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Accord4312さんのCHU→NING LOVERの長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
CHU→NING LOVER
ブランド
シュガーハウス
得点
70
参照数
3562

一言コメント

どのキャラクターも可愛いしシナリオも十分だし申し分ないが・・・・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この作品は少し押すべき部分を間違えたんじゃないかなとは思う。

この作品はタイトルが「チューニングラバー」、キャッチコピーは「中二病×恋=!?」とあるように、厨2病を全開に押し出そうとしているのであるが、プレイしていくうちに個人的にはこれには違和感が生じるようになった。

確かに、黒須奏のルートに限れば彼女は黒魔術に傾倒するまさに私たちが想像する「中二病」を体現しており、まぁ色々言いたいことはあるものの「中二病×恋=!?」というものに一応は迎合しているとは思われる。

しかし、「ノーマル」を売りにしている氷藤洵を除いたほか三人はどうだったかというと、疑問符をつけざるを得なかったのだ。

アイスのものは結局は勘違い程度のものでしかないし、エルク、小夏についても「常人では足りえない痛い思考」という意味では中二病と言えなくもないのかもしれないが、私たちが想像する中二病とは全く異なるものであったとしか言い様がない。

結局、この作品においての「中二病」とはどういう扱いだったのかということになるのかもしれないが、本作における「中二病」は、「ただの常人では考えられない、想像もできない思考」のことを総称しているのみにしか見えないのである。

しかし、最初からこの作品の「中二病」をそれに置き換えると、私の中では奏と洵以外の三人の物語も何の違和感もなく進むことになる。

他人から「中二病」「痛い」などと言われるヒロイン達の思考をそのように置き換えたとき、三人の物語は「とあることを理由に一風変わったものに傾倒し、その生き方を貫いてきた少女たちとの物語」へと変貌したのである。

他人になんと言われようとも、自分の生き方はこれしかない――と開き直る
傾倒してきたものを間違いと認めても、傾倒してきたことについて後悔はしない――と未来を見る
他人と異なる身体だからとすべてを諦めるのではなく、普通にしてもよいのだ――と悟る

ネタバレを多分に含んでいるが、立派な筋の通った物語になったのだ。


散文しか書けない性質の為、よく伝わらなかったかもしれないが、結局のところこの作品は

「中二病」を含めた人とは違う考え方を持った少女たちの成長物語

というところに落ち着くのだと考える。

そのため、「中二病」というこの作品の看板は間違っていると言いたいわけなのだ。

しかし、シナリオはわかりやすく無理のない展開であったほか、サブキャラクターの個性も光り、パロディーや顔芸などもありと、親しみやすい部分も多々ある作品であったことに間違いはないので、ぜひ皆さんにもやっていただきたいとともに、sugar houseの今後の更なる進化を期待するばかりである。