ゲームをプレイする前は「さて、どんな感想を書いてやったもんか」とある程度妄想していたが、(超散文)
終わった今となってはそう考えていたことを悔いるしかなかった。
この物語は、母を失ったことから原因である父を恨み、反抗する少年である主人公が、庭に侵入してきた双子の少女を屋敷に迎え入れることから始まる、悲しく、救いのなく、切ない物語である。
冷静に見れば、この物語もある程度ありきたりな展開を組み合わせて作られたものであり、理詰めに考えてしまえば単純にそう書き記すだけかもしれない。
しかし、どうにも的確な言葉を用いて説明することができないのであるが、どうしてこうも私の心に響くのか。己の表現力の乏しさを嘆くしかないのか。
非常に癖の強い物語であるほか、メーカーが現在ではダ・カーポシリーズのようなコテコテの学園ものくらいしか出しておらず、このような物語のイメージがなかったこともあったので、想像以上の衝撃を受けてしまった(定価自体が1000円であることや、私自身がこの作品を中古で80円で購入したこともその一端にはなるのであろうが)。
私としてはむしろそちらのような物語が好みではあるのでよかったが、現在のブランドのイメージで手を出すと痛い目を見るユーザーが少なからずいることは間違いないであろう。
しかし、それでも。出来る限り多くの方に、この作品の存在を知っていただきたい。
そう強く思うまでに、この物語は私の中では非常に心に残る作品になる、そんな気がするのだ。
少しだけ書いてしまえば、この物語にしあわせはあったのか、という問いは否と答えるほかないのであろう。
それを頭の中で妄想することもできず、メーカーに続編を要望するのみで結果として続編しか出てこない昨今のエロゲ事情では、この作品は評価されないのかもしれない。
……いや、やはりそのようなことを考えるものではないだろう。
いまはただ、双つの星が寄り添い合うその奇跡を信じ、夜酒を煽るのみである。
余談ではあるが、私はすずを非常に気に入っている。
性癖とはまた別の、もしかすれば、異性に求めるというものとはこれまた別の、私が人としてかくありたい姿を映し出した鑑のようなキャラクターであったためである。
私も、自慢できるわけではないがまだ21だ。若いはずだ。すずは恐らくもっと若い設定であろうが、私も、すずのようになりたい。