絵柄の綺麗さやシーンを盛り立てる雰囲気作りなどは、同人作品にしてはなかなか良かったように感じましたが、思わず口に出る魔法の言葉「なんやこれ……」が発されてしまう程度にはその題材と展開の仕方は困惑するようなものだった気がします。いろんな部分を加味すれば「まぁ悪くない」といった感じなのでしょうが、もう少しもやもやしなければベターだったのかなぁと。長文部分は大体適当です。
オトコノコ（否「男の娘」）な主人公が、クラスメイト達にいぢめられている中本当に魔法少女（）となってしまうものの、それで別に生活環境が変わるとかそういうこともなく、変わらず主人公はいぢられ、好きな女の子に愛されてしまう。そんなほのぼのでエロエロな魔法少女ストーリーといったところに落ち着いていると思います。
手軽にオトコノコエロスを見ようと思っていたプレイ前とは裏腹に、分量を弁えてバランスよく描かれている描写のおかげで、プレイ中は話自体を存外丁寧にを追っかけていたような気がします。
もっとも、天使に運命に魔法少女という、多分にファンタジックなこれらの題材な分だけ、どうしても展開に頭がついていかないような、荒唐無稽な部分が多々散見され、多分にその設定自体にはもやもやするような気になる部分があったことは否定できません。そのため、そういう部分については正直「なんやねん、このオナニー展開は……」と思うところです。
他方で、主人公それ自体については、そのかわいさも登場人物としてのパーソナリティも十分に描かれていたのでよかったと思います。少々エロ方向に正直すぎないかという気はするのですが、その正直さがシーンを盛り立てている気がする部分も見られたので、これはこれでしっくりきました。
結局のところ、題材それ自体の落としどころには個人的に「非っっっっ常に」もやもやする部分はあるものの、意外に男らしい？オトコノコな主人公を楽しむ物語として考えれば、それなりな出来ではないでしょうか。アブノーマルなシーンを特段入れることはなかったにもかかわらず、エロも個人的にかなり来ていたので、その方向で気になっている方は手に取ってみてもいいのでは？
追記
意外に男らしい？という言葉に対する「逆に」というわけでは必ずしもないのかもしれませんが。オトコノコ（）なお話に有りがちな、ヒロインに終始主人公が引っ張りまわされる、という感じではなかったところは賛否が分かれるのかもしれません。
決断すべき部分に対して終始あわあわしているという優柔不断さを、フィクション特有の一つの女性性として捉えて、オトコノコのかわいさという部分を引き出すところに利用している作品は少なくないです。そのため、その部分に主人公の可愛さを期待して買うというのであれば、あまりお勧めはできないのかもしれません。
また、ネタバレになるので細かいことは言いませんが、荒唐無稽な設定はいっそのこと最初のほうから触れておいてほしかったような。触れているのかもしれませんが、生憎のところ、浅学無知の私めの理解力をもってしては到底その旨を示唆しているようには思えなかったので。