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Accord4312さんのかつてありし陽の長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
かつてありし陽
ブランド
Check&Stripe
得点
77
参照数
263

一言コメント

物語の背景やひとりひとりのきゃらくたーの設定がしっかりと練りこまれているにもかかわらず、ギャグが大盛り過ぎる文章で解読どころではなくなってしまう作品。長文に軽いネタバレと攻略メモ記載。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

これほどまでにギャグテキストに偏った作品はなかなかないでしょう。
また、登場人物にもかなり癖がある。
つっきーとかせつかちゃんとか田中くんとか都津ちゃんとかジョニーとか萩君とか(一部人物の重複が見られます)。

これらによってカオスどころじゃないほどに作りこまれた空間は、正直何回も読むというものよりは一度目の尋常ではない破壊力を愉しむものになっていると思います。
何度でも読みたい物語より、一度の破壊力を求める人に向いているでしょう。

ほか、主人公が一番かは個人差があるとして結構なギャグメーカーなので、その真意が最終ルートまで全く見抜けないということになります。
昨今流行の「カッコいい系」主人公であることにはあるのですが、その辺で人を選ぶことにもなるかと思います。

あとは、選択肢に遊び心が多かったのも◎。

ただ、難点もあり、各ルートの終盤部分の描写がそれまでのふんだんなギャグに真意を包み隠すかのような描写に比べあっさりと真意が描かれ過ぎでしょう。
本来それくらいあっさりと書いて然るべきことなのかもしれませんが、それまでの重厚さに比べればテンポが無駄に早くなりすぎてしまい、力量うんぬんよりバランスが悪かったというべきなのか。
あと、登場人物が設定の大きさの割に少ないので、大体の登場人物が話の根幹にかかわり、無駄がないキャストといえば聞こえはいいものの、悪くいってしまえば途中で予測がつく物語になっていたのも欠点でしょう。
雫のお兄ちゃんの下りとか回想の時点で現在名乗る仮名が出てきちゃっててなんかアレ。

これに関しては、同人であるゆえの人物の数の限界もあるとは思われるので、一概には何とも言えませんが。

総じて見れば、あくまでギャグものとしては設定、シナリオともに申し分ないものの、シナリオを愉しむならばもう少し尺が欲しかったというところでしょうか。

でも、正直、めちゃくちゃ笑わせてもらいました。この作品を生み出した製作陣に感謝の一言に尽きます。

(以下攻略等の情報記載)




















攻略
・雫は月深、切華の両ルートを攻略後開放されるラスト√。

・月深、切華はどちらを先に攻略することもできますが、物語の設定の深さから考えて、「切華→月深」の順で攻略するのがベターかと。(もっとも、私は逆に攻略しましたが、特に問題はないと思うので、まぁ気にする方がいればという程度で)

・細かい攻略につきましては、基本はヒロインが絡まない選択肢は適当に選びながら、目当てのヒロインを狙っていけば攻略は可能です。
ただ、一応のメモとして以下はご参考までに。精密なメモではないので、あしからず。

(共通ルート)
・お風呂を覗くかどうかの展開があるが、ここで危険を顧みず特攻するのは危険。女の子相手には慎重になった方がいいです。他でどれだけ暴れても構いませんが、念のため。

・切華との決闘の選択肢は、切華√攻略後までは「手加減する」しか選択できません。
本気を出すと、そりゃもちろん結果は見えてるでしょうけど、このゲームの本当のヒロインは誰かを考えたら、本筋の話を進める場合はやっぱりその子に従った方がいいでしょう。
ちなみに、シーン回収があるので、一回は本気を出すこと。

・ルート確定は第三章の戦闘後、「戦いのあとに」に出現する選択肢で選択したヒロインのルートになります。

(月深√)
ルート確定後、切華の部屋でのお泊り展開がありますが、この√はもうつっきーのルートなんだから、冗談に思われない選択肢は選ばない方がいいでしょう。選ぶとしても、せめてその場にいる人で。

(切華√)
確定するには、共通ルートで「心を痛める」を選ぶこと。
また、ルート確定後はもうためらわないこと。その場で何かが起こるわけではありませんが、肝心な部分で痛い目に遭います。

(雫√)
特にBADエンドという展開はありません。純粋にルートを回収してください。

(その他、回収に関してのヒント)
・切華の部屋への侵入の際にアイテムとして使用できるのは、被れるものです。それまでのある選択肢で手に入ります。

・各ルート後におまけが解放されます。