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Archelirionさんの封緘のグラセスタ 伝説に謳われし英傑拡張パックの長文感想

ユーザー
Archelirion
ゲーム
封緘のグラセスタ 伝説に謳われし英傑拡張パック
ブランド
エウシュリー
得点
72
参照数
2421

一言コメント

本編にある程度好意的な評価をしている人向けのファンディスク。得点は本編と同じにしました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

新要素を一通り消化しました。
ついでにシナリオの思い出しも含めて再度一周を遂行した状態です。

本アペンドの新要素は以下の通りです。(公式HPより抜粋)
■拡張パック内容
・新イベント『迎撃王の奥方達』『縁(えにし)結びし英傑人形』
・リリカやユナギなどのヒロイン達の特殊衣装&新規エッチシーン追加
・味方ユニット『セリカ』『リウイ』『フィア』などの英傑達が参戦
・脱衣モード、フロアマップ、追加アイテム、スキルが追加
・闘技場の「個人戦」「団体戦」「交換品」に新規追加
・LV上限や経験値などの機能解放

本アペンドですが、以下に該当する場合は購入を検討しても良いでしょう。
・本作に対して好意的な評価をしており、かつアペンド商法に抵抗がない
 →大前提
・再度の周回に抵抗がない
 →過去作キャラクターの加入イベントは2章~5章までの限定、ヒロイン衣装変更は全員のシーン回収かつ終章限定のため
・過去作に何らかの思い出がある、もしくは未経験だが興味はある
 →事前告知でも過去作(合計7シリーズ)からキャラクターが出ることをセールスポイントにしている
・過去作のキャラクターが現在の作画で描かれていることに抵抗がない
 →冥色の隷姫と比較するとシルフィエッタのグラフィックはもはや別人
・内輪ネタや声優ネタに対して抵抗がない
 →黒エウ娘とシルフィアの担当声優が同じであること、リウイの担当声優が存在しないことをネタにしたやり取りがある

各追加内容に対して点数はつけませんがいくつかコメントを記載します。

・縁(えにし)結びし英傑人形
[主要ストーリー]
天結いCMの主人公アヴァロが世界観の宣伝用に過去作のキャラクターを象った人形を作ったはいいが、完成した人形が動き出して散り散りになってしまった。放っておくとグラセスタの世界観が侵食されてしまうので、そうなる前に回収してほしい...というフィアの願いを発端として話が進行します。
本編でも登場した反刻迷宮(ランダムダンジョン)を抜けると各キャラクターの登場元の作品にちなんだエリアや中ボスが登場するため、過去作を経験した、プレイヤーはそういえばこんなヤツいたな、と懐かしさを覚えるかもしれません。
例えばセリカの前座では四守護(リア、テシルヌ、マクアエナ、ロット)、アストライアと第一世代セリカのコンビであったり(ミシュコアトルは不在)、シルフィエッタの前座ではザルフ=グレイス主要メンバー(イグナート最終形態、スティスニア、ヴォーヴァ、ピクテース)の4名(セオビットは不在)といった具合です。
各ダンジョンの前座を倒すと最深部にて加入対象のキャラクターがボスとして待ち受けており、勝利すると味方ユニットとして加入させることができます。(その際に上記で記載した声優ネタ等があります。内輪ネタが苦手なプレイヤーはCtrlでのスキップをおすすめします。予約特典アペンドに出てきた天結いCM続編のネタバレ、作画の不安定なエリザスレイン、クレールの成長上限ネタよりはマシですが。)
新規加入ユニットは軒並み優秀で、特にセリカはペイロと並ぶ待機時間の短さ、使用回数の多い全体攻撃、優秀な専用防具や固有スキル(再行動、連撃など)を備えた強ユニットの一角です。各々の専用装備も固有スキルやパラメータが優秀なため、即実戦投入しても問題ありません。
ただし、待機時間の長いソーニャ、セールスポイントが他キャラクターと被るリセル、命中率の低いシルフィエッタは愛でカバーしましょう。全ての英傑人形を回収するとソロモン魔神の一柱ストラスと戦闘が可能になり、勝利すると彼女とのシーンが回収可能です。

[その他バランスなど]
本ダンジョンで登場するザコ敵は本編エクストラダンジョンで出現したタソガレクグツのようなインチキじみた敵は出現しません。しかし、複数で出現しエリア全体が対象の攻撃魔法をばらまくジルニーは注意が必要です。当然ザルドネのかばうが発動する前に攻撃を仕掛けてくるので、ペイロの完全逃走や出撃人数を少なくする、といった形で対処すれば良いでしょう。
ボスについても基本的にペイロのアイテムばら撒きによる能力強化とザルドネのかばうで対応が可能です。本編のエクストラダンジョンと比較すると、新規加入ユニットと防具によりプレイヤー側が強化されており、かつザコ敵の強さが比較的抑えめであるため、攻略に苦労はしないでしょう。本編で通用した戦術がほとんどそのまま流用できるのでさほど気になる点はありません。
ただし、ザルドネのかばうが発動する前に連撃、再行動込みの全体攻撃を貰うとあっさり壊滅するため、この点は本編と同じく運の要素が強く発露します。特に強力なボスであるストラスは四方を敵に囲まれているため、出撃人数を絞って陣形による補正を加えるとより安定して勝利できます。

・迎撃王の奥方達
各女性キャラクターの追加衣装と全員とのハーレムシーンが回収できます。姫狩りIMでも女性キャラクターに散々コスプレさせてきたのでお家芸と化しているのでしょう。普段とは違う雰囲気で周回をしたい…といった嗜好のプレイヤーには良いかもしれません。
解禁条件も単純にレベル上昇のみ(レベル100到達)のため、魔王石との交換でレベルキャップ解放、経験値取得倍加を獲得すれば問題ありません。

・闘技場の追加アイテムなどについて
各種メダルや魔王石の交換先が追加され、各種能力を向上させる秘石(ただし個数限定)と新規陣形がブロンズメダル100枚で獲得できます。
シルバーメダルでは防具と装飾品、ゴールドメダルでは武器が交換可能です。特に追加装備は本編で出現した装備のほとんどを駆逐するほど優秀なため、全員分揃えるのも良いでしょう。おまけに封緘による強化も可能、交換上限もないため、パーティの大幅な強化を見込めます。
そして特筆すべきはGP稼ぎの効率がさらに加速したこと。先に記載したゴールドメダル5枚で交換できる武器はそれぞれ35000GPで売却可能です。アルベルトを一回倒してもらえるコインはブロンズ15、シルバー5、ゴールド2ですが、ブロンズを秘石や陣形、シルバーを封緘用素材に回すことを考慮すると、金策はゴールドメダル5枚で交換できる各種武器にお世話になるでしょう。
透視スキル(味方キャラクターの立ち絵が全裸になる)を最大レベルにするためには1635万ものGPが必要になるため、金策効率の向上は救済措置と推測されます。また、闘技場限定の追加キャラクターとして幻燐シリーズからチキ、戦女神シリーズからエリザベッタが登場します。
個人戦はともかく団体戦は必殺技や範囲攻撃の無効化による間接的な耐久向上、魅了での行動遅延、能力強化の打ち消しなどといった強コンビに仕上がっています。
ミッションを全制覇できても報酬はメダルのみですが、全てにマル済マークをつけたいプレイヤーは頑張ってみましょう。
 
・総評…と私見
地元の実店舗では何故か陳列されていなかったので、Amazon経由で購入しました。上述に記載の前提条件に合致すればするほど満足度は高くなるのではないかと考えます。
ただし、本編にそこまで魅力を感じなかったプレイヤーが手に取っても評価が好転することはありません。ゲームバランスやユーザインタフェースは改善されず、アペンドを導入後に本編を周回するとシナリオが改変される、分岐が出るといったことはないからです。
価格(2600円)や開発期間、本アペンドのコンセプトを考慮すると、殊更に批判されるべき要素は見当たりません。単純に本タイトルが好きなプレイヤー向けの作品でした。
不意打ちじみた次回作告知や悪ノリも一部散見されますが、とりあえず次は公式ガイドブックの付属アペンドでしょうか。(魔導巧殻ではありませんでしたが)
私見ですが、リウイのCVはジェダルがハマっていたかと思います。威厳のありすぎるサロ王や貫禄のなさすぎるザルドネは…。みなさんはどうでしょうか。
ネタに乗っかるのもプレイヤーの務めであるならば、ジェダルのメタ発言の通り本当にアンケートに記載して送りつけてみてもよいかもしれません。
今のところ世界設定でしか名前の出てこないシルヴァンやカミーリの登場するタイトルが出た場合、CV付きのリウイが出る可能性があるかも。
などと考えながら、次回作等、楽しみにしています。