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ALTECさんのプラマイウォーズVの長文感想

ユーザー
ALTEC
ゲーム
プラマイウォーズV
ブランド
エンターグラム
得点
70
参照数
223

一言コメント

Vita版追加ルートは手抜き+ライターの力量不足。プラマイウォーズそのものは傑作だが追加ルートの出来栄えを加味しこの点数。長文感想では追加ルートの感想を交えつつ何故今、プラマイウォーズなのか?総括します。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

そうです。私がプラマイウォーズが大好きだからです。それ以外に理由はありません。

Asaプロジェクトの最高傑作です。
それ故に、Vita版追加ルートの出来栄えは首を傾げる物でした。

まず、追加ルートへの入り方が謎。
誰でも良いので一人ルートをクリアすると「はじめから」を選択した瞬間に追加ルートに入るかの分岐が発生し、「はい」を選択すると進む事が可能になる。(リトルバスターズエクスタシーの「世界の秘密を知っている?」と同じような流れ)

ここからが謎。
よくあるエロゲCS移植版の追加ルートは、頑張って共通ルートに追加ルートのシナリオを混ぜる努力が行われておりそれ故に没入感を損なう事は無かったのだが、プラマイウォーズVは喜多家&神宮家がこなれた状態から始まりサブキャラからヒロインに昇格した十野の妹が海外から帰ってくる・・・的な導入。

唐突!!

メインシナリオで言うどの辺りから始まったのかが全く分からない状態。
最近のエロゲ移植版には追加ヒロインそのものが無くなっている為知らなかったが、完全にメインシナリオから独立したシナリオが始まったのだった。。。
そうか、そっちの方が楽だもんな。。。そもそも追加ヒロインがいるだけ有難いと思わなきゃな。。。
そう思わずには居られなかった。。。

肝心の追加シナリオの質だが、お世辞にも良くは無い。
短い上に付き合い始めた瞬間に終わる。そして既存キャラクターの性格を把握できていない。
かつてのアサプロのハズレルートによく感じた不快感は無かったがプラマイウォーズ最大の武器であるコメディ要素も爆発せず、単純に担当ライターの力量不足という言葉しか出て来ないような内容。
「原作の担当ライターが執筆」という触れ込みであったが、天都や十全といったクラスは間違いなく執筆していないだろう。そもそも彼らが担当してたらそこをセールスポイントにするだろうし。

総じて追加ルートは消化不良であったが、もう一度プラマイウォーズのメンバーの話が読めた事、携帯ゲーム機で寝ながらシナリオが読める事、やはり数年経ってやり直してもプラマイウォーズの面白さを再確認出来た事。
これらの点を加味すれば、今年惜しまれつつ引退した背番号51の言葉を拝借すれば「購入して後悔などあろうはずが無い」。

今月にはAsaプロジェクト最新作「恋愛、借りちゃいました!」が発売されるが、現在のアサプロは良くも悪くもテイストが変わった為、ギャグとギャグの合わせ技で勝負するアサプロはプラマイウォーズが現状最後である。だからこそ、大事にしていきたい作品である。


総括するとやはり私はプラマイウォーズをこれからもちょくちょくプレイし続けるんだろうな、と感じずにはいられない。
わざわざ批評空間で感想を投下する様な人間ならば、誰にだってあるはずだ。定期的にプレイしたくなるエロゲーという物が。
しかし心のどこかではAsaプロジェクトでも他ブランドでも構わないから、この作品を超える物を生み出して欲しいという本音もある。
常にコメディエロゲの灯は絶やさないで欲しい物である。というか絶やさないで下さい。お願いします。