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ACiD8926さんのお嬢様の半分は恋愛で出来ています!の長文感想

ユーザー
ACiD8926
ゲーム
お嬢様の半分は恋愛で出来ています!
ブランド
Luxury Tiara
得点
75
参照数
2912

一言コメント

女装ゲーとしては微妙みたいな話を聞いていたので心配だったが普通に楽しめた。従来のテンプレ的な楽しみ方は出来ないけど、これはこれで面白いみたいなのがあった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

女装ゲーの中でも本作は、最初にヒロインの一人に女装がバレて、その上で女子校に潜入するパターン。
やっぱり元から女装を知っているヒロイン(アリカ)がいると、秘密の共有、女装のサポート等のイベントが起こるからとても面白い。

また、本作はアリカと主人公の関係性がとても面白かった。
まず、二人の出会い?は男の状態の主人公が、アリカを暴漢から助けるところから始まる。
その後なんやかんやで、一夜の関係を共にし、次にあったらそれはもう運命だね!みたいな感じで別れる。
その後、主人公が所属する組織から、トップから直々に重大な命令があると言われ、向かった先にアリカがいた。なんとアリカは組織のトップの孫だったのだーみたいな感じ。そしてそこで女装して女子校に潜入し、アリカを護衛すること。ハイネスを獲得することを命令される。
純情な恋愛みたいなのもいいけど、この一夜の関係を経てから再開し、また関係を深めていくってのがとてもいい。一度、体を重ねているからこその遠慮のなさというか掛け合いがとてもよかった。遠慮のなさはアリカからの一方通行って感じだったけど。こういう距離感ってほんといいね。一緒にお風呂にはいるけど、本番はしない。いたずらされるみたいな。
それ以外にも、女装バレ、秘密の共有(女装だとか一夜の関係を隠すとか)、護衛、立場的な上下関係、女装サポート。こんなにたくさんの関係性がある。しかし、表ではこれを隠して親友ってことにする。だけど、二人きりになったら絶妙な距離感がでてくる。コレが結構面白い。
また、アリカはハイネスになるという部分でもサポートしてくれるので、そこの展開も楽しむことが出来る。
最初の、女子校に潜入するまでの導入部分は本当に面白かった。こういう人物関係の女装ゲーっていいね。


アリカ自身もとても魅力に溢れるヒロインで、普段はわりとサバサバしているのに、ちょっとした事で嫉妬してムスっとしたり。とってもかわいい。若干小悪魔系というか。全てを知っているアリカが、秘密の共有という点から主人公と悪巧みしたり、色々イタズラしてきたりと、とってもグッとくるイベントも盛りだくさん。
男としても女としてもアリカに接する機会があるので、普通の女装ゲーと違い、共通ルート部分から男としてもアリカと色々できるイベントがある。(まあ男としてのシーンが多いので、女装してる時も男の主人公の顔がチラつき、あまり楽しめないって人もいるかも。割と男の状態だと、可愛い男の子ってよりイケメンな男って感じで)

主人公も、女装自体は好きじゃないけど、やるなら徹底的にというスタンスで、完璧に女装をしてくれていてとてもよかった。いわゆるいつまでも女装がーーーってウジウジしている主人公ではない。そういうのもいいけど、こういう割り切って完璧にこなすってのも好感が持てる。ここはこうしたほうが受けがいいみたいに色々考えて演じているって部分もよかった。地の文で出てくるけど、主人公の考えみたいなものがとても面白かった。ただ完璧にやってくれるので、女装ゲー特有の、バレそうになってヒヤヒヤみたいなイベントごとはあまりない。では、どこを楽しむのかというと、アリカとの関係性を楽しみながら、プレイボーイ的な主人公が周りの女の子をたぶらかす(言い方悪いけど)みたいなところである。
この作品は上にも書いたが、ハイネスと呼ばれる、その年の最優秀生徒に贈られる称号をとってくるというのが話の本筋になっている。そして、それは全生徒の投票で決まる。つまり、人気を得られないとハイネスになることが出来ない。アリカと相談した結果、主人公は周りを恋愛的な意味で落とすことで(ホストじゃないけど)、人気を得ようとする。そのため、主人公は打算的な考えから周りの女の子に近づいていく。ここがかなり面白い。ただの恋愛イチャラブ女装ゲーではない。主人公一人だけであーだこーだするのではなく、アリカと共謀して色々布石をうったりしていくってところもポイント。
んで、女の子(基本的に立ち絵ありのサブキャラ。CGあり)を落とすときは、女装を解除して男としてやっちゃったりする。コレが一番よかった(銀子)。その後、女装した主人公と表面上、女の子同士でかかわっているのに、裏では男の主人公の子と思い浮かべてるんだよ。最高じゃん。ただ、そこの言及はなかったんだけど。
他にも、女装した状態で落とすだとか、ワンパターンじゃない。相手を惚れさせて尽くさせるじゃないけど、ハーレム作りみたいな感じで面白かった。
Hシーンでも主人公を映してくれるのでそこもいい。顔まで写してくれるのがベストだけど、服装まで写してくれたら個人的には満足。
割と、チョロすぎ!!ってくらいに簡単に落としてくるのでちょっと苦笑ものだけど、主人公に魅力があると思えばあんま気にならない。後で書くけど、主人公はアリカが受けをよくするためにプロデュースしてるしね。
そんなこんなで、従来の女装ゲー的な楽しみ方はできないけど、主人公が女装していないと成り立たない。テンプレ的なものが多くなってきた女装ゲーに一石投じた作品だと思う。(テンプレも普通に好きだけど)


ただ、導入が終わって(女子校に潜入しろ!って命令がくるまで)さあここからだ!ってなったのに、「学校生活を始めて半年が経過した・・・」で始まるのはどうなの?
潜入してから半年経ったところから始まるので、もう既に学園に馴染んでおり、色々あったんだろうね。周りからもうお姉さま!!素敵!!みたいな評価を貰っている。完全に女装にも慣れて、言動などは完璧。超モテモテ。
なんというか、ここが従来の女装ゲーとはズレているなと思った。楽しむべきポイントが違う。だって、普通は潜入した直後に慣れなくて、ドジったりつい男口調がでちゃったりしてアタフタヒヤヒヤみたいな展開。ヒロインとの出会い。学園に少しずつ馴染んでいき、認められていく主人公。こういったものが重要視されるじゃん。女装ゲーって特に序盤が一番肝心だと思うし。
だけど、そこをすっ飛ばしてから物語が始める。まあこれはこれでいいんじゃないかとも思う。理由は上の挙げたように、別の楽しみ方ができるから。

ここまで書いて言うのもなんなのだが、従来のテンプレ的な要素も少ないけど一応ある。んで、それが驚くほどに滅茶苦茶クオリティが高い。それはなにかというと、プレストーリーである。
本作はプロローグ的なものが終わると、本編とは別に、おまけシナリオとしてプレストーリーが開放される。
内容的には先ほど書いた導入が終わった直後の、女子校に通うまでの準備。んで通った後のちょっとした出来事である。
あくまでもおまけシナリオだし、本編とは別でみることになるしでとても短い。まあ公式としてはこういうのはあんま重要視してないってことなのかな。だけど、とてつもなくここがクオリティ高かった。ホント神レベル。
プレストーリーは三つある。そのうちの一つが神。
それは女装しなくてはならなくなった主人公を、アリカが色々サポートするというお話。
アリカが女らしさみたいな、女の子としての部分を教えていくみたいな感じ。その中でも感銘を受けたのが、アリカと一緒に服を買いにいったり、下着を買いにいったりするというシーン。マジでここがよかった。箇条書き的な終わるのではなく、イベントとしてきちんと尺を取って書いてくれている。主人公が女装して学園に通ってる途中、女の子同士だと思っているヒロインが服をみんなで買いに行こうよ!っていうのとは違うんだよ?
男の主人公が女装するまで、それをアリカが最初から最後まで見てくれる部分を完璧に描いてくれる。
アリカ「創くんをプロデュースしてあげますからね!!」女装のコンセプトまで考えてくれるアリカ。展開が神すぎる。主人公を女装させるのを楽しんでいるってところもポイント。
何度も書いてるけど、こういう進んで女装のサポートをしてくれるのって本当にいいよね。ヒロインと二人三脚で女装していく。しかも女装するまでをきちんと描いてくれる。普通の女装ゲーってコレに着替えてくれたまえ→女の服じゃないっすかぁぁ!!→いいからいいから→グスン・・・みたいな20クリックもあればいつの間にか女装完了してるじゃん。
こういうのとってもいい。女装していく過程で問題点とか出てきて、それをなんとかしようってなるのもとってもいい。胸囲があるからどーのこーのとか、ちんこが邪魔で下着をどーするかだとか。
女の子の仕草はこうなんです!とか。流石に下着の脱ぎ方指導は笑ったけど。
女装のコンセプト決め。下着選び。一緒に更衣室入ってアリカと採寸。お着替え。まじでよかった。100点満点です。


他にも、公式のHPにそれぞれのヒロインに主眼を置いた、サイドストーリーがあるのいいよね。短いけど。内容は題名どおり独り言。そのヒロインが普段どんなことを思っているかってのがわかるから、本編をやり始めたとき、ヒロインが理解しやすい。
最初にそのヒロインの性質的な部分(ちょっと心に闇を抱えてる的な)を、若干ネタバレされてからストーリーをみるってのは面白かった。刑事コロンボ的な。
本編でこんなだったけど、こういうこと考えてたのねってなる。面白い試みだと思う。


話の展開は若干突っ込みたくなる部分も結構ある。だけど基本的には面白い。退屈せずに進めることが出来た。
上にもかいたが、サブヒロインを落とすのがあっけなさすぎて笑うけど、内容自体は結構いい感じだし、なにより、今まで主人公に反発していたような子がしおらしくなっていくのは見ていてとてもいい。
ただ、落としたヒロインがその後話にあまり関与しないのは少し気になった。一応出番はあるんだけど、それだけ。
せっかく落としたんだし、その後の話にも色々絡ませてくれればもっと面白くなっていたかも。
あとは、たくさんキャラクターがいるのに、シーンがある子が少ないこと。キャラによっては話の本筋には全く関与してこない、この子いる??ってのもある。魅力的なキャラが多いのにもったいない。
攻略できるヒロインも3人だけだし、この後追加で色々配布するみたいだし、未完成かな??って感じもした。
また、こちらはメインヒロインとの話になるのだが、打算で動いていた主人公が段々ヒロインに情が移っていき、感化されていく・・・みたいなのも面白かった。
ただ、結構いきなり感化されはじめるというか。共通ルートで組織の中での野望だとかに燃えていた主人公が、個別分岐を経た瞬間、あの子のために頑張らなくては・・・みたいにヒロインのこと考えまくっててそこは笑った。
本来の任務的にはそのヒロインを踏み台にしてハイネスにならなくてはいけない。そこにすぐ罪悪感を覚えるようになる。
コレ自体はいいんだけど、もう少し段階を踏んで、少しずつ情にほだされていき、葛藤する主人公みたいなものが見たかった。
ペコルートとか入った瞬間、主人公がペコ御用達のホストみたいになってて笑った。
ほかにも最後があっけなさすぎたりと、は??って部分はあった。
まあこんなもんかなという感じ。全体的にみたら別にそんな不満はない。

あとは紅緒ルートで紫のシーンがあって感動した。そこで感動してたのに、紅緒との3Pもあってもっと感動した。ユーザーの求めているものを分かってるなーって感じ。


全体として普通に面白い作品だった。
グラフィックもいいし声もいい。絵もクオリティ高くて割とエロい。
こういう女装系もっと増えて欲しいね。