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Accord4312さんのセミラミスの天秤 Fated Dollsの長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
セミラミスの天秤 Fated Dolls
ブランド
キャラメルBOX
得点
68
参照数
4635

一言コメント

決して内容が悪いとは思わない、むしろサブキャラのストーリーとしてはこれでいいのかもと思わなくもないけど、これで3kは流石にちょっと高いと思うの。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

CG回想、シーン回想なし。データ容量約450MB。
3つ中1つの物語はそのまま電子書籍で発売前に限定的に無料配布(現在は有料販売)という状況で、DMM.comにて限定販売された本作。

物語のメインヒロインのみフルボイス、と書かれると私も勘違いしかけたのであるが、これはそれぞれの短編でメインになるヒロインのみにボイスがあるにすぎず、本編でメインヒロインであった愛生や塔子などにはボイスがないということなので、まぁほとんどの方が理解はされていると思うが、その点は注意していただきたい。

と、こうしてこの作品の概要を上げてみると、とてもじゃないが3k近くを払ってプレイする作品とはアナザーディスク的な短編集であったとしても思い切れないというのが正直なところである。

しかし、内容自体は決して悪いわけではない。
先に触れた、既に電子書籍として世に出ている「エンキドゥの虚」の内容をADV化したのみに過ぎない南小百合編は電子書籍を発売前にチェック済みの人間としては電子書籍そのままであるという以外に何も言えないところであるのだが、残りの笠井陽子、小山内美紀・有島真由編は本編をプレイ済みの人であれば「なるほど、そんな感じになっていたのか!」というのがよく理解できる合間のストーリーとして出来上がっていたように思う。
本編ではこの2組は愛生の策略によって恋人関係になったのちはほぼその関係に触れることなく終わってしまうので、本編終了者の中の多くは「あのカップルはどうなったんだ!」という思いが生まれていたことであろうと、その思いを持つひとりである私は勝手に思っている。そのような部分について、短いながらもしっかりと触れてくれたこと、それに関しては、本当にこの作品が出た意義があるというべきなのであろうか。

ただ、いくら話の内容で擁護できると言っても、最初に記した外観的な内容による値段に明らかに合わない感は事実であるし、本編で多くのユーザーが疑問を呈した謎の激重システムも、さほど改善しているわけでもないなど、その擁護の範囲を超えた作品であることは否定のしようがない。

キャラメルBOXのブログを見る限りでは、どうもしばらくすればまた新たなプロジェクトが動くとかなんとかをにおわせる描写があるので、少なくとも次回作は出るのであろうと見ている。
とはいえ、最新作「セミラミスの天秤」が3年ぶりのリリースとなるなど、メーカーとしては再始動の段階にあるのに違いない。

過去のキャラメルBOX作品の信者としては、この作品に投資をしたことには欠片の後悔もありはしないが、こうなると、ぜひとも、未来の最新作には期待するばかりである。