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Accord4312さんのプリマ☆ステラの長文感想

ユーザー
Accord4312
ゲーム
プリマ☆ステラ
ブランド
アトリエかぐや
得点
85
参照数
651

一言コメント

王道な設定と王道な展開が、登場人物全員を読み手にとって「馴染み深い」存在に仕立て上げているからか、エロシーンに留まらず物語全体を自然と「受け入れて」しまう。エロシーンを楽しみつつ、対象となるヒロインを心から好きになることができるという、まさに「恋愛エロゲ」としての理想形ではないでしょうか。これだけの評価も十分に納得です。くすねぇの介護がしたい。長文部分はプレイメモです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

Prima☆Stella
→メモを書きだす前からのプレイ作品なので、便宜上メモを残すだけ、という形に留めます。
なので、相当に簡易版です。

◎設定をうまく生かしているし、なにより、ヒロインをうまく描こうとしていると思う。あくまで、エロシーンを映えさせるために、登場人物を描いているというそれだけにすぎないものではあるのだろうけれど。それが過剰ともいうべきくらいにうまく作用して、登場人物を事細かに描き切るお話に仕上がっているというのが、なんとも面白い。突然変異のような作品、と言われるのも納得だ。

攻略順は以下で

日秀 巴→高鷲 雅→苧島 久住→東方院 静歌

日秀 巴 82
→出生だけなら唯一の普通っ子ちゃん。どちらかといえば主人公と同じ「お客さん」なスタンスの彼女と主人公の話は、どの方向に着地するのかが、純粋に興味が出ます。

→堂々と、こんな王道なシナリオ見せつけられるなんて思ってなかったよ! 確かに、こういうことを題材にしている以上は、ある程度の専門的な目から「それはねーよ」みたいなことが言いたくなるのかもしれないなとは思うのですが。それ以上に、とにかく、読んでいる側が「がんばれ!」といいたくなる。頑張る彼女を、応援したくなる。そこまでにこの長くはない文章量で「日秀 巴」という少女を身近に感じさせている、まさしく優等生なシナリオだったのではないでしょうか。
エロもよかったですし、悪くいうところをホントに見つけられません。属性的にこの子は一番点数低めかな、と予測をつけて一番最初にプレイしたのですが、これじゃあ残り3人でどれだけのものを見せられることになるのか、今から楽しみで仕方ありません!

高鷲 雅 85
→ぜったい、しゅき。

→簡素簡明。自分の信じるものを滅多なことでは曲げようとしない、気高いオーラを纏った少女の、大きな決意のお話でした。少しあっさり目に描かれているのは事実なので、その点が気になってしまう人はいるのかもしれませんが。少女の決意の堅さもあって、それに比例するかのようなしっかりとした読み心地を感じることができるので、自分にとってはとても良いものだったと思っています。
こりゃ好きすぎて離れない人出てくるわ……

苧島 久住 86
→おねえちゃん!!! ぼくがやしなってあげるからね!!!!!!!

※これだけ恋敵として胸糞が悪くなる人物をよくかけるなと、素直に称賛したい。「お決まりの恋敵」というものを描く物語は枚挙にいとまがないけれど、その「お決まりの恋敵」を、まさに恋敵たるという姿に描き切っている作品はどうにも少ないので。
→主人公の視点で描かれる物語であるならば、主人公に対する「恋敵」というのは、ごく普通の人間であるだけでは足らず、主人公にとってとても気分の悪い存在でなければならないと思う。ましてや、「最終的には愛がすべてなの」という言葉に頼らせすぎるばかりに、主人公よりも地位も金も能力も性格も何もかも最高な人物を恋敵に据えるなんて、神の視点からの物語でもなければ、主人公はただのお邪魔虫にしか見えず、到底読むに堪えないお話になってしまうのではないか。
→このルートにおける恋敵は、典型的な地位があるだけのドクズなので、主人公視点の物語においては、「恋敵」たる存在としてベストともいうべき存在なんじゃないだろうか。卑近な言い方ではあるが、「お邪魔虫」のような存在にきっちりと収まっていて、主人公とヒロインが最終的に結ばれる、というベストな立ち位置に収まることに対する、いい隠し味としてばっちり決まっていると思うのだ。

※僕知らないんだけどさ、貫通した?んだろうけど、それでも拳銃で撃たれた人が痛がるのって、こんな程度なもんなのかな……?

→展開的な意味ではある意味、今までやってきたルートの中では一番お嬢様らしいお話だったのかなと思います。あとはここまでに書いたこととだいたい同じ。まさしく優等生なシナリオで、良質なエロも相まって、とっても良いものに出来ていたかなと。
こんなお騒がせお姉ちゃんと歩く未来っていうのも、いいものなんじゃないかな。

小早川 美雪
→小箱で開放。すっごくいい。くすねぇではちょっと足りない、まじめな年上成分を補給することができるので、とってもいい。シーンも飽きが来ないようなシチュになっていて、どれも実用的。

桐島 悠
→小箱で開放。単独のシーン自体は少ないけれど、これはこれで、また足りないクール成分を補給することができるので、バランスが良い。
→よくよく考えてみなくても、このゲーム、ヒロインの属性のバランスがすごくいいな……

→2人を含めた小箱シナリオの良さで+1

東方院 静歌 83
→メインの風格は漂わせているザ・お嬢さま。ただ、上流階級的なお話は久住が既にやってしまっているし、この子に雅のように高貴さを感じさせたり、巴のように元気さを感じさせたりするルートは厳しそう。そうすると、慈愛というか、そういう感じのお話に着地していくのだろうけれど……どこにたどり着くんだろう……?

→予想に反して、ベッタベタの恋愛という感じのお話になっていった感じ。他の3人に比べれば、出会いの部分以外で舞台設定等の特殊性をあまり用いることなくやりきったルートなので、目新しいかという意味では物足りなさを感じてしまうところはあったように思うけれど。
元々がかなりの「いい子」である静歌が、いい子なりに悩むお話で。腰が低く、気弱な少女のように見えながらも、強い芯を持っているという、そんな彼女の存在を、物語を通して、十分に読み手の心の中に植え付けた上で描かれるお話なんですから、刺さらないわけがないんですよね。
→ヒロインという「キャラ」を深く愛することができるか、ということこそが最大のポイントであると考えるこのようなゲームとしての、個人的な理想形をしっかり作り切ってくれていたと思います。
たぶん、この先しばらくは、ちょっと没個性だけど、ひょこひょこと後ろをついてくる姿が可愛い、愛する人のためならばどんな風にでもなれる、意外に行動力のある子の女の子のことを、存外忘れないでいるんだろうなと、そう思いました。

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点数
(82+85+86+83)/4+1
=336/4+1
=85