ErogameScape -エロゲー批評空間-

Andemon_LV7さんの嫁探しが捗りすぎてヤバい。の長文感想

ユーザー
Andemon_LV7
ゲーム
嫁探しが捗りすぎてヤバい。
ブランド
Hulotte
得点
80
参照数
236

一言コメント

可愛くてえっちな良キャラゲー。ただ一部扱いの不遇な娘が……

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ヤバい。シリーズ二作品目。前作に比べるとエロ方面で大幅強化されていました。キャラデザ、というよりは塗りの技術力も向上していて、前作でうっすら感じた芋っぽさが無くなっていました。BGMは、作品の都合上熱いBGMこそ無いですが、雰囲気に合った軽快な良曲が多かったです。「初夏の朝」と「甘夏のテーマ」が特にお気に入りです。


・八神甘夏
 看板ヒロインポジションかと思いきや、だいぶ冷遇気味な印象です。「正妻」ポジションは瀬里香や希里乃に、「才色兼備で優しい娘」という属性は美穂乃姉(+玉野さん)に上書きされてしまい、印象に残りづらいキャラでした。淫乱度なら一番を狙えると思います。
プロフィール上は一番の巨乳なはずなのに、美穂乃姉や希里乃ばかりが乳について言及されていたのは何故なのでしょうか。

 甘夏ルート
 正直かなり残念な出来でした。イチャラブパートはかなりエロに寄っていて、甘夏の魅力が伝わりづらかったです。その上、シリアスパートは導入が雑でした。「約束の相手」云々の話で終盤のシリアス展開に持ち込まれても、既に告白の際にケリが付いたように感じていたので今更で、全然引き込まれませんでした。


・八神瀬里香
 真の正妻ポジション。なはずですが、キャラの扱いは甘夏同様微妙でした。このゲームは、他ヒロインのルートでも輝けるヒロインが強い印象があります。ですが瀬里香は他キャラルートでほぼ空気になっていて、魅力を感じられる機会が極端に足りていなかったです。恐らく玉野さんよりも出番が少なかったと思います。
 それと超スロー&小声ボイスもマイナス要素でした。台詞を全部聞き切っていたら相当テンポが悪くなってしまい飛ばしがちでした。

  瀬里香ルート
 シナリオは他ルートと一線を画す程の良い出来でした(個人の感想です)。主人公に向けられる助言の数々が、瀬里香との関係と、敗北ヒロインズとの関係の両方にかかっていて、更に事態の解決法にも繋がっていく流れがとても綺麗でした。菜々華の愛人設定や新堂先生の活かし方もとても自然で、全体的な構成力の高さに感心しました。このルートだけ切り取れば80点台後半の点をつけるくらいには高評価しています。

 『モテヤバ』の長所だった、敗北ヒロインをしっかり描写する構成を一番引き継いだルートでもありました。特に美穂乃姉の負けヒロインとしての美しさはかなりのものでした。


・八神美穂乃
 お姉さんキャラらしさと愛らしさがよくマッチしているキャラでした。CVの力もかなり大きかったと思います。ウィンク立ち絵が可愛い。
 他の八神シスターズとは逆に出番に恵まれていて、殆ど全てのルートで輝いていました。関係の深い菜々華ルートや唯ルートは当然として、希里乃ルートでの立ち回りは完全に看板ヒロインのそれでした。

  美穂乃ルート
 他の八神シスターズに比べるとシリアスは薄く、イチャラブに寄せたシナリオでした。美穂乃姉の可愛さを堪能出来るところ以外は、特に語るところは無いです。無難に楽しめました。


・高宮菜々華
 クールでミステリアスでむっつりな先輩。要所要所で的確なサポートをし、読者の好感度を稼いでいく策士でした。手を組む立ち絵が可愛い。

  菜々華ルート
 神族ですし、さぞ重いシリアス展開が来るのだろうと身構えていましたが、そんなことはなかったです。過去が少し重いくらいで、心細くなっている菜々華のメンタルを男子力でケアしていくのがメインの内容でした。
 個人的に、文章に癖があったのか、会話がくどく感じてしまったのが残念要素です。それから超個人的には「クールでミステリアスでむっつりな先輩」が好きだったので、純情乙女成分にはあまり惹かれませんでした。内容自体は悪くなかったと思います。


・葦原希里乃
 前作メグリに続く真ヒロインポジションの妹キャラ。メグリと同じ献身型妹でも、雰囲気で十分に差別化されていました。甘夏ルートや菜々華ルートのお兄ちゃん第一な立ち回りが可愛かったです。一番Hでした。

  希里乃ルート
 瀬里香と並んでシリアス重視な展開でした。そこそこ面白くそこそこ退屈な内容で、特筆するところは無かったです。挙げるとしたら一番Hだったことです。


・玉野唯
 サブヒロインその1。ですが可愛さはメイン級でした。ひたすらに良い娘でした。個人的にマモに対する「道野♪」呼びがかなり好きなので、くっついてくれたら私得でした。

  唯ルート
 シリアス要素を少なくして、ひたすら玉野さんの良さを追求するスタイルのシナリオでした。短い尺の中で綺麗にまとまっていたと思います。ただ、プロ級メイドの精神を持つ玉野さんが、客をもてなすテーブルでHし始めるのは非常に良くないと思います。しかも2回も。あそこはメイドにとって神聖な場なのではないでしょうか。遺憾です。


・新堂明佳
 サブヒロインその2。ですが可愛さはメイン級でした。出番は然程多くはなかったですが、瀬里香ルートでの強烈な輝きがずっと心に残っていました。頼れる大人な先生がとても格好良かったです。私の中では美穂乃姉・玉野さんと並んで「人間が出来てる三銃士」扱いしています。

  明佳ルート
 唯ルートに比べると、巫女性とか他ヒロインの扱いとか色々雑ではありましたが、新堂先生の魅力だけは十二分に描けていました。生徒の手本になろうとする姿はとても格好良かったです。あまりに強い意志だったので、これがシリアスな作品だったら闇堕ちさせられそうだなとか勝手に思っていました。
 もう少し教え子との恋路に抵抗してくれると更に格好良かったのですが、実妹関係のシリアス展開も排除されている作品ですから仕方無いのでしょう。


・ハーレムルート
 各ルートで起きた出来事だけではなく、ルート毎のテーマ性についても取り入れた、作品愛のあるまとめ方でした。複数ライター制なのを感じさせなかったです。
 菜々華ルートで度々書かれていた「物語」に関する語りを、最後にもう一度持ってきていたのが特に印象的です。菜々香ルートでは大したイベントが起きていなかったので、正直過剰なメタ描写だと感じていたのですが、締めに置かれることで作品が締まって感じられました。


 改めて前作と比べると、恋模様の描写の弱さが目立つように感じます。最終的にハーレムになることもあり、同じ神的な力始点の恋愛ですが主人公→ヒロインの矢印が比較的弱かったです。単純にトキヤさんの方が応援したくなる主人公だった、というのもありますが。
 とはいえ求めていたキャラ萌え要素は十分に得られたので満足しています。ただ「可愛い」だけではなく「人として尊敬できる」キャラ造形が萌えに繋がると、『ヤバい。』シリーズは理解してくれていると思います。
神ヤバは再び深山ユーキ先生が単独ライターの様ですので更に期待しています。


推しキャラ順
初見
明佳>美穂乃>甘夏≧希里乃>瀬里香≧唯>菜々華
クリア後
美穂乃>明佳≧唯>希里乃>菜々華>甘夏>瀬里香