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Accord4312さんの王の耳には届かない!の長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
王の耳には届かない!
ブランド
AXL
得点
72
参照数
829

一言コメント

登場人物全員が、物語の範疇だけでは物足りないと、所狭しと動き回るようなお話は、いい意味でいつものAXLだなという感じで、好印象です。気になるところがないというわけではないですが、概ね異世界ものとしては王道な展開をやり切っていて、評判ほどに読後感は悪くないと思います。シズルさんは養育したくなる可愛さがあります。長文はいつものメモですが、1ルートだけ露骨に不満垂れてます。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

王の耳には届かない!
→AXLよく考えたらやるの久しぶりじゃね?

※なんというか、予想以上に序盤がダイジェストだなぁ。これはこれで、「キャラクターの過ごしている時間の経過」というのを端的に表してくれるので、悪くはないとは思うのだけど、ちょっと場面が変わりすぎじゃないかなぁとは思ったり思わなかったり。

※攻略順はこれがいいと聞くので、これで行きます。

コーリオ→シズル→ピオニィ→ジーニア

コーリオ 76
→わんこ系で肝っ玉母さん候補って、なんというか、ミスマッチのようで、えも知れぬ魅力があるような……
〇お母ちゃんだ……お母ちゃんがここにいるよ……

→最近感想を書いていると、こんな言葉しか出てこないのだけれど。なんなんだろう、この本当にいい子は……。いい子に育ってくれているよ……
そりゃあ、出自もややこしい、ならず者を父と呼ぶ娘っ子だから、社会的にはなんとも言い難い子ではあるのだけれど。これだけまっすぐに感情を表して、周りの人をみんな笑顔にしてあげられる。こんないい子、本当になかなかいないよ……

→片田舎の幸せ物語っていう感じの、理想的な設定・展開の土台を、ちょっと駆け足気味なところはあるものの、丁寧にやり切ってくれていたお話だと思う。新鮮味というものはあんまりなくて、悪い意味で言うのであれば「代り映えのしない」お話であるところは微妙に否定しきれないのだけれど。ボク個人としては、こういう感じの、ちょっとシリアスもありながらの、基本的にはほのぼのとした、。言葉として正しいのかはわからないけれど、「牧歌的」とでもいうようなお話が大好物なので、これでよかったんだと、そう思います。

シズル 74
→なんだこのお嬢様!?

→なんだこのまさに、「ちょっと大変なことはあったけど、幸せに暮らしてます!」なお話!? やっぱりさっきまでといっしょで、普通に王道な緒話をやってくれている、ただそれだけなんだけれど、それがとっても心地いいぞ!
→本当にこれ以上に書くことがない。違うというのは、ヒロインが違うということからの魅力の差くらいだろう。
※設定的な魅力こそあれど、コーリオほどは「この子だから!」という魅力を感じられなかったのが、少しだけ残念。

ピオニィ 66
→義妹ちゃん。どうにもルート制限がかかっていたみたいだけど、どのあたりからその理由が明かされることになるのか、それが一番の楽しみではある。

※まぁそんな気はしてた。

→話としてあんまり好きじゃない話であることもあるのかもしれないけれど。何より、そこまでの設定を盛り込もうとした割には、後半の大きなインパクトという形にしたかったのかもしれないけれど、それからの描写量が絶対的に少なすぎる。もう少し、書くことがあったんじゃないのか、そんな何とも言えない物足りなさを感じさせてしまう。
ヒロインの設定としても好きな属性じゃないし。このお話、話としては別に悪くもなんともないのだけれど、とにかく僕としては「好きじゃないお話」だった。それに尽きるんだと思います。

→正直、自分で思っていた以上に煮えくり返っているので、点数は低めにしようと決意した。うん、したったら、した。

※ひとつ、追加で書きたいことを言うとすれば。こういう存在にするならするで、もう少し早めにそのネタを使えばよかったのにと、そう思うばかりなのだ。過去作のネタバレを出す形でアレだけれど、「恋する乙女と守護の楯」にも似たような存在のヒロインはいたにはいたが、その子の場合はむしろ、似たような設定を現出させてからという部分のお話が比較的長い尺で描かれていて、「実はそうなんですよ」という形がそこまで違和感なく描けていたような気がする。同じようなことはやりたくないと言われたらそれまでだし、これだからいい、という人もいるのかもしれない。
……やっぱり、僕の心のもやもやは晴れることはなさそうだ。

ジーニア 75
→おーさまこーほのちっちゃい残念な子。ここまで来ると、どんな話になっていくのかというか、この世界がどんな結末を迎えるのだろうかということがなんとなく想像できそうな気もするし、その通りなら、僕が素直にいいということは難しいような、そんな気もするんだけど。やってみなくちゃわからないというのを信じて、やってみようかなと思います。

※BADエンドをついつい先に見てしまったけれど、これを見せるためにピオニィの設定があったというのなら、まだ、わからなくはないのかな、と。そう感じるくらいには、このBAdエンドは、個人的には「わかる」展開だったのかなと思います。
ただ、あくまでこれがBADエンドなのだ、ということを考えると、まだもやもやするものが、なくはないんですけれどね……。
→あ、もう語らないんですね……(呆れ

→まぁ、この手の設定の話って、大概、こういう方向に落ち着きますよね。シズルさんというぽえぽえがいただけ、最後まで微妙にぽえぽえ感があったのは、重苦しい設定もある意味気軽に読めるようになっていて、良かったのかなぁとは思います。また、結局ジーニアさんがちょっとじゃないくらい抜けたまま、というのも、効いているのかな、と。

→とにかくは、想定していたような暗めの話にはならなかったという点ではよかったです。なーんにも、あの子のことがこのルートでも語られず、結局なんだったんだというふうになってしまうことさえ除けば。
うん。芋スープ飲みたい。

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点数
(76+74+66+75)/4
=72.75
≒72