まさにタイトル通りと言ったゲーム。同人らしい強気なキャラ設定も、最近の半商業化した同人ゲーに慣れるとどこか懐かしささえ感じる。話も短く的確に、まさにタイトルという感じで綺麗に〆ており、地に足がついた話だったのではないだろうか。短めのちょっとしたいい話を愉しみたい方にお勧めです。姉妹が両方とも可愛くてどっちが好みかなんて選べません。長文部分はプレイメモのみです。(最近これが多いので、少しずつ前のように長文で思いのたけを描いてみたいものですが)
☆ふぁみりあ=Fami:Liar=Family:Liar
→まさに、このゲーム通りのタイトルじゃあありませんか。
→なんとなく、予想が出来ていた展開ではあったけど。というか、この展開をやるなら丸ちゃんの紹介を公式サイトにのせてちゃダメじゃないですかwwwww
☆「苦労したら、幸せになれないの?」
☆「苦労したから、幸せじゃなかったの?」
☆「彩人のお母さんは、幸せだったよ、きっと」
→偽りの家族だからなんだ。苦労するからなんだ。世間が許さないからなんだ。
人間にとっての幸せってのは複雑怪奇な感情で、決して一つのはかりで推し量ることのできるものじゃない。
でも、だからこそ。
その時はどれだけ困難が待ち受けていると思ったとしても、それが幸せだと思ったことをやるのが一番じゃないのかな?
それが、社会的に力を持っている社会人が、子供に対してできる、唯一で最高の道しるべ。
だって、大切な人が、本当にやりたいことがあるのに、手を伸ばすことさえ許されず諦めるしかない姿なんて、何より見たくない、自分が不幸せになったとしても絶対に見たくない姿でしょう?
※「みんなが相手の幸せを考えて。なのに結局、今この場所で、誰も笑ってない……」
「何が足りないんだと思う?」
少し間をおいてから、夏海はゆっくりと口を開いた。
「覚悟だよ、きっと」
「『将来良かったと思うかもしれない』なんて彩人は言うけど……」
「そんなの言い換えれば、誰かが幸せにしてくれるかもしれないって、無責任に願ってるだけでしょ」
「本当に幸せにしてあげたいなら、自分の手で幸せにしてあげるしかないんじゃないかな」
「勿論世の中そんなに甘くないから、失敗したりするだろうけど……」
「そういう時にはきっと、まひるちゃんとゆうなちゃんが支えてくれるよ。あたしだって力になってあげる」
「だから安心して、好きなようにやってみなって」
~中略~
「さぁ、どうする。何もしないやつに、幸せになる資格はないぞ」
→夏海さんマジ男前。
☆このゲームをうまく締めてるのが、丸ちゃんの存在な気がした。丸ちゃんは良くも悪くもぽけぽけで、良くも悪くも杓子定規。でも、だからこそ、ふたりの少女の切なる思いを堅くアプローチしてくれる、対なる存在。
想像上の産物でしかなかった人を頼り、その人と家族になりたい。そんな真っ向からお花畑なファンタジーのような、純粋でささやかなお願いを、地に足をつけて叶えてくれる、太陽によって生まれる影のよう。真逆のようで、決してなくてはならない。そんな存在。
※この先もきっと苦労の連続であったとしても、そんなのは当たり前。だって、それは夢をかなえた結果だったのだから。
ーー自分の力で好きな道を進み、大切な家族と一緒に暮らすという、世間からすればたったこれっぽっちで、でも願う人にとっては何より大切な、そんな夢をかなえたのだから。
一番大切なものを手に入れたのだから。
「どんなに大変だって、すっごく楽しくて、幸せなんだから♪」
☆(引用)
ふと、正直者は損をする、なんていうことわざを思い出した。
いいだろう、どれだけ損をしたって、幸せなら構いやしない。
もう選んでしまったんだ。最後まで自分の気持ちに正直に、慌しい毎日を送ってやろうじゃないか。
どんなことがあっても問題ない。
だって俺には、こんなに心強い家族がいるんだから。
※「全部彩人さんのせいですよ」
「俺の?」
「はい」
「彩人さんの事を好きになって、ずっと私とお姉ちゃんだけで独り占め……二人占めかな? したいって思って……」
「それで気がついちゃったんです。本当の私が、結構欲張りなことに」
「別にお金なんてなくてもいいんです。お姉ちゃんが言ったように、遺産を放棄しても構わないと、最初は思いました」
「だけど、思い出は手放したくなかったんです」
「お父さんとお母さん、お姉ちゃんと私。それに、先生も」
「あの家にはたくさんの思い出が詰まっているんです」
「そう考えたら、だれにも渡したくなくなっちゃいました。お父さんとお母さんが遺してくれたものを、ちゃんと私が守っていこうって」
「……そっか」
「お父さんとお母さんが遺してくれたあの家も、遺産も、会社も」
「いろんな事を学べる仕事も、楽しい学校生活も」
「そして彩人さんとお姉ちゃんと私で暮らす、今の生活も」
「頑張る事で欲しいものが全部手に入るなら、私はいくらでも強くなってみせますよ。ふふふ」
→二人の幼き姉妹の、精いっぱい掴む幸せ。
それぞれの性格の出た幸せの掴み方ではあるけれど、読み手としては安心して見れて、それがまたよい。
・完全に余談だが、エロゲを気が付けば多くの本数をプレイしてきて、駄文ではあるものの、多くのエロゲについて感想を書き、はたまたある時は稚拙な言葉ではあるものの、声という形で感想をネットで配信してきた。
そして、そのうちに。
初心を忘れていないつもりで、いつでも目の前の作品にどっぷりつかって、それを楽しむことを無意識にできていたはずなのに、今では若干意識的にしなければできなくなってしまっているのかも?
そんなときに、この丁寧に、初心を突くかのような作品を、何の気なしにプレイしてみて。
せっかく楽しくてやってるのなら、意識的にならないで、思うままにゲームをするのが当たり前だということを、再認識したかもしれない。