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ACiD8926さんのピュアソングガーデン!の長文感想

ユーザー
ACiD8926
ゲーム
ピュアソングガーデン!
ブランド
PULLTOP
得点
60
参照数
1341

一言コメント

シナリオが面白くない。絵も劣化。設定ガバガバ。一部ルートを除き、高評価できる部分が音楽と演出くらいしかない作品。ここのブランドの最近の作品はかなり楽しんでプレイできたというのもあって、期待していたのにどうしちゃったんだ・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

律→玖音→明日歌→いろは1→いろは2(すず)→TRUEの順でプレイ。
このうち明日歌、いろは1、すず、TRUEはそれなりに楽しめた。ただ、そこに至るまでの共通ルート、律ルート、玖音ルートが驚くほどつまらなかった。玖音ルートが終わった時点で見切りつけてギブアップしようかと思ったレベル。ただ、その後はわりと楽しめたのでギブアップしなくてよかった・・・。玖音ルートが終わった時点で点数をつけていたなら50点以下とかそういうレベルだった。


悪かった点

・置いてけぼりにしてくるシナリオ
これは共通ルートで出てくる。序盤にあれこれと色々な舞台設定だとか用語だとかをこれでもかと詰め込まれる。今作は未来が舞台なので、今までの作品のテーマである空、星に比べて馴染みのないものがそれなりにある。また、作られた用語や設定もある。それを怒涛の勢いで詰め込まれたら結構キツい。しかも割と説明不足で話が進んでいったりもする。
そして、キャラクター自体についても言及があまりなく、人物関係がよくわからないまま話がガンガン進んでいってしまう。一人一人でてくるんじゃなくて、一気にドーンって出てくるんだよね。そしてその際に人物についての説明がない。特にサブキャラクターはなんだお前はってレベル。
また、今作は話の進み方がとても早い。急展開といってもいいくらい。まず、いろはが未来に帰るまでのタイムリミットが1週間ってところに無理があると思う。1週間でダンスの練習して曲作って・・・って期間が短すぎるせいで、苦労している描写だとかみんなで頑張っていく描写みたいなものが足りなさ過ぎる。
そんな感じで人物関係も設定もイマイチよくわからないまま急展開ですすんでいくので、物語が盛り上がったりとか、なにかが起こってもほーんって感じになって置いてけぼりを食らった感じになって全然面白くない。
いつのまにか未来から人が来て、いつのまにかPSGが開催されて、いつの間にかVRハザードが発生して、いつの間にかヒロインとイチャイチャし始めて・・・って感じで全ての展開が急。共通ルートも驚くほど短いし、もう少し丁寧にきちんとかけなかったのか・・・ってなる。いつの間にかの部分を書いてくれや。
他にも全体的にシナリオが短いのが気になる。共通ルートが短いということは上で書いたが個別ルートも短い。怒涛の勢いでエロシーンが続き、何かしらイベントごとがおきても、ちゃちゃっとって感じでさっさと終わる。まあ、ある意味短くてよかったのかなって感じはする。こんなシナリオでダラダラされたらそれはそれで困る。


・会話などの日常シーンがつまらなすぎる
物語の展開も急なせいであまり面白くないのだが、話の掛け合いなどの会話も面白くない。
ワンパターンなんだよね。デート?楽しかったんじゃないの~(ニヤニヤ)だとか、キスする??だとか、好きなんでしょ?~(ニヤニヤ)だとか、あなたのほうがかわいい!!だとか、きゃわいい~抱きつきたい~~だとか、だれだれがかわいいー大人の魅力がーーだとか、胸の大きさがどーのこーのだとか。他にも主人公にえっちーだとかスケベ!!だとかいってからかうだとか。どの場面にもこの手の話が出てくる。序盤のほうとかきちんと読んでみて欲しい。会話のたんびにこういう話題が絶対に出てくる。何度も何度も正直くどいと思った。
また、いきなりでてくる謎のめっちゃ短いシリアスシーン。主人公だとかに触れられたくない過去とかトラウマみたいなものがあるせいで出てくるものなのだが、これが頻繁にでてきて、しかもそこの言及は個別ルートの中盤にいくまであまりない。なんか見ているこっちからしたら理由は語らないけど、いきなり不機嫌になったりする構ってちゃんかな??ってなる。伏線を張り巡らしているってことなんだろうけど、もう少し物語に綺麗に組み込んでくれないと違和感でしかない。
ピアノに触れただけで「ちょっと冷静でいられなくなった」とか言い始めて情緒不安定になったり、ちょっとした会話の中で、そのトラウマに少しでも掠る単語だとかがでてくると、ムスっとしはじめたりでダルい。
コレに関連して主人公以外についても、思わせぶりな発言だとか態度が多い。律とすずの間で一瞬冷たい空気が流れるとか。まあコレも伏線的なものではあるのだが、いきなり、そしてなんの背景だとかのヒントみたいなものもないままやられるとダルい。
もーちょいそのあたりの物語の構築をしっかりしてほしかった。


・とんとん拍子で進んでいくシナリオ
なにか問題が起きてもささっと解決したりと上手く行き過ぎている感があった。
なにか困難があって、そこに対してみんなで頑張るみたいな描写がないんだよね。あるにはあるんだけど短すぎてトントン拍子で終わっちゃう。箇条書き的というか。これをこーして頑張った!!!---次の日ーーーみたいな感じ。そこに立ち向かうってことをイベントごととしてきちんと書いてくれない。律ルートとか特にそう。VRハザードを解決するってことが話のおおまかな流れなのに、その肝心の部分が箇条書き的ってなんやねん・・・。
困難が発生!(ここでいきなり場面が数週間飛ぶ)完成しましたー。って感じ。シナリオ手抜きすぎてしょ。こんなん茶番じゃん。物語に全然入り込めない。
ご都合主義は別にいいんだけど、あまりにも易々となんでも出来ちゃうと物語が薄く見えちゃう。物語の流れが基本的に何か問題が起きてそれを解決していくみたいな感じなのに。最終的に解決するのはいいんだよ。だけど、そこまでの過程をご都合主義でもなんでもいいからきちんと書いてくれないとは??ってなる。


・イチャラブの少なさや付き合うまでの過程といった恋愛要素
トントン拍子で進んでいくのは恋愛も一緒。
個別ルートに入った瞬間、そのルートのヒロインが主人公のことが好きになる。逆も同じ。意味が分からない。
個別ルートに入って、そのヒロインとのイベントがメインになって、その結果ヒロインが主人公のことを気になっていく・・・ってのが普通の流れなんじゃないのか。大したイベントもないのになんか互いに好きあって、なんか付き合いはじめる。置いてけぼり感はこんなとこにも出てくる。
しかもなんで好きになったのかみたいなものがない。いつの間にか個別に入った瞬間、お互いすきすきーってなっている。なんのイベントもなしにすき!!!あの人のために!!とかは???ってなる。
あとは付き合う前になんとなく流されてエロシーンぶち込むのやめてくれや。律ルートの主人公は本当に意味不明だった。エロいことしてんのに、いざ本番ってなったら、「きちんと想いを通わせた上で身体も結ばれたい。でも、出来ない。しちゃいけないんだ。欲望に流されて愛し合ってもいいことはない。したくてたまらないけど我慢した」は??????お前もう本番以外は流されて済ましてんじゃん。なに言ってんの??ってなった。
後コレに関連して、主人公の考えだとか発言以外の部分は地の文でかかれるじゃん。そこの書き方が非常にウザかった。上に描いたのを見たら分かってくれるとおもうのだが、倒置法的な言い回しなんだよね。このシーン以外もこういう言い回しの地の文なのだが、これが絶妙にイラッとした。他にもなんか自分に酔ってるような考えかたがなんだかなーって感じだった。
まあ、こんなんで告白しはじめるので、いい感じのBGMが流れて告白時のCGがでてきてもほーーん、で??って感じになる。


・サブキャラの必要性が感じられない
本作には3人のサブキャラクターが登場するのだが、明日歌の父親を除いた2人の必要性が感じられない。
話にほとんど絡んでこないし、そもそもの登場シーンが皆無である。出てくるシーンもちょっとした日常シーンにぴょこっと出てくるくらいしかない。最後までプレイしていても、どういったキャラクターなのかよくわからないレベル。FD出す時のためにとりあえず出しとくかーみたいな感じの印象を受けた。調も実は女の子でしたーみたいになりそう。
PULLTOPのここ最近の作品は、サブキャラも日常シーンを盛り上げるだけではなく、シナリオの重要な部分とかにも出てきて、メインキャラクターと一緒になにかしらをやっていたり、そこに出てこずとも人気が出るような使い方をされていた印象があった。
しかし本作はそういった使い方がされていなかったので拍子抜け。もしFDが出てルート追加とかになっても少しも魅力を感じられないと思う。FDで後付でそのキャラクターの過去だとかそんなこと入れられても困る。魅力のないキャラは攻略する気でないし。


・設定がガバガバすぎる
タイムシフト関係の設定ガバガバすぎじゃないか?
未来の情報を伝えてしまうとタイムパラドックス的な感じになってしまうというような話がよく出てくる。その上でここまでは言ってもセーフみたいなものがあるのだが、その基準が常人には理解できない。
まずタイムシフトが過去の人にバレた時点でマズイんじゃないのって思うのだけど、初期のタイムシフトの手法は精神だけを過去のドール人形などにシフトさせるというもの。その時点でバレること前提じゃんってなる。
さらに、作中でタイムシフトの検閲だとかで、言ってはいけない部分を発言した場合、そこにモザイクがかかり聞こえなくなるだとか、いろはが口を滑らせそうになった時にすずがこれ以上は駄目です。みたいにとめにはいる描写が結構出てくる。
以下は実際にでてきたもので覚えているものをピックアップ
未来のコンビニはどんな感じになっているの?→教えられません
タイムシフトについての色々な質問→ペラペラ喋る
未来はどうなっているのか→ペラペラ喋る
困った!どうしよう←未来の科学力を供与したり駆使したりして解決
この機械をもっと進化させたい←未来の科学力を駆使して進化させる
未来のコンビニについて言及できないのに未来の科学力を行使しまくるのはセーフらしい。そこまでできるのならVRハザードを未来の力でささっと直してくれや。
最終的にはそこは教えられないみたいなものは様式美であり、ちょっと教えちゃったくらいじゃあ未来は変わらないのでセーフとか言い始める。
細かいこと気にしすぎ!って人もいると思うのだが、こういった展開がいくつかでてくるならまだしも、結構出てくるから嫌でも目に付いてしまう。
もう少しきちんと設定とか考えて作って欲しかった。ぱっと見の設定はいい感じなのに細かく見てみるとハリボテすぎる。


・主人公が空気過ぎる
そのまんまの意味。主人公が空気すぎる。今までの作品と違って主人公に魅力をあまり感じられなかった。これは何かをやるってなった時に、主役がメインヒロインになってしまうところも原因かもしれない。主人公が蚊帳の外なイベントもあるし。(PSGではいろはが主役になってしまい、準備は主人公も出てくるのだが、本番になると見ているだけになってしまう)


・絵が劣化
これもそのままの意味。塗りをかえたのかなんなのかPULLTOP独特の感じがなくなってしまった印象を受けた。ベタ塗りになったというか、綺麗な透明感みたいなものがなくなってしまった感じ。全部が全部ではなくて、いいなって思えるCGもたくさんある。しかし、これは・・・ってのも割とある。
特に立ち絵。すずとか律とかの胸元とかひっどい。違和感MAXだった。せっかくE-mote入ったのに、立ち絵が微妙なせいでなんだかなーって感じだった。OPにも出てくるすずのCGと立ち絵を比べてみて欲しい。違う原画の人が描いたのかな?ってなる。
まあかわいいCGはかわいいのだけど、クオリティが一定ではなく、バランスが悪かった。



他にも抽象的なキャラクターの発言が気になった。そのキャラの過去だとかを理解していればわかるんだけど、それがわからない状況でそういった発言されたら?????としかならない。
ライターの中だけで完結しているというか、製作者側じゃないこちら側にもきちんと分かりやすい表現だとかを使って欲しかった。


よかった点は明日歌、いろは、律ルート。
この三つはそれなりに楽しんで進めることが出来た。
他にも音楽はいつもどおりの高いクオリティだったし、ムービーだとかタイトル画面だとかの随所がきちんといい感じにつくってあるところもいい。演出もいつもに比べれば劣るもののそれなりではあった。
OPムービーも相変わらずいい感じ。曲と合わさってワクワクするような出来だった。