よく言えば王道、悪く言えば目新しさのないお話ですが、読み手が読み終わってしまうまでそのことに思いを向けさせないほどに丁寧に描かれていて、とにかく読後感の良いお話になっていると思います。伏線やどんでん返しなどは一切ありませんが、あらすじ通りの話を展開してくれるという意味では、終始落ち着いた気分で読み進めることができるので、ちょっとした合間合間で息抜き程度に触れる物語として、十分に楽しむことができる作品なんじゃないかと思います。このメーカーのほのぼのした空気は、こういう牧歌的な舞台設定にこそ合うんだよなぁ、ということを再認識させられました。ミルトスの住民としてほのぼのと過ごしたいですね。長文はメモのみです。
百花繚乱エリクシル
→AXLゲー楽しいもん!
※いつも通り、雰囲気はよさげ。微妙な既視感は後発作である「王の耳には届かない!」を先にやっているせいだろうから、そこまで気にする必要もなさそう。
攻略は悩んだけれど、以下で行きましょう。
バジル・マリーゴールド→ジャスミン→カトレア→アンドロメダ→マーガレット
バジル・マリーゴールド 77
→ちんまいごーよくシスターさん。この適度な小物感、ヒロインとしてはともかく、異世界物の登場人物としては非常にいい存在だと思います。
→上記したイメージから、とっても優しいいい子、というイメージに塗り替えていく流れは、自然且つ丁寧で、よかったなと思います。それと同時に、堅物な主人公が変わっていく様子、というのも、このメーカーの伝統ともいうべき流れで、自然に展開していっていて、主人公が変わっていく一本の映画を見ているかのような、そんな気分にさせられていました。
舞台設定の練り込み具合の割には、最後以外は「小さな物語」で、「それだけかよ!」という思いが出てくるのもやむなしかなとも思えるものでしたが、いざプレイし終わってみた感触としては、十分満たされた感じがします。
→だからと言って、最後の壮大さを否定したいというわけでも何でもなく。むしろ、この壮大さは、異世界物だからこそほしい、そんな壮大さだと思います。こういうものは、現実世界のような舞台設定では、ほぼ確実に見ることができないものですから。
ジャスミン・ヒヤシンス 78
→おなじみ田舎娘枠。思ったんだけど、ここの田舎娘枠、本当に大体同じような子過ぎて区別つかなくないですか?(ロコナにしろ、コーリオにしろ)。
◎トリロバ卿、子どもっぽい面を含めても、ホントにいい登場人物しているじゃないか……
→同じような子、では確かにあったけれど。こちらでは今までとは違うような、意外や意外なぷちシンデレラストーリーとでもいうような恋愛話に発展してくれていたので、なかなか面白く読めたように思います。子どもの頃から絵本などで親しんできた「ファンタジー世界での恋愛話といえば」という物語にまさに合致するようなお話で、スーッと落ちてくるという感触もあって、読後感がとってもいいですね。
→ところで、このお話。ファンタジーな世界では王道な物語ですけれど、意外にエロゲではこういうお話を目にすることはないのですよね。良くも悪くも、純粋な「子供のファンタジー」という形に収まっていた、という感じに見えて、このようなお話をエロゲで読むのも、なかなか悪くないように思うのですが、他になにか、同じような作品はあるんでしょうかね。そういうお話なら、どんどん読めてしまいそう。
カトレア・ムーンフラワー 78
→明らかに普通の人じゃないオーラしかないおねーさま。謎が謎を呼びすぎて、もはやそういう登場人物という素の姿をさらけ出しているんじゃないか、とまで疑ってしまいそうな彼女。なかなか一筋縄ではいかなそうなので、どんなお話が展開していくのかは、純粋に楽しみです。
※いや、貴方ら大けがし過ぎですやん……?
→概ねが「お茶目なお姉さん」の魅力を抜群に発揮せんとばかりのイベントでまとめられていたルートだったので、ここまでのシナリオの中でも群を抜いて甘々だったように思います。主人公が堅物すぎる分に、甘々な成分を出そうと思うと、ヒロイン陣に頑張っていただくしかないのですが、ヒロイン陣もなかなか堅物が多くて、まさにカトレアさんにしかできない展開だったんじゃないかなと。
その分、というべきではないとは思いますが、最後のなんでやねん感は抜群です()。でも、ここまで他ルートと異色感を既に出してくれているので、そこはネタにしようかなという感情こそ生まれども、評価を下げる理由にはならないですね。
長い時間をかけてゆっくりと甘やかしてあげたいです。
アンドロメダ・ヘリオトロープ 78
→癖が弱いとかそういうこともないはずなのに、気づけばヒロイン陣の中では埋もれてしまっている女の子。確実に、ルートでも余計な苦労を背負い込むのだろうなという感じしかしません。そんな感じが主人公に負けず劣らず貧乏くじタイプなところが、第一印象的には気に入っています。
※サニー、かわいい!!!
→健気な女の子のお話として、普通に面白かったなぁと思います。それ以上に何か書こうにも、テンプレートなお話と言ってしまえばそれまでというところもあって、あまり書くことが思いつかないというだけなのもありますが、とにかく、いいお話だと思います。
こういう健気な女の子が報われる話、僕は本当に弱いんや……。ジミー、よく言うたよ、うん。
(ほぼヒロインに対する好感度で点数を甘めに付けてます。やっぱり、こういう子は好き!!)
マーガレット・ディフィルニウム・ミルトス 78
→苦労人という度合いではアンにも全然負けていない苦労人。冷静そうに見えて、すぐ感情的になるところがあるからか、ある意味ジャスミン以上に危なっかしいところがあるのは、ここまでのルートでも存分にわかってきているので、その辺が真面目一辺倒のジミーとどういうやり取りとして描かれていくのか、愉しみですよね。
→話の系統としては、上記したアンドロメダとほぼ同じというところでしょうか。出来としても、上記と同様で、とっても良くできていると思います。よく、「優秀な文章とは、良くも悪くも流し読みされ、違和感を持たれない文章である」とは言ったものですが、まさにそれなんだと思います。印象に残りにくい、と言われればそれまでですが、読み終わった快感それ自体を純粋に楽しむことができる。いい物語じゃないですか。
―――――――――――
点数
(77+78+78+78+78)/5
=77.8
≒78