和風伝奇物語。この物語の本質は「家族愛と友情」です。
エロそうなパッケージと２１００円という非常に廉価で販売されていたので思わず買いました。
あまり期待もせずに、キャラに萌えてちょっとエロかったらいいか、とかどうせ伝奇と銘打ったギャルゲーだろうとか思いながら。
結果、その期待は大きく裏切られました。買う時の印象と終了時の印象がここまで違ったゲームは初めてでした。
物語は人ならざるものに力を与える希少な血を持つ主人公をヒロイン達が守るという至ってシンプルなものです。西遊記の三蔵法師の役どころですね。
ですが魅力的なヒロイン達、過去の因縁、記紀神話をモチーフにした伝奇を上手く絡ませて非常に上質なストーリーに仕上がっています。
麓川氏によるテンポの良い流れるようなテキスト（と、うんちく）、絶妙とも言える声優キャスティング、物語の雰囲気に合う素晴らしい音楽、美しいＣＧ、かゆいところに手が届くシステムと手放しで褒めてしまいます。ＡＶＧのお手本みたいな出来です。
また２周目をするとよく分かるのですが伏線の散らし方が凄いです。何気ないセリフのように思えても伏線だったりします。章題一つとっても意味深なのも多数です。
このゲームは売り文句に百合ゲーのように紹介されていますが、残念ながらエロく無いです。愛は愛でも家族愛、若しくは友情。非常に純粋で澄んでいる「大切な人を思う心」なので汚れきった私でも邪な想像は出来ませんでした。
このゲームに欠点らしい欠点は見あたりませんが、出来ることならもっと男性に活躍して貰いたかったです。ケイくん頑張ってましたけどね。
ところでシナリオライターの何と読むのか分かりづらい麓川氏（「ロクカワ」でいいのかな？）はこのゲームがデビュー作なのでしょうか？素晴らしいテキストと豊富な情報量、トリックの用い方はとても新人には思えません。同人ででも活躍されていたのでしょうか？コイツはスゲーヤツが現れたぜ、と思いました。