出会って20日で完堕ち完了。これがホントのふぉ~りんLOVE!(違
そんな感じで、意外にもさっくり終わってしまう作品でした。
それもそのはず、前半と後半で合計20日しかなく、個別の選択肢イベントを除けば9日目までは共通部分。選択肢イベントや後半の10日間はエロシーンが入る場合を除けば1回のイベントに10分も要さない(個人差はあります)という有様なのですから。
これも昔のゲーム故仕方ないボリュームと考えるべきなのかは私にはまったくわかりません。ただ、今あえてこの作品をやったという完全に身勝手な自分から言わせていただければ「さすがに短い」という言葉に尽きます。
もっとも、話の展開は一部ヒロインのルートで主人公が救いようのないクズ行為をやらかしてしらけさせてくれることさえ除けば、まったく悪くありません。むしろ、決して擁護まではしきれないものの、精いっぱい頑張ろうとしている主人公とヒロインの恋愛物語として、短編のレベルで終わらせるのであれば、ゲームの紹介文から想像できるストーリーを感じさせるには必要十分な程度には、このお話は作られているのではないでしょうか。この当時の創作の流行りというものを、私は当時全く創作などには関わっていなかったこともあって存じないのですが、所謂「王道」という展開を、少々言葉足らずな文章ながらもしっかり追い切れているのではないかと思います。
ただ、それができて本当に良いものだと思えるようになるためには、最低限の文章量をもってして、登場人物たちがどのような人物であるのかを読み手に覚えさせることが絶対に欠かせません。
この作品のヒロインたちは、決して絵柄を除いても可愛くないということはなく、むしろその反応ひとつひとつを眺めたうえで妄想をはたらかせるには十分な程度にそのパーソナリティ―は構築されていて、かわいさを感じることは十分にできたようには思います(特に翔子ちゃん。彼女は初心なせいもあっていろんな反応がいちいち可愛くて、ころころと表情が変わるものだから面白い)。もっとも、そのパーソナリティーを表すべき部分というのが結局、上記したように話にのめりこませるほどに表現しきるには全く足りていないのです。
そのため、ここに感想を記した先達のプレイヤー様方が残した感想のような苦い評価をこのゲームは受けることになってしまっているのでしょう。
私個人としてみても、このゲームを「面白くないゲーム」と断罪してしまう必要は絶対にないとは言い切れるものの、じゃあ面白いのか、他人に勧められるのか、といわれると、どうしても首をかしげてしまうゲームであるように思います。
なので、決しておすすめはしないのですが、ちょっと安いゲームワゴンなどに入っているのを見かけて、「気分転換にはいいか」という程度に手に取っていただけるのであれば、意外に満足できる作品なのではないか、そう思う次第でございます。
余談1:正直、主人公とヒロインたちのカップルよりも、亮二さんと詩織さんのオトナなカップルを亮二さん視点で眺めるほうが面白いように、社会人恋愛的なものが大好きな私としては感じました。
亮二さんも詩織さんも、あれはいいキャラをしている……
余談2:個人的にちょっとポイントが高いのは、ヒロインが主人公を意識しだしてからの言動の変わり方がなかなかにかわいい点。「恋をすると女の子は変わる」という言葉はよく言われるものであり、創作などではそろそろテンプレートで飽きるという言葉も聞こえてきそうなくらいにはなっているのですが、これは普通に萌えポイントなので、なくなってほしくない表現ではあるなぁと。
もっとも、そういう部分ができているからこそ余計に、上記のようにボリュームの少なさを嘆きたくなってしまうわけなのですが……
好きなヒロイン:森下鈴
好きなルートについても同じ。
このゲーム、主人公が遊びほうけて浪人し、親の堪忍袋の緒が切れたがために山奥の予備校に放り込まれてしまうという、基本的に根がクズな人間なので、ある程度の自分勝手なクズい行動などは全ルートで散見される(この時点でダメだと感じた人はこのゲームをプレイしない方がいいと思うのです、はい。)のですが、このルートは一番、「そんな行動に出たとしても仕方ないよね」、って感じる程度に奇跡的にできていたように思うためです。加えて、開始当初が寡黙でミステリアスなヒロインということもあって、上記余談2で示した「変化」というのが、個人的には一番露骨に表れているように思えたことも、大きく影響していると思います。
※逆に、約1名のルートはその奇跡が逆方向に作用したせいなのか、まったく擁護できないことになっているのですが……それについては触れないことにします。