最高の妹ヒロインをありがとうございます
正直ただのキャラゲーだろうと舐めてました。すみませんでした。上質なキャラゲーでした。
先に全体的な不満点を箇条書きで。
・あすみルートを除いて、『ハミダシ』要素を重視しすぎていて『クリエイティブ』要素に対する描写が少ない。話題の量だけなら妃愛や華乃ルートにもあるが、業界ガーとかファン層ガーとかそういう要素に注目しすぎている。もっとクリエイター魂を燃やしてほしかった。
・ちょくちょくアメリが会話や出番の面でハブられているのが、アメリが生徒会からもハミダシかけていそうでハラハラしてしまった。
・過剰な「他の男との接点無いし興味も無い」アピールがくどくてキツかった。作り手が処女厨こじらせすぎ。私が「そこそこ他の男と関わりありつつも主人公が特別」な関係性の方が萌えるのもある。
・全ルート、問題解決パートになるとどんなザルな計画でも順風満帆に進むのが気になった。まあこれはキャラゲー補正で判定甘めにすれば許容範囲。
・歴史ネタがくどい。
次に各キャラについて。
攻略順は詩桜→華乃→あすみ→妃愛。個人的にはこの順で良かったと思っています。
妃愛ラストは固定として、詩桜先輩の位置に困りますが、生徒会解散の疑惑解消が早い方がスッキリして好きになりやすいかも?
妃愛ルートとの繋がりを重視するなら三番手なのですが……悩ましいところ。
・鎌倉詩桜
初登場シーンの株の下げっぷりには驚きました。その分、それ以降は右肩上がりで株を上げていく姿が印象的でした。
『キャラゲー』でこういうキャラ付けをするのは中々勇気が必要だったと思います。
普段クールな年上系ヒロインはあまり好きにならない私でも、長い間印象に残りそうです。
恋愛面では、先輩に振り向いてもらおうと頑張る主人公が可愛かったです。詩桜先輩?格好良かったよね。
詩桜先輩ルートは、他二人のルートに比べて妃愛が全面に出ていました。正直なところこのルートは『負けヒロインとしてのひよりん』を補完する狙いが出過ぎていたように感じます。
唐突な交通事故は特にあからさまで「事故で両親を失った妃愛が、兄も事故で失いかけたらどんな顔するんやろなぁ……」という思考の元、
和泉妃愛曇らせ隊の作り手が暴走したんだろう、と勝手に思っています。
まあ……私はひよりんスキーなので楽しめてしまったわけですが。詩桜先輩最推しの人ならキレても良い案件だと思います。そんなわけで若干の加点要素です。
・常磐華乃
臆病なくせにズバズバ物申す性格が好きです。ひよりんと錦さんが主人公盲信する分、華乃と詩桜先輩の存在は貴重でした。
華乃ルートは、一番恋愛に重点を置いたシナリオでした。距離感を図りながら恋を進めていく二人はほほえましかったです。
一方、文化祭の見せ物があまり魅力的に見えなかったのが惜しい点でした。結局りりりこさんが騒いだことで『ののかさん』のネームバリューが成功の決め手になったのはどうなのでしょうか。作品以外の面で評価されることを徹底して嫌っていた華乃が、そういった陽キャ層に歩み寄り初めた心境の変化を表しているのでしょうか?浅学な私には分かりませんでした。
イザコザが起きそうな雰囲気を漂わせていた華乃の両親が全く関わってこなかったのは、凸の展開に繋がるんですかね。
・錦あすみ
主人公盲信天使系後輩ちゃん。
プレイヤーがこの設定をすんなりと受け入れるには出会いのシーンがとっっても大事だったわけですが、(少なくともあすみ視点では)ロマンス溢れる少女漫画チックな仕上がりになっていたと思います。
あすみルートだけ明確に『クリエイティブ』要素が強めで、Vtuberと音楽について真摯に向き合っていたように感じました。
何度挫けても音楽に対する熱意を燃やし続ける錦さんの過去話がとても格好良かったです。
文化祭の見せ物の趣向としても、シンポジウムでの不登校に関する問題提起への回答として100点満点のもので、物語としても感心しました。
全体的に、際立って上質なシナリオだったと思います。
それと、寝室シーンの声が一番えちちでした。
・和泉妃愛
最高の妹ヒロインでした。マイベスト妹記録を更新しました(2024年10月現在)。
まず普段会話のあざと可愛さがずるいですよね。中の人のお力も相まって、あの独特な崩した言い回しがとぅきになりました。
内に色々秘めつつのアレは反則だと思うんですよ。
それから、病的なまでに兄に依存している点についてしっかりとした理由があって、シナリオに入り込めました。元気に見えて闇の深いヒロイン、大好物です。
年下キャラには徹底して甘やかされる方が好きな私ですが、あそこまで健気に頑張るひよりんの姿を丁寧に描写されては、優しくしたくなる主人公の気持ちも分かるというものです。
シナリオ的な話では、二度の炎上の辺りで、詩桜先輩ルートで抱いた作り手の「ひよりんを曇らせたい欲」を確信しました。辛い顔せず努力してる子のやせ我慢が崩れる瞬間が見たいその気持ち、分かります。
また、ひよりんの秘めた想いについて、終盤で更に『兄妹ぼっち』で別角度から補完されたのが大変強烈でした。これまた癖に刺さりました。あの物語の佳境での開示だったのが尚更良かったのでしょう。
美少女ゲームにおいて、ヒロインの抱える深い問題を打ち明けてもらえる時が至高の瞬間の一つだという気付きを得ることが出来ました。
総合して、シナリオに多少の粗はありつつも楽しさ重視で、けれどもキャラゲーに最も重要なキャラクターの内面描写に関してはとても丁寧な作品でした。
最高の妹ヒロインをありがとうございます。凸にも期待してます。
好きキャラ順
妃愛>あすみ>華乃≧詩桜
好きシナリオ順
あすみ>妃愛>詩桜(妃愛推し視点)>華乃>>詩桜