ErogameScape -エロゲー批評空間-

Accord4312さんのトロピカルVACATIONの長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
トロピカルVACATION
ブランド
Twinkle
得点
77
参照数
1042

一言コメント

予想通りの前作越えはならなかったが、いろいろな可能性は見たゲームのように思う。とりあえず、水萌弄りも程々にしてあげよう。途中から「可哀そうだなー」と棒読みしながらニヤニヤ顔で眺める羽目になっちゃったよ。あぁかわいい。長文は意味不明。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言にも書いた通り、大方のユーザーが期待した前作越えというのは予想通り達成ならず。
しかし、この作品としては前作を越えようという意識というより、前作に意識して近づけることで構成されている作品であるように感じられた。
なので物語の随所随所に、どこか既視感を感じさせる構成になっている気がする。そして、これは決して手抜きというものではないと思う。

前作を愉しんでくれたユーザーに向けるアプローチとしての、既視感というアプローチ。
この作品はそれを意識させるということに終始した、ある種の力の入った作品であるようには思った。
以下、各部分について

Hシーン
前作よりヒロインは減っているものの、回想シーンは増えており、こうたろ氏の美麗なCGでエッチを愉しめるという意味では正統進化と言える。
ただ、物語全体の尺を考えたら少し入れ方のバランスが悪いルートもあり、もう少し無意味でもいいから間のイベントが欲しかったとは思わなくもない。
Hシーンにおいても前作の意識というのは存分に見て取れ、思わずニヤニヤする面も。

音楽面
BGMは言うことなし。雰囲気にジャストフィットというべきBGMばかりで、サウンドトラックがぜひとも欲しいところだった。沖縄エリアのBGMが大好き。

システム面
サービス業に視点を置いたゲームとしては及第点ギリギリっていうところ。もう少し細かな設定ができたら快適だったんだろうなとは思います。最低限はあるのでクレームを入れるほどでもないですけど。

CG
こうたろ氏の美麗なCGの分を考えれば不満なし。

シナリオ
ここは賛否分かれる。

一言にも書いた通り、前作を過剰に意識しているところから、どうにも既視感のあるネタが目立つのは否定できない。
ただ、その既視感というのは手抜きとはまた違うように思える。
「天丼」とはよく言ったものであるが、面白いか正直よくわからないネタでも、とりあえず何度も連呼されてしまえば面白く感じるものだ。

正直なところ、本当の意味で「新ネタ」で人を笑わせることができる、という文章を描くことは、今ではとても難しいように思うし、実際できてない作品がほとんど。結局、パロディーに頼るしかなくなり、どこかで見たようなネタばかりになる。
でも、この作品のように敢えて前作を意識するという形式をとることで、「お前それ前にやったろ!」っていう突っ込みのような笑いを提供するという形で、うまくネタを再利用しているというべきではないだろうか。
再利用というのも書き方が悪いかもしれないが、そのためにテキストを作り上げているようにさえ見えるのは、流石の氏というべきだろう。

各個別ルートに関しても、それぞれのヒロインにエリアを割り振っていることで、凸出した個性を持たせがたい昨今の創作事情の中で属性を付与することになり、波音・いちこはそこにからめたルートに出来ているのも及第点というべきか、正当な勝負ではないというべきか。
水萌、渚に関しては完璧に前作を意識した作りとなっているので、先述したようにとらえられるかどうかだろう。

問題の解決、という意味でのあっさりさを否定する人もいるが、渚に関してはそうでもないだろう。
恐らく渚ルートは前作の立夏を意識しているのだろうが、立夏の場合はヒロイン自身の問題であったがために、それに動く主人公や第三者としてしか感じることのできない物語という意味で感傷に浸りやすいかったというだけ。渚ルートの場合はそれが主人公になるからこそ、こうしたあっさりさになっているような気がするのだ。
前作も立夏視点で考えれば、案外こんなレベルなのではないだろうか? 前作を自分のエロゲ人生の中でもトップクラスととらえる私ではあるが、そんなことも考えなくもない。

キャラについて
他の方も指摘されているが、「最終的に」暴力に訴えるヒロインというのが多いというのは事実だろう。
ただ、水萌・いちこ・渚に関しては程度の差があれど、別にすぐ暴力をふるうわけではなかったことを踏まえるなら、正直前作と大して暴力キャラは変わっていないのではないだろうか?
前作も今作も結局、通じてすぐ手が出るのは波音・花火くらい。
確かに暴力描写が多かったのは否定できないが、これが無理なら前作も無理だったのでないだろうか?
駄文過ぎて全く伝わっていないかもしれないが、正直なところ、自分には無理にそう書いているようにしか思えない。
それにまぁ、言っちゃ悪いが、理性的な言葉だけで動くヒロインなら、ギャグなんてできないと思う。暴力=低俗? 結構なことじゃないか。言葉にしない、それも一つの表現だと思うのだが。

全体。
駄文過ぎて訳の分からない羅列になっているが、結局いえるのはこの作品は前作を過剰に意識し、前作の空気を別物語で作ろうと尽力した結果なのではないだろうか。
決して高評価することはできないだろうが、少なくとも欠陥ある作品のようにはとても見えない。
前作ファンとしては、前作を意識しにやにやしつつ、新しいヒロインにニヤニヤする。ただそれだけを求めるゲームとして十分だったようには思う。

どうにも文章にすることが難しいので、この作品における駄文はここまでにしようと思う。

余談だが、このtwinkleというメーカーは個人的にずっと応援しているブランドであるので、3年ぶりに新作を出すと聞いた時は驚いたものだ。
今後も応援していきたいので、メーカーさんにはぜひとも早めの新作をお願いしたいところである。


「以下、文字数増やしともいえる、プレイメモ雑記。」
・共通ルートは4人と再会するまでの過去&直前研修の一週間
→文字にすると短いが、体感的にはあまり前作と差はない。

・股間ネタ、水鉄砲は前作をあえてといっていいくらい踏襲している。泉ルートでの野球ネタも水萌選択で健在。

☆前作ヒロイン全員が共通ルートで登場。立ち絵ありキャラほぼ全員が一堂に過ごすCGさえあり感動。

・おそらく、ヒロイン対応の展開ありか。

水萌 74+3(抜けた分)
・マサイ族再来
・女装手コキ○
×いくらなんでも個別が似せすぎでは。意図的なデッドコピーなんだとしてもさすがに。
・泉ルートとリンク
・前作エンドロールは吹くって。

いちこ 75+2(酒に免じて)
△スキップ速度は平均以下
・カスラックやめい
・沖縄のノリは知らないが、軽いノリなら大歓迎さー!
・伝統の初H妨害
・わかめ酒やっほう!
×SD絵は回収できんとですかそうですか
△ちっと短いかな、悪くはないけど
○EDが各エリアアレンジなのね

波音 76+3(ヤキトリに免じて)

・割と過去がしっかりスタートしてる、ダイジェスト風味に近いとはいえ
・フランスに飛んだのは唐突だけど、まぁいいんじゃない? こういういかにもありそうな理由が思いつかない告白理由だっていいじゃない。
・アリーゼ立ち絵はよ
・「正直八雲チートにし過ぎた」でなんか笑う
△前作に比べ弱く感じがちなのはやはり、前作がキャラに「初めて」という一貫性をつけていたことか。一貫性が前作に比べて弱くなっている以上弱体化も否めない。もとい、本作が平均値であって決して低いわけではないのだが。
・にんにん
△エロゲやる展開まで花火とセットか。ただ、これはちょっと無理したかな。前作は主人公が強引に進める感じだったけど、こうやって食いついてくるがわなのは……いや、アリだな、外人だし。
△エロのパターンがいちこと似てるんだが
〇大好きな食べ物を、大好きな人と、大好きな人たちに食べさせてあげたい
〇ヤキトリナミネサン(orどうしてそんなに焼鳥が大好きなの?)
△なんだよ「締めるわよー」でEDってwww
・里巴かわいいよ里巴

渚 78+4
・どうでもいいが時系列的な出会いとしては渚→波音→水萌→いちこ か。そういう意味では逆向きに行くのが正しいかも。
・まずは母親の問題を解決。これが最後でも別に悪くはないけどなぁ。
・出禁乙
△過去がもう少し欲しいかな
・海人の前か八雲のバイト時期は
△さすがに唐突すぎんか水族館Hは
・仕事と私生活。サービスって?
・八雲と渚の対立は不快なようで、ある種当然の対立。別に問題はない。
→〇家族を知らないからこそ分かるもの、家族を知るからこそ分からないもの、物事は常に多角的に。サービスもかくあるべき
※お酒を飲むとは、歴史を飲む
◎サービスって、何かわかるかい? 相手を見つめ、相手を測り、相手に最良をもたらすことだ。
ただ、「最良」とは必ずしも「最高」なのであろうか?
それは、決してそうじゃない。
最良は、その人を真に見つめ、不器用ながらも誠意を尽くす、それに尽きる。
○家族の話を解決、で終わらさないのはグッド。家族はそんな仰々しいものなんかじゃない。
・バwwwナwwwナwww
※前作の立夏を意識したシナリオだとは思うが、どうも感動が薄いのは決してテキストが悪いわけじゃない。それはおそらく、主人公ありきだから。前作はヒロインの家庭を問題にしたからこその、ある種第三者をみる感動があった。ただ、今作は逆に主人公の問題にしてしまったことで当事者となってしまいどうしようもなかったのかも。というより、今回の渚の行動は完全に主人公がとるべきそれ。これで鬱陶しいなぁとでも感じるのなら、ヒロインから見た主人公は完全にそうなのかもしれないね。
☆親と子、ってこういうことかなぁ。子は親を見て育つ。子供が親の真意を理解することなんてできない。でも、精いっぱい親が伝えようとすることはできる。そのわずかな差。