしますよ、きっと。いずれにしろ、これらの要素が慶司(変態ver)の嗜虐心をくすぐっているのは間違いなく、琴羽のえっちシーンは、ロケットおっぱいも手伝って、変態チックかつ甘い空間をうまく創出していると思います。
さて、声を担当した五行なずなさんというと、『ましろ色シンフォニー』の瀬名愛理を思い出してしまいます。自分の信念に基づいてサバサバと行動していながら、ちょっと抜けたところがあるツンデレ風味のキャラクター。五行さんの声は、まさに琴羽のイメージどおりでした。独白に関しても演技力が光ります。上に書いたような、エッチシーンではМっ気が強くなる点もいいですね。
◆祐天寺美汐◆
初恋の王子様がふとした事で過去の一件を思い出し、雪崩式に恋愛に発展するという、いかにもエロゲらしいハッピーストーリーです。王道と言えば王道なのですが、これも琴羽と同様で共通ルートからの展開が性急すぎる感じがしました。自分の中では、このルートの評価は高くありません。
シナリオが最もファンタジックに味つけされており、大風呂敷を畳もうと焦っている印象が拭えませんでした。ラストの展開はかなり強引でした。なんとか畳んではおりますが、綺麗ではありません。個別ルートは、琴羽以上に結ばれる過程の端折り具合が気になりました。伏線となる過去の事件は、乙女が恋する理由づけとしてはあまりにも弱すぎるのです。
とは言え、疑似二重人格を地で行くギャップの激しさは見もの。「素の美汐」と「自分を演じている美汐」は、それぞれに魅力がありました。化けの皮の剥がれた後のいちゃラブは、なかなかの破壊力を秘めています。共通ルートや他のルートでもそうなんですが、美汐のダメかわいさは彼女特有のチャームポイントとなっていました。
それだけにもったいない。「えっちシーンでは、裏人格となってしまったタカビーなお嬢様が全く出てこない」のが……何度プレイしても、実に惜しい気がします。主人公がヒロインに愛される側に徹してしまうのも、いちゃラブゲーとしては正しい姿ではあると思うんですが、せっかくの好素材を転がしたままにしている気がします。ひょっとしたら、FDで回収されるのかもしれませんが。
青山ゆかりさんのヴォイスには、さすがに耳が慣れました。裏と表の切り替えが洗練されていて、これは妥当な人選でしょう。
◆速瀬まなみ◆
妹にプラスして“ロリ巨乳”という、クロシェット唯一のレア属性をお持ちのマイシスターです。お兄ちゃんラブひとすじに生きる彼女のメティスは、貫く者の意である「ペネトレイター」。そんな直線的なまなみらしく、シナリオも最初から最後まで突き抜けていました。最後なんてワープ能力まがいのメティスですから、その思いの丈は尋常ではありません。
「ただひたすらに想いをこめて、ただひたすらに願いをこめて」
(本編より)
常日頃、お兄ちゃんラブの妹に対し、この世界では倫理や道徳の壁なんてあってないようなものでした。それどころか、速瀬兄妹はその背徳感をカンフル剤にしてしまうほどのラブラブっぷり。いやはや、お見それしました。
恋愛に対する主人公のスタイルは、このシナリオで明らかにされます。理性を働かせて否定的に語った途端に、このシナリオは空虚なものと化すでしょう。明らかな近親相姦なのに、疑義を挟むのが野暮に思えました。クロシェットの妹は、何がなんでも「一におにいちゃん、二におにいちゃん、三四がなくて五におにいちゃん」ですから、いちゃラブ要素はことのほか高く、妹フリークにとってはたまらない一編であること請け合いです。すぐにまなみの虜になる方もいらっしゃると思います。
そして、演じたヒマリさんには脱帽の一言です。スズノネの仁乃で魅せたオロオロとしたキャラクターもそれはそれでよかったんですが、まなみは声とのシンクロという点ではその上を行きます。とにかく耳が幸せでした。
◆宇佐美沙織◆
巷では“おっぱい☆エクスプローラー”と囁かれている本作ですが、必ずしもそうじゃないと思います。この作品は、おっぱいではなく、ちっぱいを探求してこそ、エクスプローラーと言えましょう。
さて、「木は森の中に隠せ」という格言もあるように、ちっぱいはでかぱいの中に隠すと、より一層際立ちます。8個のきょぬーに囲まれて、ただでさえそのちっぱいを目立たせている彼女ですが、それに上乗せしてあなぅー担当という重責を担っているというへんた……いえ、良心っぷり。彼女の名誉を守るために、心苦しくはありますが、最も性的嗜好にぶっ飛んだヒロインだと断言しておきましょう。
ところで、ちっぱいちっぱいと繰り返してますが、決して沙織はちっぱいではありません。相対的にちっぱいだけです。ぺたんチズムを極めんとするロリコン諸兄には気の毒ですが。
物語は、他のヒロインと比べるとアルゴノート部分の外枠に位置しておりまして、それだけに物語を包む風呂敷の一つでもあります。読み物としての観点から言うと、このルートはデザートに取っておいたほうがいいでしょう。恋愛描写については比較的段階を踏んでいて、小恥ずかしいいちゃラブの過程を味わえます。他のヒロインたちは、誰かが背中を押せばすぐにでも“つがい”になれるほど好感度が飽和状態なので、いちゃラブ展開がややスピーディーに感じられます。これに対し、沙織の場合はそれとはまったく正反対の立ち位置から始まるので、恋人関係に至るまでの描写が恐ろしく丁寧です。その反面、後述するえちぃが斜め45℃ほど見事にぶっ飛んでおり、突っ込みどころも満載となっております(まなみの立ち位置はあまりにも特殊。タブーすぎます)
これまで取り上げたヒロインすべて、いい意味で何かしら変態じみたところが数多くあったんですが、それにも増して、濡れ場で最も人格が変わってしまうのは間違いなくうさぴょんです。初体験があなぅーというのはクロシェットヒロインズでは初の試み(記憶が確かなら)ですし、キスはダメで○○○○(自粛)はいいなどと言われたら、もうエロゲー男子は脳だけを異次元にトリップさせたかのような、とにかくものすごい邪なピンクくるくる電波を一身に浴びるしかないのであります。
だって、「くるくるして」とか言い出すんですよ。「くるくる……、くるくる……」 この擬音を連呼しているだけで、頭が主人公の慶司みたいになりそうです……どうして抗えましょうか。パニック!!!
さて、うさぴょん卑語デビューの衝撃波は、収まるどころか後々までさざ波のように継続していきます。流石はあなぅー担当といったところでしょうか。変態性の高いえっちを期待しつつ、読み疲れることなくえろを楽しめました。物語もそこそこ楽しめるかと思います。
琴羽がおっぱいオブおっぱいなら、うさぴょんは変態オブ変態。第2のシリアナード・レイになれる素質すら垣間見えます。まなみとは違った意味で「吶かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん!」していました。沙織ルートの真髄は、三六〇度どこから見ても、えっちにこそあると言えるでしょう。ただでさえ、エロスをむんむんとまき散らしているきょぬーヒロインズに負けず劣らずの変態っぷりを見せつけてくれるからです。
要するに結果的に文句なし。このルートを味わい尽くすだけでもお釣りが来ます。七原ことみさんの降板という逆境にもめげず、みるさんが見事に代役を果たされていますね。まったく違和感がありません。えっちしーん頑張りすぎです。
◆シナリオ総括◆
ここまでシナリオとえっちを中心に見てきましたが、残念なことに物語としての評価は必ずしも高くありません。全て読破としたとしても、ややチープな部類にな入ってしまいます。とくに琴羽と美汐ルートに関しては粗さが否めず、読み物としては決して上質なものとは言いがたいです。メティスの持つ性質上、それを重視したシナリオが書かれるのは必至なのですが、バトル描写に難がありました。クライマックスにしては盛り上がりを欠いていたり、沙織のようにあまりにも衝撃的な濡れ場が待ち受けていたりするので、スマートな作品には程遠いです。
また、どのルートも「慶司とヒロインが力を合わせて事件に立ち向かう」というスタイルに一貫性があり、それ自体は問題ないと思いますが、慶司の“ジョーカー”というメティスの特異性もあいまって、2人の共同メティスによる解決という安易な流れが透けて見えているのが残念でした。結局のところ、黒瀧と淡島エリという黒幕にはさほど変化がないため、下手をすると二人目を攻略するあたりで物語の全貌が見えてしまい、読み物としての求心力を失ってしまいかねません。そうなると、いちゃラブものとしてしか妥協せざるを得なくなる場合も出てくることでしょう。
作中でシーシュポスという固有名詞が登場しました。シーシュポスは、神話上では岩を永遠に転がし続ける悲劇的な登場人物ですが、徒労という意味では、我々こそがシーシュポスとなりえます。神話のシーシュポスと違うのは、最悪でもそれが4回で済むことです。言わずもがな、1周目に関してはノーカンですけどね。
◇ココに注目してください!!
全体を通して特筆すべきところは2点あります。
何度も何度も書いていますが、まずは【濃いえっちシーンの数々】です。スズノネでもエロスは濃かったものの、それとは比べ物にならないくらい、淫靡さという点で突き抜けていました。たとえば琴羽や美汐の強い孕み願望にしろ、沙織の○○○○くるくるにしろ、和姦とは言え、かなり濃いシチュエーションと言動が目立ちます。これは、はじめて同士ゆえの好奇心や慶司自身の好奇心の一言では片付けられません。
スズノネでもエロは相当頑張っていましたが、カミカゼほど突き抜けた感じはなく、あくまでも純な恋愛の延長線としての描写がその根底にありました。ところが、今回はそうじゃない。シナリオとえっちしーんは、全く違う空気を演出していました。ヒロインがもれなくエロエロなのはプレイヤーとしては大歓迎ですが、聡明な好青年であるはずの慶司も、濡れ場前後から下品な卑語を吐き出し続ける好色マシーンへと変貌を遂げてしまいます。主人公の不可解なまでの君子豹変ぶりは、「よいではないかーよいではないかー」「お戯れをー」「あーれー」の流れに通ずるものがあります。ひょっとすると、萎える人もいるのではないでしょうか? 私もこれには最初、度肝を抜かれました。あの慶司がまさか……と思いましたもん。
しかしですね、よーく考えてみると、カミカゼという作品は、シナリオとの整合性とかヒロインのお淑やかさとかそういう形式ぶったところは抜きにして、あたかもローデビルのような(と言うと淫乱を思い浮かべてしまいますね)エロいシチュエーションを味わうことにこそ、その真髄があったように思われるんです。むろん萌えゲーの範疇には含まれる作品だとは思います。とは言え、こうもヒロインの痴態をまざまざと見せつけられてしまうと、やはりえっち重視の作品だと結論づけざるを得ないし、あるいは変態ゲー、抜きゲーのくせに萌えゲーの殻をかぶっていると評することもできます。まあ、逆も然りですが。
ちょっと昔に出てきた「萌エロ」というカテゴリが、より変態性の強いベクトルに傾いだような、「萌え堕ちる過程」とでも言いますか、いちゃラブを際限なく突き詰めていくと、悠然と、そしていつの間にか、変態といちゃラブの臨界点を軽く突破してしまうのでしょう。
勃起乳首が出てくるのは全く予期しておらず、これはもう抜きゲーとしての要件を満たしていると言っても過言ではありません。最近のエロゲーキャラはAV女優も顔負けのワイ語句を連発しますが、普段の言動とのギャップを確信犯的なまでに逆手に取っているいい例です。長々と書いてしまいましたが、まずは「えろに関して」でした。
で、もう一つ「気をつけてプレイするといいかも?」と私が感じたのは、【立ち絵とそれに伴う演出】です。
これまでのクロシェットの作品と比べても、演出面における強化、重視が著しい作品です。とにかく立ち絵のバリエーションは圧巻の一言。キャラクターの仕草や表情が矢継ぎ早に変化するため、オートモードで観賞していたいほどです。
スズノネでも会話文中に仕草や表情が変わることがありましたが、変わるといっても1、2回、多くても3回ほどでした。ところがこの作品では、さも当たり前のように3回、4回と変化します。しゃべってる時の感情にピタリと符合する1枚1枚が、そこに宛がわれているわけです。これら感情の起伏は、ポーズごとの表情差分の数にも表れています。CHARACTER MODEの立ち絵差分の総和をキャラクターごとにまとめてみました。
風花 250
琴羽 198
まなみ 238
美汐 218
沙織 276
となっています。これに対し、スズノネはどうだったか。原作に「CHARACTER MODE」がないのでファンディスクでの数になりますけども、
仁乃 116
柚子里 108
美奈都 104
すみれ 112
こんな感じです。こちらはあくまでも参考値ですが、いちばん少ない琴羽とスズノネのメインヒロインズを比べても、約2倍の開きがあります。
クロシェットが注力したのは、この点に他なりません。仕草を頻繁に変えるだけでキャラクターが動的に見えたのは、決して錯覚ではありませんでした。それと比べてしまうと、時間的に前の作品というのは、やっぱりぎこちなさが目に付いてしまいます。立ち絵のバリエーションの豊富さ、細やかな変化が、キャラクターをいきいきと動かす原動力となっているのは明らかでしょう。カミカゼ仕様に慣れてしまうと、これが当たり前になってしまうから不思議な感じがします。
ただ少し反動も…。これら多彩な立ち絵差分に際して、エロ抜きの一般イベントCGは、若干抑えめに設定されていました。プレイ中は気にしてなかったのですが、一般CGの割合とエロCGの割合は、半々の割合だったスズノネと比べると、エロCGに2割ほど重きが置かれています。枚数も計10枚ほど少なくなっていますが、決して手抜き工事を行ったという風には見えません。むしろ充実していた。これは私の想像に過ぎませんが、一般CGを削ったぶんエロCGと立ち絵差分に充てたと考えれば、CGよりも立ち絵で物語を楽しませるという目論見は、ある程度、達成されているのではないでしょうか。
◆総評◆
御敷仁さんという看板絵師さんに数多くの立ち絵差分とそれに伴う細やかな演出。そして非常に濃いエロスを堪能できるとくれば、初回版がロットアップするのも至極納得のいく作品でありました。日常シーンと個別のいちゃラブを心ゆくまで楽しみつつ、濃厚なえっちしーん(とくにうさぴょん)に頭を蕩けさせるのが、本作の正しい味わい方と言えるでしょう。
クロシェットが積んできた実績に見合うだけの満足感を得ることができました。概ね信頼できるきっちりとした構成力には脱帽の一言。最終的に好印象しか残らない。そんな作品でした。
【雑談】
本当にこの作品は楽しませていただきました。製作発表時から今か今かと待ち焦がれて、注目してた甲斐がありますね。最初は「まなみイイネ!」状態だったんですが、いざ蓋を開けてみると、「ワォ!風花超イイネ!!!」状態に。完全にキャラクターの表情、仕草の変化にしてやられました。もちろん、どの娘もすごくカワイイんですが。
クロシェットさんは、これからも追っかけると思います。