ErogameScape -エロゲー批評空間-

AONさんの滅び朽ちる世界に追憶の花束をの長文感想

ユーザー
AON
ゲーム
滅び朽ちる世界に追憶の花束を
ブランド
郷愁花屋
得点
100
参照数
1169

一言コメント

8つの花と共に語られる8つの物語

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

あらすじに関しては公式の紹介文が一番素晴らしくあまりにも美しいです
是非公式に行かれて下さい

本作は
「forever」「melancholy」「circular」「abandoned」「vivid」「lost」「innocent」「dear」
8つの違う物語にて構成されます

8つにはそれぞれ違う主題があり
各話のモチーフになる花に例えながら進行していきます


SFとあり、科学の話が出た際に難しい話に行くのか…?
と焦りましたが科学要素は本当に一部であとは未来に夢見た…
あえて言うならドラ○もんのような
「理想の科学」で「こうあったら楽しいだろうな」
という子供の夢を実現した未来の科学だったので難しく専門的な事柄はなく分かりやすかった印象があります

でも
「こうあったら楽しいだろうな」
を実現した中に湧き出た現実的な問題
「理想を現実に変えても立ちはだかる壁」
そんな夢や希望を描きつつも現実の世界がありました
難しい問題やシビアな問題…辛くなりそうな題材が多い中
淡い絵柄と世界観で重苦しい悲壮感を感じさせず上手く綺麗に纏めていました

本編以外にも章が終わる毎に章選択画面下に章メインの花のアイコンが追加されます
それがtipsとなっており、本編の主人公の主観では描かれなかった部分の補完となっています
補完があるのも話とキャラの掘り下げとして効果的でしたが
最後に章選択画面が花で一杯になっていくのがまさにその章の花束のようで…
画面の見た目の美しさも良かったです

8つの物語、それぞれの主人公が各々の幸福を目指し、理想を追い求める
立ちはだかる現実、そしてその先に待ち構えている未来
例え技術が発達していても発達しているからこそ突き当たる問題
完全に思い通りにはならない、ままならない、自分が居る今の世界の中
それでもその世界を強く生きる人間たちが描かれています


しかし同時に8つの物語に分かれている分、話に差が出ているというのも事実で…
おそらく話によって好きな物語に落差が激しくなる所もあると思います
そして分かれている分、話が変わる度に最初の引き込み部分まで辿り付くのが大変だったり…

しかし一長一短の中で、この構成に出来るのは同人ならではの試みだと感じました


話に差はありながらも各話の世界観の統一感は素晴らしく
話が違えば雰囲気がバラバラになってしまいがちな中、花で統一感をとっていたのがとても上手に感じられました
その花の物語が最後に花束のように纏まる形もお見事
まさにタイトルの通り花束のように美しく、そして美しくも必ず朽ちていく物語でした



ネタバレ含めのシナリオ、キャラ総評
以下ネタバレです






















【ネタバレシナリオ総評】

淡く儚い雰囲気を出しながらしっかりと芯には固く揺るがない主題がある
ふわりと淡い花を咲かせながらも根はたくましく地を貫く
そんな作品でした

雰囲気がとても少女漫画に感じたのですが
abandonedは陽炎、circularは大悟、lostは幾が主観の物語ですが、主軸はブルーとマゼンタと翠にあります
その主軸が女性の部分とメインになる花、その部分に少女漫画らしさを感じたのかなと
しかし少女漫画の雰囲気は出しつつも、なんちゃってではありますがSF、科学の部分が主題に合わさり
フワッとした絵柄にしっかりと現実的な主題
メッセージウィンドウや写真加工などは自然的な雰囲気でありながらも、エフェクトや写真自体は人工的で
その自然と人工の相反する2つが綺麗に合わさっていた感じがします


私は公式にあったので

forever→melancholy→circular→abandoned→vivid→lost→innocent→dear

の順番でしました
話を進めていく内にアレ…と思い始めましたが
実はコレ、同じ世界の違う時代の物語なんですよ

forever
「どこかの会社の天候管理」
circular
「マゼンタの予言書」
abandoned
「レッド、ユリ、ゲント、そして陽子」
「想起大の四大有名人」
vivid
「紅の子供の頃は天気は晴れか雨しかなかった」
「ヒロ」
「ジャンクタウン」
lost
「かつて科学の学校があった場所にユグドラシルがある」
「終末の予言」
innocent
「百合と玄兎」
「裁かれた宗教団体の教祖」
dear
「ハルが語るたくさんの人の物語」

この辺りから大体の時代の流れを読むことが出来ます

それぞれで完結した上で、小さな小さな台詞がそれぞれで補完され、実は大きな一つの物語になり、滅ぶ世界まで描く
長い歴史の人間の命のバトンタッチ
とにかく壮大でした
各話一個一個の主題もですが大きく見た際の主題もあり
世界観ゲーとしても考察ゲーとしてもとても大好きです!!



以下各話のキャラとそのルート感想
キャラと物語が多いので物語とメイン格の女性と同時に絡めて感想を
好きな台詞が多すぎるので引用多いです

後半に分かる範囲でゲームの隠し要素的な物の見方を入れています
そちらだけ見たい方は飛ばして下さい


【forever】
「永遠の愛」
花は薔薇
花言葉は「愛情、模範、貞節、情熱」

一番好きで揺さぶられた物語です
とにかく語りたいのは主人公、望月緋依です…
最初は人の男を奪ったり、親の金を使って整形したり、高飛車だったり
「何て嫌な女だろう…」
と思ってたんですよ…思ってた時期もありました
でも、進めば進むほど魅力的になっていくんですよ…
学問に対しても美に対しても出来る事は手を尽くし妥協しない努力、しっかりと前を見据え凛とした態度
性格などの悪い部分は自覚した中で、絶対に曲げない自分
最終的に「美しい物が好きだったらこれは付いて行くな…」となるほど魅力に取り憑かれるほどに
いや、本当に格好良かった
今まであまり見たことがないキャラで…
外見や記号ではない本当に内面の美しさが輝いていて…
そりゃこの大元があれば外見さえ整えば最強だと思います
「神様が居たのならこの本来の内面の強さへのハンデでの外見だったのでは?」
とも思ってしまうほどに

そして「整形」とフィクションではともかくドラマでも今まであまり見たことがない題材でした
人工の青い薔薇と自然の赤い薔薇
整形した緋依と整形前の醜かった緋依
人工の青い薔薇は自然の赤い薔薇には敵わないのでは?…なら整形した自分は?
永遠と一瞬、永遠は一瞬を知ること
一瞬を犠牲に永遠を手に入れる、その一瞬の代償
その相反する物事の対比がとにかく美しく…
おそらくforeverが一番長いですが、始まりの時代の物語に相応しほどの出来で本当に素晴らしかった

「例え一番でなくても、美しいものはあると思うんだ
 何を美しいと思うかは…人それぞれというか
 普遍的なようで普遍的じゃないんじゃないかなって」

「緋依は自分の人生を諦めず、多大な努力をして、こうして華やかな自分に生まれ変わったんじゃない
 いつでも逞しく、強く生きていたあなたを見ていた人は…きっと他にもいたはずよ
 緋依は…あなたが思っていたほど、醜くなんてなかった」

「あなたは、たとえ整形していようがいまいが、ともかく美しいって…そう思える
 …顔が綺麗だとかそれ以前にね、あなたのその堂々とした態度とか凛とした様子が素敵だって思ったの
 向かうところ敵なし! って感じの、かっこいい美しさ」

顕二、陽子、富士先生に言われますが
「緋依は整形して手に入れた美で、外は人工の青い薔薇かもしれない、けれども元の中身は間違いなく美しい赤い薔薇であった」
この
「人間は見た目ではなく中身」
という題材って下手をすれば
「何をキレイ事を…」
になるんですよ…嘘臭くなるというか偽善的になるというか…
そんな偽善的、嘘くささを感じさせず見事に描ききっていたと思います
「他人が醜いと思っても、自分が美しいと思っていればそれは美しいもの」
美醜は本当に自分の世界で決めるものだと、そして美しいものはただ美しいのだと

緋依が醜いと思っていた自分の過去と向き合う時や美に関してもですが
主題の「永遠」の部分もとても綺麗で
顕二の事故の件で陽子の言った

「永遠とは今を、一瞬を知る」

の意味に気付き…
未来の為に今を犠牲にした事を後悔し…
顕二との「幸せな一瞬」を追憶するシーン
とにかく何もかもが印象的でした


今まで整形に対してそんなに良く無かったイメージをガラリと変えられたので
少なくとも私にとっては「今までのイメージを覆すほどの力のあった作品」でした


【melancholy】
「憂鬱な浮世」
花は紫陽花
花言葉は「移り気、辛抱強い愛情、元気な女性、変節」

過去と現代が交互に描かれる姿
祖母の蒼子と孫の紫亜
祖父の清二郎と孫の清四郎
その2組の今と昔、それぞれの憂鬱とそれぞれの大人への成り方を綴っていく
この構成は実は一番好みです

ただ、紫亜は地味に清四郎に対して言う言葉に悪意はなくても
「清四郎くんが望めば…絶対できる!」
など、解決策もないままポンと言う所に首をかしげたりしました
その点では寄り添い、話を聞きながら解決策も提示する蒼子さんの方…過去の蒼子さんの方が好みです

「梅雨の日の憂鬱に負けない会」
の微笑ましい活動などを見るととても悲恋の部分が切なく…
しかし悲恋だったからこそ、紫亜と清四郎が居る
そういう部分に世代の繋がりを感じ…
この話だけ緋依の世代の大きな流れから独立した物語ではありますが
その流れから離れつつも、しっかりとした世代物だとは感じました

パスワードには驚きましたね…
この独自の設定ならではで「なるほど…」でした
クラスの日誌の「雨の好きなところ」の部分からパスワードに気付き
システムの書き換えで雨が降り、虹がかかる流れが本当に綺麗で…

「……綾小路くんも、見てるかな………
 この空の上から、この虹を、……見てるかな………」

の部分もありその構成にとにかく引き込まれました
tipsの「明日天気になあれ」も

「雲の上の世界ならさ、雨は降ってないわけじゃん
 だから、空の上で暮らせば一生雨に悩まされることなく生活できるんだよ!
 …空の上ならさ、雨の日の憂鬱に悩まされることもなく…憂鬱になることもなく楽しく暮らせるんだよ」

「…神様はきっと空にひとりぼっちだから寂しいんだと思うんだよね
 でも、誰かと一緒ならきっとそんな憂鬱も吹き飛んじゃうと思うから
 あたしが空の上の神様を慰めてあげるの
 明日天気になあれって」

そんな神の元に蒼子ではなくきっと清二郎が向かったのだろうなと思うと…
空の上で雨にも憂鬱にも悩まされる事なく虹を見ていて欲しいです


ラストは蒼子と清二郎が結ばれなかった分、孫の紫亜と清四郎が結ばれる?
とも思ってましたが、それぞれがお互いの夢を叶え、仕事をし、たまに出会い会話をし別れる…
という「夢を叶える」という終わり方が非常に心地よく…
melancholyの主題は「憂鬱な浮世」でそれを吹き飛ばす為に「夢を叶える」だと思うのと、元から恋愛物ではないので、「夢」で終わらせたのが凄く好みでした


【circular】
「巡り来る運命」
花は蓮
花言葉は「雄弁、沈着、神聖、清らかな心」

宗教観やマゼンタの性格で好みが分かれそうなのがこの話でした
正直この話だけなら凄く「綺麗事」で終わるんですよね…
マゼンタがただ聖人で、大悟の演説もそんなに言葉に力があるようには見えず、周りは本当は良い人ばかりで直ぐに持ち直す…

しかし…案外そうでもないと他の話の繋がりと裏設定を見ると感じました
というか、とにかくマゼンタです
彼女の設定がとにかく複雑過ぎます…

話自体の流れよりもマゼンタ自身の存在がこのゲームに広く関わるので
circularは物語というよりもマゼンタのキャラクターが大きい印象が強かったです
とにかく彼女、他の物語とあとtipsに登場するんですよ…
他の話と交えないと語れないので交えますが、マゼンタは紅と緋色の子供です
彼女は実は「性悪説」として生まれました
そんな中、両親を殺した事により「悪」に気付き嘆き
それから「誰にも許してもらえない罪を」を背負います
そんなマゼンタが言います

「でも私は、性善説を信じます」

…「性悪説」として生まれた彼女が「性善説」を信じ、それを貫こうとするその歪み
マゼンタに対して多くのプレイヤーは違和感や嫌悪感を感じる所があるかもしれません
「善人過ぎる…」と
しかし彼女の過去を知った上で見ると案外彼女の語る「善」の話は「性悪説」で生まれた自分に言い聞かせて居るとこもあるのでは…?
「せめて善人で有りたい」という自分の願望の上で
まさに大悟が言った

「人は人によく見てもらいたいって願望」

であり、その願望の上で成り立ち、だからこそ、大悟の言葉を

「それこそ、性善説ではないですか
 人の為に、何かをしてあげたい
 そのことで自分も満足できるということは…結果的に同じことではないでしょうか?
 自分の為に他人の為になること、他人の為が自分の為になることは、表裏一体のものだと私は思うのです」

と肯定したのではないかと思うのです
生まれ、殺し、その時に初めて気付き、せめてもの償いをする
主人公は大悟ではありますが、全体で大きく見るとマゼンタの
「性悪説として生まれた自分の中の善を仮面でも嘘でも偽善でも信じ、貫く物語」
だとは感じました


ただ、大悟の母という伏線はあまり無かったので、大悟がどの辺りで気付いたのかもイマイチ分からず…
信者の自分達の行動の歪みへの気付きも急展開に見えなくもなく
circularだけ見ると「綺麗事の話」に見える所があります
題材にしては話数が足りなかった印象を見受けました

しかし最後の
「銀行のような制度的な組織を作る」
は良かったと思います
マゼンタのように「気持ち」の方向に流さたり「誰もかれも助ける」など「理想論」ではない現実を見据えた解決方法で…
大悟がマゼンタから少しだけ引き継いだ能力の有効活用でもあり凄く納得しました
そして相変わらず母から子へ…親から子へ引き継ぐ物語ですね
「引き継ぎ」の部分がtipsなどではなく本編上で描かれているのは実はcircularだけで一族的な流れではラストなのもあり全体でみると感慨深く…
一族の終わりが秀才でも天才でも奇才でもなく普通の青年という点は凄く好みです


地味に大悟がマゼンタが母と気づいた時にマゼンタの名前部分が「母さん」に変わる所は細かいなと感じたり
大悟の父親の「天人師」についても
高宮が苗字なのでおそらく高宮だと思うのですが
…高宮さんは多分居ないですよね?


【abandoned】
「見捨てられた街」
花は向日葵
花言葉は「あこがれ、私の目はあなただけを見つめる、熱愛、光輝」

陽炎と蒲葵のオッサンが子供を見つめるわいわい物語
とほのぼのに見せかけ相も変わらず重い主題とそして他の物語に繋がる話でした
レッド、ユリ、ゲント…特にレッドですが、あそこまで物語全体の大元になるキャラとは…

主題も一番SF的だと思います
機械と人との境界線
寸分違わぬ同じ姿のものは同じ存在なのか

捨てられたゴミから何かを造ろうとしたブルー、しかしバグにより壊す方に優先順位を向けてしまう
でもそれはバグではなく、彼女が朝日とは違う自分を探す中で一生懸命に見つけた答えで
「創るのが朝日なら壊すのは私」
自分は自分だと証明する為にプログラムに抗う彼女…
無機物でも代わりでもガラクタでもなく、生を証明する為に死を選んだ彼女…
彼女はプログラムに逆らった時点で機械ではなく「一人の人間」であったと信じます

「………オジサンは、………ワタシのたったひとりのカゾクだよ」

ブルーが絶対に「お父さん」と呼ばなかった…
多くの機械の一つの物として見られたくなかった意味…
ブルー自身の存在証明…
「私を私として見て欲しい」
ブルーは朝日でも夕日でも絶対に無くブルーであり、間違いなくジャンクタウンのあの日々は「家族」であったと、そう思います


一つ気がかりなのはブルー製造の伏線が少なく感じ…
陽炎が都会に行った際に急激に物語が動き出したと感じた所です
それまでゆっくりと進行していたのでいきなり急速した感じがしました


ブルーの名前について
ブルーは3078の反転で型番での名前ですが
foreverで
「青は自然界にあまり存在しない色、不自然で、幻想的で、手にすることができない儚い色」
と言われているのですが、ブルーの存在もそういう存在という意味も少なからずあるのかな?とも思いました

あと

「ひとりひとりは社会的弱者でも…それらが一致団結すれば恐ろしい力になる
 あとは、それをまとめる統率者さえいれば問題なしだな
 まあここの連中をまとめようなんて、…それこそ神様のような存在じゃないと無理だろうけどな」

という台詞がありますが…circular後に聞くと「現れるんだなぁ…これが…」となり

「死ぬこともないから、生きてもいない………
 ワタシを殺すことでやっと、生きていることを証明できる気がするの」

ブルーの間際の台詞はforeverの陽子の「不老不死」の理論を思い出しました


【vivid】
「鮮やかな紅」
花は彼岸花
花言葉は「悲しい思い出、独立、再会、あきらめ」

厨二病!バトロワ!殺し合い!ヒャッハー!!
…とか思ってましたが別にそうでもなく
「人とはかけ離れた彼女達が人の気持ちを知る為に友情を築く物語」
でした
後半は凄く良いのですが、おそらく最初の触りの部分で好みが分かれそうだとは感じました
ゲームチックに始まる導入、殺し合う際に喜んでいる節の描写
特に「普通とのズレ」「人とは違う価値観」「狂っている」「生き物を生き物と思えない」という部分
どうしても最初にこの部分が出て「はいはい、厨二病、厨二病」にはなりがちだと
最初はどうしても「あ…ハイ…」という気持ちになりました

しかし、彼岸花との例え方、彼岸と此岸の描写、そして後半の展開により
「全力で人間になる」
彼女達の友達ごっこに少しづつ綺麗に引き込まれていくのが魅力的でした
最初では詰まりかける方も居そうですが後半の締まり方は本当に綺麗です


彼岸花を見た際に見ていた未来やラスト

「私の代わりに貴方は、いきなさい」

はとても印象深いです

「…墓の下まで持っていく嘘は、……きっと本当になるの」

とあるように
そしてtipsの「嘘吐き者」で分かるように
きっと紅は最後まで笑顔のまま嘘を貫き続け、本当にしたのでしょう…


「人間として生きる」
という部分
人としての精神を持ちあわせていない状態もまた「無い」時点で「無」で他の話で言われていた
「無とは生きても死んでもいない状態」「生きているとは言えない状態」
に等しいのかなと思ったり…

「どうして人が死ぬと悲しいのか?」
「どうして永遠の愛は美しいのか?」

「生と死」「永遠の愛」が根底にあるこの作品で一人、それが理解出来ないというキャラクターも必要なのかもしれないとも感じました
他の話で語られるその後の紅の行動などで異様な所があり、他の話やtipsと絡めれば彼女の異端であった生き様が分かりました
だからこそ紅についてはこの作品内では語り切れていない所があると感じるのも事実です
この物語だけ補完として小説が公式にありますが、ゲームとして見た際には少し思う所もあります


正義の緋色と悪の紅
この作品は様々なキャラが主人公の中で、一番「普通の物語の主人公的」なのは緋色だと思っています
foreverが始まり、dearが終わりの物語ならvividは真ん中の物語だと思っています
実際時代軸的にも間ですが、foreverが始まりの種、dearが終わりの枯死ならvividは中央の満開の時代
「世界的に深刻な物資不足だか何だかで至る所で紛争が勃発している」
とあるように満開の時代に「紛争」…ひょっとしたら「戦争」が起こるのです…
満開の美しさ、生きる時に最も輝くのは人間の隣に死がある時…そういう意味があるのかなぁと
正義のヒーローと悪のヒロインのチグハグな…沙乎華の死によって繋がった関係
この二人が争いの時代にどんな行動を起こし、そして終わりはどんな風に迎えたのかは描かれていませんが
死と隣り合わせの世界の中で間違いなく輝いて居たのでしょう


【lost】
「失われた記憶」
花は勿忘草
花言葉は「私を忘れないで、真実の友情、誠の愛」

…おそらく最も難解…というか評価が低いと感じるのがこの話です
ループものを短作では難しかっただろうという印象
色々真相が明らかになるシーンも流れが綺麗でなく、急激に進みすぎてる印象がありました
折角タイトルの「滅び」について描いている章なのに…とも

…結局起こっていた事は物語は97回繰り返していた時点で始まり
終末を恐れた幾が、緑青校長の力で羨ましがっていた臆になり繰り返していた世界で
最後は二人共巨木に潰され死に、翠の視点になり、世界を救うためには隕石に立ち向かわなければならず
翠が向かい恐らく死ぬ…でいいのでしょうか…?

終が何者だったのかも謎で…
予想では幾が子供の頃に共に遊び、火事に巻き込まれた人物で…
幾がその後悔と共に生み出した現実を見ようとする意志…しいて言うならば幾の正義感的な存在…?

lostについてはこの物語上では上手く語る材料が無いのが一番の問題点ですね…


ただ、このまま人類が最後を迎えれば
「誰かに歴史を伝える存在」
は生まれておらず何も記憶を伝える術を残していない地球で終わるはずだった

「もし地球から全人類がいなくなったら、…そしてそこに宇宙人が訪れたとしたら、……彼らはそこに生命が存在した事実を、………解ってくれるかな
 この地球には長い歴史があって、たくさんの生命が存在していたけど、…何もなくなった地球にそれを伝える術はない」

の台詞通りになるはずが、彼らのおかげで伝える存在が生まれる歴史まで続く事が出来た
本当のラストを思い返すと…彼らのお陰で伝える術は生まれたのだと
…例え彼らが呆気無くとも
彼ら自身は何も残せなかった呆気なさを含めモチーフの花が「勿忘草」なのが中々に切ないです


lostに関してはタイムマシンのオマケの要素も絡めて話す事があるので下の方にそれを含めた思った事を書きます


【innocent】
「純真な悪」
花は百合
花言葉は「威厳、純潔、無垢」

正義とは何か、悪とは何かの問答
ずっと正義と悪の定義等で語るので結構好みが分かれそうだと思うのがこの話でした
特に感情の押し付け的な部分と闇ちゃんの思想の切り替え等に議論としてはううん…みたいな気持ちに
まぁオチを見ればそこも納得ですが…
後にオチがあるとはいえ闇ちゃんの理論や台詞などで序盤にカチンと来ると辛い物がありますね


しかし百合と玄兎には驚きました
「え!?この二人が主役なの!?」と
abandonedが先のプレイだったのでその成長とそして今の立場の違い、進んだ未来の違いが背中合わせで…
それぞれの正義を貫いた結果の今の立ち位置に彼らのそれぞれの信念を感じました

その今の違う立ち位置から
「白」が正義、「黒」が悪…なら「灰色」の部分とは?
正義と悪の境界とは…本当に正義は「正義」で悪は「悪」だと綺麗に分ける事が出来るのか?
など難しい、永遠に解決しないであろう題材に他の話と補完し合いながらこの物語ならではの答えを出した点は凄いと思いました


この話自体は最後の締め方も「百合の昇格試験で闇に『正義とは何で悪とは何か』を教える為だった」という「良い人達」の物語…
そこも勿論重要ですが、私はそれよりも「正義と悪」の部分では紅と緋色、そしてマゼンタがtips等の裏でメインだと思っています

おそらくtips
「ダークヒーロー」
「もうひとつの正義vs悪」
「彼の場合」
「未来」

は紅と緋色の物語

「彼女の場合」
「目隠し」
「秘密」

はマゼンタの物語だと思っています

本編もですがtipsがかなり重要で…
これにより更に「正義と悪」について思う所が増えました

8年前に亡くなった緋色と紅…
付着の仕方がおかしい血のついた服を着て泣いていた今はもう結婚している二人の娘…
罪を償う機会…
過去の再現…
ずっと視えていた未来…


これは「純真な悪」の物語ですが、実際の「純真な悪」は闇の事ではなく
正義と悪の間に生まれたのが本当の「純真な悪」で
それが犯す罪から守るために正義と悪、両方が犠牲になったと考えると…

innocentとcircularはお互い「実は言い人達だった」と「正義」で終わる物語で…
だからこそ単品だとあっけない感じがしていたのですが、そこにvividが加わるだけで一気に血生臭くなり
そして「悪」の側面が出てくるのが中々に面白いと思っています


【dear】
「親愛なる世界」
花は蒲公英
花言葉は「真心の愛、愛の神託、思わせぶり、別離」

世界の最後の物語
もう続く事がない…人類最後の少女
今までの物語の集大成で、単品ではどうしようもなく、そして最後に相応しい物語でした
おそらく長さは一番短いです
この物語だけで見れば
「少女が地球最後の人類になってしまい、せめて人類の記録を遺すために、誰かに想いを届ける為の物語」
なのですが…今までの話があったからこその輝きがあります

365もただの笑いの為の海外ドラマ→映画と凄い長く続く面白トンデモ作中作品かと思っていましたが…
「時間を巻き戻し、自分達の存在を犠牲に世界を救うが、世界から見れば結局は何も無かった…けれども見ている人が居ればそこに確かに二人の愛は存在した」
という
「今は存在しなくても、例え形としては消えてしまっても、語り継ぐ者さえ居れば愛は無くなる訳ではない」
という主題があり、この作品の主題に上手く絡めて居たのが良かったです


「永遠の愛を誓った恋人がいた
 この世の憂鬱を嘆いた女の子がいた
 救いを願った少年がいた
 娘を失った父親がいた
 人間らしく生きたかった少女がいた
 臆病者の男の子がいた
 正義の味方になりたかった子供がいた
 たくさんの人がいた…
 …そしてその誰もが、一生懸命に生きてたんだ」


この地球の歴史を伝える為に

「私はただ、誰かと、…一緒にいたかったよ。」

そんな彼女が伝える為、共に居る為に生み出したものは…


【蒔元 則夫】
プロローグ、エピローグ主人公
彼と陽子に関しては別項目で

ラストに関してですが…おそらく陽子は不老不死の薬を飲んでいますが
「出会えなかった」
と私は推測します
なぜならこの物語は「愛の物語」だから
彼には彼の時代で自分を愛してくれる存在があるのにそれを切り捨てた
その時点で「愛の物語」には背いています
「愛の物語」で「愛」に背いた彼には会う資格はないのではないかなと
もう一つの会えない推測があるのですが、これは陽子の項目で書きます

「最も美しい瞬間、最も秩序立てられた世界」

に会いに行った彼
最後の最後に彼は

「そしていつの時代でも変わらず………人は誰もが一度きりの生を一生懸命に生きていたではないか。
 自分が生まれた時代を受け入れ、その中で、懸命に生きていたではないか。
 咲いては枯れ、また咲いては枯れる花のように。
 誰もが美しい花を咲かせるように、それぞれの人生を、精一杯に生きていた。
 花は咲く場所など、選びはしない。
 与えられた生を受け入れ、認め、全うする。」

と気付きますが
実はforeverで顕二が

「きっと目に見えないだけで本当は世界の何もかもが規則正しく、完璧な式をもっていて……
 どんなものにも規則性があって、正しさを兼ね備えていて…だからどんな事象も美しいものだと思うんだ
 …それが目に見える形で具現されてるのが花や宝石ってだけで、…本当は世界中の何もかもが美しいんだと、俺は思う
 この木漏れ日も、風の動きも、太陽の光も、…何もかも
 目に見えにくいだけで………世界は美しいもので、満ちていると思うんだ」

とその事に気付いているんですよね
天才の彼が気付かず、でも既に答えはforeverで出ていた…
天才とは…なんだったのか…
天才であるが故にタイムマシンを完成させてしまいそして届かない過去を追憶する…

滅んだ世界の中、彼が最後に花子さんと出会う事で今までの歴史を語られる、それが
「滅び朽ちる世界に追憶の花束を」
だと思います
ひょっとしたらこの物語を見ている段階が蒔元君が過去の歴史を語られている
「滅んだ世界の中で今までの追憶の花束…彼女達の物語を語られている」
状況なのかも…
もう戻る事は出来ない過去の美しさを未来の中で気付き追憶する物語
追憶しながらも「今」の大切さを最後に理解した彼にとって
間違いなく「今」を生きていた彼女達は美しい…そう見える事でしょう


【種石 陽子】
もっとも普通で

 陽子は、特別美人ってわけでも、何か秀でた才能を持っているわけでもない。
 ごくごく平凡で、ありふれた女の子だ。
 けど…彼女といると心が温かくなるし、穏やかになる。
 彼女は周りの人を和ませるような、そういう…まるで全てを包み込む母親のような雰囲気があるのだ。

と緋依言われるほどの彼女が「不老不死」を手に入れてしまった
彼女はforever最初に

「やっぱり人間は不老不死なんかになっちゃ駄目な気がするの
 生きることは、死ぬことだからよ
 うまくは言えないけど…わたしたちは死をもってしか、生を証明できない気がするの
 …死を許されていない存在、…例えば神様とかが、生きてるって言えると思う?
 決して逃れることのできない死を恐れて、怖がって、それで必死に生きるから、人は人でいられるんじゃないかって
 少なくともわたしはそう思ってるの
 …ねえ緋依、死ぬことを恐れなくなった人間は本当に生きることができるかしら」

と言います
蒔元君に出会うためとはいえ…普通の子が普通ではなくなる…
彼女が言った「生きていない存在」になってしまう…

天才の夫は最初から出ていた答えに最後になりようやく気付き
普通の妻は夫に出会うために普通を捨て人でなくなってしまう

陽子は言いました

「無限なんて本当は………何も無いに等しいの」

「永遠と一瞬」は同じものでその「永遠と一瞬」の対が「無限=無」なのなら
「無」も物語に必ず存在するのではないかと…
それが悲しいかな陽子なのではないかとは思います

最後のtips「君の望む世界」にて

「…やっほーーー!
 僕の声が、聞こえますか
 僕のことが、見えますか
 僕の夢は、叶いますか
 神様」

「………聞こえるよ
 ………蒔元くんの声、聞こえるわ
 わたしには蒔元くんのこと、見えてるわ
 蒔元くんの夢って、どんな夢?」

とありますがあれは人ではなくなった陽子(死を許されない存在の神になった陽子)から見た子供の蒔元君なのではないかと…
科学と相反する神になってようやく出会う…彼を見守ることが出来たのかもしれないです
これが私が陽子と蒔元君が出会えなかったと思った理由です


melancholyでは「空にひとりぼっちで寂しい存在」
circularでは「全知全能で純粋で目に映る人全てを救いたいと思っている存在」
abandonedでは「束になれば恐ろしい力をまとめられる統率者のような存在」
vividでは「人生という生死を賭けたゲームの世界を創り出した存在」
lostでは「どんな望みも叶える力を持つ存在」
innocentでは「何もかも教えてくれる正義の味方のような存在」
dearでは「例え姿が似ていても人とは全く違う存在」

様々な時代で様々な人から「神」が語られます
しかし彼女自信は言うのです

「だからきっと、神様がもしいるとしたら…さぞかし暇なことでしょうね」

あの言葉が陽子自身に向かうのだったら…とんでもない皮肉だと思います
勿論、これは私の予想で、その後の展開が描かれて居ないのでその後は各々の予想があると思います


子供の頃に見た夢
子供が思い描くような科学の未来を描きつつも、それと同時に様々な問題が付き纏うこの世界
夢の隣には現実が必ず有る


"あなたが将来なりたいものは、何でしたか?"


「永遠と一瞬」「無限と無」の中で
二人の愛の物語からこの世界の終末までを描き
そして愛は耐えずに世代を変えながらも続き
世界が滅んでもこの星の…愛の記憶を絶やさずに語り継ぎ遺す
壮大な「愛」の物語でした



【システム、演出】
・操作性
制作は吉里吉里なので特に苦しくは無かったです
ただし履歴をマウスロールで表示すると見づらいのでコンフィグから推奨なのと
左上に
・History
・System
・Auto
・Skip
・Help
のコンフィグですが暗いと場所に気付きにくいかと…
履歴はこのHistoryからでないと恐ろしく見づらいです
右クリックでSystemは開く事が出来
セーブやロード、設定や終了に関しては大丈夫だと思います

・演出
特に変わった演出は無いのですが
メッセージウィンドウの花が各話によって違ったり
一枚絵で数枚瞬きの描写があったり、ミニキャラを細かく動かしていたり
メッセージウィンドウのフェイス表示の効果
枠組みのセンスなど細やかな所に気を配っている印象でした
そしてtipsの演出は好きです

・一風変わったシステム
特に変わった部分はないですが、隠し要素などは面白いです
あと、作中で出てくる一部用語をクリックすると用語の説明が見れるのですが…
コレ文字色の変化があまりなくて気付きにくいんですよね
説明書には一応記載されていますが、気付いた方は少ないだろうなという印象です
tipsも上記に書いた通り、補完と演出として、そして見た目としては美しかったのですが
花同士が重なると見えにくいと感じた部分もあり…
見てないtipsがあると8章目や他のtipsが出ないのでくまなく探す楽しみと同時に面倒くささがありました


【音楽】
・BGM
全126曲全てオリジナル
鑑賞モード有り
全部オリジナルなのも凄いのですが100曲以上もとは…
一曲一曲で見ても音としての違和感というのはありますが、それでも引き込まれるものがあり
各話タイトル曲はどれも美しいのですが特に
「forever」「circular」「滅び朽ちる世界に追憶の花束を」
の辺りが本当に好きです
鑑賞モードでは各曲のコメントもあります

・SE
いくつかは素材ですが、左上のコンフィグに合わせた際のSE等はオリジナルのようです
ここまで拘られると逆に恐ろしいです

・BGMが雰囲気に合うか
各話で使われる曲がそれぞれ違うのですがそれぞれの統一感、そして全体的な統一感が見事に合わさっています
サークル名の郷愁通りどこか懐かしく、淡くも機械的だったり自然的だったり…
雰囲気にマッチし過ぎていました


【絵】
・一枚絵
枚数差分、ミニキャラ含め約100枚
鑑賞モード無し
淡く儚い絵柄で素敵で、欲しい時に欲しい絵をくれます
ですが話の長さも有りますが話によって量にバラつきがあるのが気になりました
innocent、abandoned辺りはミニキャラCGは多いですが一枚絵が最も少なかった気がします
あと、とある女性ととある女性の見た目で少し混合してしまいそうになったというか…
「この人はあの人?」
みたいなのが少しありました
あと鑑賞モード欲しかったです

・背景
写真加工です
約300枚
鑑賞モード無し
綺麗な写真加工で雰囲気は素晴らしいです
ですがたまにポヤ~っとフワ~っとした時にコンフィグ等を出した際に
背景によって地味に見づらいと感じた時がありました

・立ち絵
立ち絵というよりメッセージウィンドウに表情表示ですがコロコロ変わります
笑顔…特に辛い状況の儚い笑顔がとても印象的でした

・雰囲気
雰囲気は本当に淡い中でもしっかりとした部分もあり素晴らしかったです
科学的で、でも自然的で…よく統一出来たなと思います


【シナリオ】
・読みやすさ
丁寧な言葉で語られていた印象です
印象深い言葉や、細かい心情の動き
主題に辿り着く気持ちの流れが綺麗でした

・構成
forever、melancholy
辺りの構成は本当に好みです
ただ、
circular、lost
の構成辺りがううむ…と唸ります
題材はいいのですが…見せ方や8章では足りないかと
あの2つの題材はオムニバスには合わないなぁと
abandoned
は結構後半に急展開な感じ
vivid、innocent
はかなり好みによってかなり賛否分かれる印象
そしてdearは好きですが良くも悪くもこの作品の物で一個では成り立たず最初にコレをプレイすると?になる作品だなという感じです
全体を見た時の構成は凄く好きですが、個別にした時の差が気になりました

・物語に引き込まれるか
どのお話も近未来的な物語で近未来でありながらも温かみがあります
好みはあると思いますが一つ一つの物語の世界観での引き込み度が高かったです
ただ、これも話によって引き込まれ度に差がありました

・独自性や笑い、面白さ
特に大笑いなどはしないですが、やり取りが微笑ましいです
あと365のシーンは良かった
そして主題…特にforeverの主題は今までにあまり漫画やアニメでは見かけた事がなく…
ドラマでも有りそうで無かったり…
とにかくforeverの主題をよく盛り込んだという意味で面白いと思いました

・キャラクター
「良い人」と「悪い人」が分かりやすいです
逆に言うと「良い人」が多過ぎるとも感じ…
章によってはその良い人の部分で展開に好みがありそうです
ですがforeverの緋依!とにかく緋依!!
彼女が群を抜いて格好いいので彼女に5点分捧げたいです



世界観と主題が本当に好みでした
好みを抜いても細かいとは思いますがこの機械的で、でも自然的で
キャラの魅力や、心情の動きが細かく描かれ、しっかりと主題に絡み、それぞれが答えを見つける
淡い世界観、だけれどもしっかりと主題には芯のある物語が本当に素晴らしかったです
話の流れも世界観も、そしてオムニバスという形式もとにかく好みで…
自分の好きなゲームベストに入るくらいに大好きです!!



おまけ的な話
これ以降は隠し要素なので自分で探したい方は進まないように






















・用語辞典対応語句
 これは隠しではないですが文字色的に見つけにくいので
 最初にこの語句が登場した際に語句にカーソルを合わせクリックすると説明が出ます
 他の話と関連がある事柄が書かれてあったり地味に重要です

melancholy
1章「EACカンパニー」
1章「EACシステム」
1章「ダクマタ」
1章「バルキリー」
1章「ビッグバーン」
1章「ヘブンスモール」

circular
1章「ホログラフィ」
2章「イーストフード」
5章「民衆思想取締委員会」

abandoned
1章「ジャンクタウン」
1章「ストレイメタル」
1章「プライアビリティPC」
3章「ストレージメモリ」
5章「エリクシアン」

vivid
1章「ブラッディ Y-563」
2章「モノログ」
5章「仮想現実」

lost
1章「21世紀末の大予言」
1章「テレパシー」
1章「テレポート」
6章「テレキネシス」

innocent
1章「虚構創作物禁止法」
1章「月光戦隊ムーンレンジャー」
1章「真実の眼」
1章「道徳プログラム」

dear
1章「恋人ロボット」
1章「試験管ベビー」
2章「大気循環システム」
5章「ヒューマノイド」


※要パッチ

・あとがき出現方法
 各物語の2周目をすると2周目した物語の0章の右側にあとがきの項目が出現
 2周目必要ですがフラグは各物語の各章の最後
 (foreverなら1章のラスト「長電話」、2章の「またいつか」など各話0章+7章分+8章)
 にフラグがあるので各章の最後のだけを読むorスキップでもOK


・rimembarance
 8つの物語のあとがき全開放後あとがきを読む
 スタート後の話を選ぶ8つの花のアイコンの中央にコスモスが出現
 全体的なあとがきに飛べる


・花束の秘密
 花束を作るごとにこの作品の花が少しづつ追加される
 8回作ると8つの花が全部揃うので
 忘れな草→向日葵→タンポポ→百合→薔薇
 「完成でよろしいですか?」を「NO」
 →彼岸花
 「完成でよろしいですか?」を「NO」
 →紫陽花
 「完成でよろしいですか?」を「NO」
 →蓮
 「追憶の花束」が完成し「世界の果て」に飛べる
 その後に全話の青い花が追加され、幻の青い花束を製作可能


・タイトル画面の変化
 あとがき要素を見ると各話のヒロインと花子さんがタイトル画面に集結する
 「世界の果て」に行くと隠しURLが出現
 作品の年表や裏設定を見る事が出来る
 考察要素部分の多くはここで解明されています


・タイムマシンの秘密
 タイムマシンには隠しコマンドがあります
 各言葉を打ち込むと違う返答が返ってきます

人物系
「hiyori」
「shia」
「magenta」
「blue」
「kurenai」
「sui」
「midori」
「yuri」
「miou」
「haru」
「sayaka」

その他
「rainbow」
「niji」
「nizi」
「1234」
「fmavicld」
「fmcavlid」
「lfmavicd」

「lfmavicd」
は入力後に面白い事が起こります
それを踏まえた上での考察…とまではいきませんが思った事を

ご自分で見たい方は進まないように






















「lfmavicd」
は入力後に

「ある意味もうひとつの正解です。」

と表示されlost ∞章に飛ばされます
この章は幾と終の出会いが無限ループしますが
スキップなどで飛ばすと97回繰り返した後にlost本編に飛ばされます
つまりlostで語られていた97回の繰り返しがここで行われます

forever→melancholy→abandoned→vivid→innocent→circular→lost→dear

が本来の歴史

lost→forever→melancholy→abandoned→vivid→innocent→circular→dear

なのはどういう事なのか…
ここからは完全に予測ですがcircularとdearの間にlostが無い所から
lostは実は間には「無い」独立した…「無」の物語なのではないかと…
なぜならforeverにて陽子が

「無限って、∞って表すでしょ?
 これって0をねじった形っぽいと思わない?
 ねじられてるだけで、実はゼロなのよ
 無限なんて本当は………何も無いに等しいの」

と言います
そしてこの章は「∞章」
lostはループ…無限の話ですそして陽子の話で言うならば

「無限なんて本当は無いに等しい」

lost単体だけでは正直物語的な微妙さやおそらく多くの方がlostに対してはマイナス方面で思う所があると思います
私も単品でループものとしてはどうかと思います
しかし
「lostは「無」の物語」
と考えると
「永遠は一瞬」
のforeverの主題と重なる気がするのです
結局lostでは緑青校長もそしてメインの3人も死を迎える…しかもあっさりと…
ループの中で世界は救われましたが他の話のように「本人達が得られたもの」って無いんです
多分短編でのループものとしての微妙さとその
「何も得られ無さ」「沢山ループしたのにあっさりと死んでしまう」
所が不人気だとも思いますが、このlostが
「何も得られないまま滅びる」
「無限であるからこそ本当は無い物語」
だと考えると…立ち位置の微妙さも相まって切ないなぁという感じです

時代軸的に見てもlost→他の物語への繋がりはあります
ですが他→lostに繋がるような話や台詞って実はdearのハルの台詞だけなのです
他の時代へのアプローチはlost→他で
「学校があった」
「預言者が居た」
の部分
ハルの部分を除いて考えると実はlostは「無い物語」もしくは「間には無い物語」で
だからこそlostが途中に無いあのパスワードは
「ある意味もうひとつの正解です。」
なのかなぁと思いました

もしくはlostから始まるのならtipsの「世界創造」にあるように

「………この地球の物語を、一冊の本にしよう
 3次元の世界を、2次元的に保存する
 もう人類にできないことなんてない時代
 …神様の奇跡を、もう一度
 また滅びてしまわぬように
 永遠にその世界が、続くように
 緑溢れるその世界を、…また創り出す」

という意味で…実はlostから始まり創られた世界の物語なのでは?
という説も考えました
こちらの方がdearでハルが

「臆病者の男の子がいた」

と挙げたのにも少しは納得出来ます


まぁ完全に深読みなのとlostのループは短編では合わず説明不足なので
「lostが…」
と言う方の気持ちも分かりますw



「生きるものは絶対に死を迎える、無くなってしまうのに何故存在するのか?」
そんな難しい主題をしっかりと描ききったこの物語
入手困難作品になってしまっていますが、例えこの作品が今後無くなっても
この作品の主題のように
「無くなっても語り継ぐ人が居る限り、本当になくなる訳ではない」

私は生きている限りこの作品を語り継ぎたいです



※追記
なんかもう、何度も再プレイしてるので色々と考え(諦め)て100点にしました
本当にただひたすらに大好きです