すべてのルートに意味がある作品。続きがきになり没頭したゲームは久しぶり。とても面白かった。
フィラデルフィア計画という都市伝説をモチーフにした物語。
フィラデルフィア計画についてプレイ後に調べてみたところ、その設定が物語のいたるところに組み込まれており、物語がよく作られているなと感じた。
このゲームは攻略ルートの順序が固定されており、すこしずつ物語の伏線や不明な部分が解き明かされていくといった展開になっている。
そのためルートごとにきちんとした後日談まで書かれているものは無く、次のルートへの伏線の様な感じの終わり方になっている。といってもどのルートも丁寧な終わらせ方をしており、なんだこれ・・・といった感じにはならない。
そしてtrueENDですべてが解き明かされてHAPPY ENDといった形になる。
ルート固定は嫌いだという人も多いと思うが、このゲームの物語自体続きが気になるような面白いものであったので、少しずつ真相がわかっていくのは読んでいてとても面白く、ワクワクするものだった。
この物語は双子の兄弟2人が主人公。共通部分を抜けると、兄が主人公の現実世界編と弟が主人公の異世界編に分かれる。
主人公が二人いるというのは違和感があったが、二人とも良いキャラをしているので、気にならなかった。
内容も、最初の共通部分が退屈だが、そこを抜けるとどんどん面白くなっていく。
現実世界編は途中中だるみしたりと退屈な部分もあったが、全体的には面白い。
異世界編は閉鎖空間からの脱出という状況が自分好みだというのもあってとても楽しめた。異世界編で退屈を感じたことは1度も無く、ガツガツ読み進められた。
ここで面白いのが兄の行動なら弟に、弟の行動なら兄に・・・といった感じで現実世界(異世界)で起きたことが異世界(現実世界)に影響を与えるというシナリオだった。
そういったものはゲームシステム的にも新鮮であったし、相互的に伏線を張り巡らすような物語はとても面白かった。
コレに加え過去編というものもあり、過去から現在までの話のつながりがよくできていたし、後述するテーマにあたるタイムパラドックス的な要素としても満足。タイムスリップ的なものとしてもよく出来ていると思う。
現実サイド、異世界サイド、過去サイドとすべての世界が綿密に合わさって一つの物語を形作っている。
しかも多少中だるみはするものの、それぞれの日常的な会話の掛け合いから物語の核心に触れる部分まですべてが面白い。
こういったものは今までやったことが無かったのでやっていて感嘆した。
また、このゲームの題名からわかるように「矛盾」が一つのテーマになっている。
上に書いたが大きく分かれて3つのサイドが絡み合うことによって生じる矛盾についても作中で触れており、テーマどおりの作品であったということも印象に残った。
シナリオ的には全体的に見ると無理な設定が少し気になったりしたが、面白いものだった。
キャラクターは上にも書いたが主人公がかっこよく、面白い良主人公作品。
メインキャラはもちろんのこと、副会長や会長等のサブキャラクター、ヒャッハー等のモブキャラについてもいい性格をしていたし、見ていて面白かった。
特に副会長はヤンデレキャラとして結構気に入った。
音楽については全体的によかった。
特にOPは圧巻の出来。OP曲がかっこよく、OPムービーもレベルが高いのでとても良かった。
OPだけでもこの作品を買う価値はあるというレベル。
時間を忘れて没頭できるようなゲームにはあまり出会わないが、このゲームはその中の一つだった。
人に自信をもってオススメできる一作でした。