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Accord4312さんの診断の結果、それは恋の病ですの長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
診断の結果、それは恋の病です
ブランド
あるてみす。
得点
72
参照数
143

一言コメント

同人作品であることを加味しても、分量は少々不足していたように思いますが、年上な可愛らしいヒロインとの恋愛話としては、それなりによくできていたのだと思います。シャワーのように浴びせられる多彩な言い回しのやりとりも面白いですし、美麗な絵柄で描かれるエロエロなヒロインも大変よろしいと思います。長文部分はいつものメモです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

診断の結果、それは恋の病です
→ぼくはお姉さんに対する恋の病にかかってしまいました。ぜひ治療をお願いいたします。

土橋菜々 72
→にゃにゃにゃな看護師さん。多分いい子。人を疑うことを知らなそうなすっごくいい子。
◎ライターがどうこうといった、やもすれば作品とは関係のない話になってしまうのかもしれないけれど。
ボクはこの告白の流れのように、あからさまにちょうどいいネタを振ったうえで、それを即時に展開としてうまく昇華するという形がすごく好きだ。もちろん、序盤から丁寧に丁寧に物語を組み立てて、最後にうまく使う、という展開が嫌いというわけではなく、そういう展開も大好きではあるのだけれど、ボクのような頭の弱い読み手でも、この形はわかりやすく、人のやりとりとして受け取ることができるからだ。
普段のやりとりなんかには、最初からこうだったなんて打算的なやり取りは、ほとんど生まれやしない。だからこそ、物語といった場面ではそれを「非日常」の象徴とでもするかのように描いていくのだけれど、それは同時に、普段とは違い過ぎるがゆえに、下手な組み上げ方では、「こんなことあるのだろうか」という疑惑を先に読み手に思わせてしまう。だからこそ、この形式は、ある意味では「非日常」を組み上げられていないという点で糾弾こそされうるのではあるけれど、主人公とヒロインという、2人の人のやりとりとして見ていくのであれば、これほどスッと読み手の意識に入ってくるということも、なかなかないと思うのだ。

→結局、その後はとんとん拍子で話が進んでいってしまい、山みたいなものはありはしたものの、一瞬で終わってしまったので、少々拍子抜けな部分は否定できないように思います。
ただ、先に記した部分のように、たくさん思いを吐き出したいと思える部分があったこのルートは、印象としては悪いものではないかなぁと、そう、思うのでした。
にゃんにゃかにゃーんなにゃにゃさん、かわいいと思います。とっても、とっても、愛おしいのです。
……これが、恋の病、なんでしょうか。僕も、こんな人のためなら、どんな困難に対しても、命をかけて戦いたいものですね。

小嵐立夏 72
→例にもれず最強おねーさま。絶対ワガママがいちいち可愛いと思ってます。

○この最後に至るまでは、正直普通だなーって思って読んでいたのだけれど。この最後の一つのやり取りで、うまく昇華した感じがあるように思う。
また過去作との比較というところになってしまうのだけれど。この作者の作品は「年上のお姉さまの魅力」というものを存分に楽しませようとするあまりに、どこか「姉と弟である」という、「男と女の幸せ」を掴むうえで通常存在する、どうしても抗えない壁というものを、深く掘り下げることがなかった。「姉summer」であれば、あくまで従姉をメインヒロインに据えることでその点を回避し、「姉婚」ではそもそも、その世界観から「姉と弟である」ということが抗えない壁として存在しない世界にしてしまっていたのだ。その意味で、この作者の作品は、「姉×弟」というものが好きな者の中では、その甘美なる世界への称賛を多く受けると同時に、壁の部分についての描写を欠き、良くも悪くも現実感のない物語としての、少々の不満を受けていることが多かったように思う。
そんな作者が、本作では、分量にしてみればわずかな描写ではあるものの、その点についての描写を加え、その点に抗った。そこを殊更に意識させるために、描写を挟んだ。個人的には、この点を取り扱うのであれば、もう少し分量を割いて取り扱ってほしかったというところはなくはないのであるけれど。この作者は、こんな描写もできるんだ、ということへの大きなアピールとして、非常に評価したいシーンではあると思うのだ。

→終わったときの実感として書きたい感想としては、大体のところは菜々ルートと同じことになってしまうのだと思う。
今まで自分のことを守ってくれていた大切な人を、今度は一生涯かけて守っていきたい。そのためだったら、どんなことだってできてしまうに違いないし、できなければならないと、そう感じてしまうのかもしれない。
そんな風にまで思ってしまうほどに、僕の心を揺るがしている、この思い。お姉ちゃんで、今は大切な人な、そんなお医者様のあなたなら、きっと、こう判断してくれるのでしょう。

――診断の結果、それは恋の病です。

と。