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ACiD8926さんの乙女が奏でる恋のアリアの長文感想

ユーザー
ACiD8926
ゲーム
乙女が奏でる恋のアリア
ブランド
ensemble
得点
60
参照数
741

一言コメント

メロディーと並ぶ乙女シリーズの駄作。良かった部分は女装モノというジャンルであることだけ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一番の問題は物語の短さ。
ストーリーを見てわかるように1ヶ月間という期限がある中での物語になっている。
1ヶ月間でヒロイン達と出会ってイベントを経て、いい感じの関係になって、女装バレして、解決して、カップルになった後にイチャラブして・・・をぶち込まなくてはいけない。これを考えるだけで無理がありそうだけど、実際短すぎて頭おかしいシナリオになっている。
しかも話が一々ダイジェスト風なんだよね。ブツ切りイベントって感じで雑な印象。しかも「----そして1週間後ーーー」みたいな進行のせいで、ただでさえ短い期間がさらに短縮されている。
本当に短い。3時間くらいで共通ルートが終わって個別ルートも1時間ちょいくらい。共通ルートって全てのヒロインとのイベントを入れたり、選択肢があったり・・・って感じで、そこでどのヒロインのルートに行きたいか考えながらプレイしていくじゃん。なんだけど、3時間くらいしかない共通ルートじゃあヒロインの魅力も伝わらないし、特別なイベントごともほぼなしにいきなり個別に入るから笑うしかない。
この短い共通ルートのせいで、個別ルートに入った時、そこでサブヒロインとかの名前が出ても、名前と顔が一致しないレベルの出来事が起きる。
それに加えて構成も意味不明。楓ルートを例に挙げると、上記で書いたとおり、楓とのイベントがちょっとあるだけで個別ルートに入る。んで個別はいってから初めて楓の詳しいプロフィールを教えてもらえる。意味不明。
共通ルートでどのくらい特定のヒロインとのイベントがあるのかよくわからないって人にこれも楓ルートを例に挙げると、休日に男の姿で街で会うイベントと一緒にお昼ご飯食べるイベントくらい。

んで、短いのは個別ルートも同じなわけで、かなり残念な出来になっている。FDありきの作品って感じ。
個人的に女装ゲーって、個別はいった後が重要だと思っていて、そこでヒロインが主人公に惹かれて、でも相手は女であることに戸惑ったり、擬似百合っぽくなったり・・・ってのがすきなのに、そういった描写はほとんどないです。
個別入った瞬間に主人公に惚れる尻軽ヒロイン。みんな口をそろえて「歌に惚れた」とか言い始める。んでぱっぱか女装バレして、解決して、抜きゲー真っ青なエロシーンの連続、エンディング。

千影とか結構思わせぶりな、何かを隠しているヒロインみたいなのもいるのに、その結末はくっそどうでもいいような茶番。しかもそれの解決は尺にして数分で終わるから笑ってしまう。実家との対決みたいなのがあるのかと思えばなくて、最後のほうにこれからそういうこともあるかもだけど頑張ってこう!!みたいな打ち切り漫画かな?って感じだし。
シナリオが薄っぺらいのならイチャラブはレベルが高いのかといったらそうでもない。というか短すぎてイチャラブシーンなんて時間にしたらほとんどない。

一番気に食わないのは希実とか奏とか、謎があるキャラを期間限定パッチにしている点。
作中でこのヒロインには謎があります!!!みたいなの匂わせといて、結末は期間限定パッチで!!とかふざけてるのかな?ってなる。
自分はセットで買ったので、パッチ適用済だったのだが、そうじゃない人はかわいそう過ぎる。


良かった点は女装ゲーってジャンル。
まあ尺が短いので、どれも物足りないくらいではあったが、一応最低限は女装ゲーとして欲しいところはそろっているかなって感じ。
美琴ルートのエロシーンはよかった。ほぼ全てにきちんと主人公が女装姿で顔までしっかり出ており、若干作画崩壊感があるものもあったが、構図といいこのルートのCGだけはいいじゃん!!ってなった。

まとめると今の2倍のボリュームのある作品を作りましょうって感じ。
といっても話も大して面白くないので、これで長くなられたら逆に苦行かもなのがこれまた残念。