最後を締めくくるために必要な材料はそろっているのかもしれない。
ただ、全くもってその材料は調理されている気がしない、この作品においてはそういう言葉を残すしかないだろう。
たしかに、過去の作品で散りばめた、「ナノカ」というキャラクターの物語については、このLast secretにおいて提示された材料によって、一応はつながり、物語としては成立していると言える。
しかし、それはあくまで骨組みが繋ぎあがっただけで「面白い話」として成立しているとは必ずしも言い難く。
骨組みだけではどれだけ最高の材料でくみ上げようが、「シナリオ」としてはただの骨。肉がついてこそ初めて「シナリオ」として、「お話」として読めるのだと個人的には思う。
この製作陣の過去作から察するに、間違いなく、その骨組みというものを作るうまさというものは持ち合わせていると思うし、それに適度な肉づけがなされた「お話」は人の好みの差の問題さえあれど、少なくとも一定程度のクオリティを持っていたように思う。そうであるだけに、このまさに、「ほぼ骨組みのまま」で出てしまった作品はどうしても高く評価しようとは思えないだろう。
今作でSEVEN WONDERは解散と聞く。どのような事情に寄るものかは製作陣が明かさない以上、何があったかを我々は想像することしかできない。
だが、個人的には。
この上質な「物語の骨」を作る技術に、それに見合った肉を付けるための「素材」が足りなかったというのであろうか。
クオリティがどうとか、コストパフォーマンスに見合ってないとか、そんなことはどうでもよくて、とにもかくにも、残念な作品だったという印象になる。
この作品のキャラクターたちが好きだ、という人ならばともかく、どれか一人のヒロインが好きだ、あるいは、単に面白い話が読みたいという人には、このゲームの購入はお勧めできないだろう。
その意味ではある意味「ファンディスク」なのかもしれないが、それは皮肉だろうか。
心からの一言。
これ以上に展開を複雑にしてほしいとは言わないが、せめて、もう少しだけでもその一つ一つの展開を描くボリュームが最後を飾り、まとめあげる物語としては欲しかった。