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ACiD8926さんのLOVELY×CATIONの長文感想

ユーザー
ACiD8926
ゲーム
LOVELY×CATION
ブランド
hibiki works(暁WORKS響SIDE)
得点
80
参照数
2104

一言コメント

×CATIONシリーズの元祖。最新作からプレイしてきた自分だったがこの作品が一番面白いと思う。他の×CATIONにはないものがこの作品にはあった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

×CATIONシリーズ一作目な為、新しいものからプレイしてきた自分からしたら、システムが最新作に比べて荒削りで劣っている部分は沢山あった。(PRETTY×CATION→PRETTY×CATION2→LOVELY×CATION2→本作の順でプレイ)
しかし、それを上回るよさがこの作品にはあった。

他の×CATIONシリーズと比較して良かった点
・主人公が引きこもり体質でコミュ障友達がいないという設定
これは新鮮だった。他の作品の主人公は、割と社交性が高く、すぐクラスに馴染み、ヒロインと友達になってそこから恋愛に発展していくという、恋愛までの道のりはごく普通といった感じだった。
しかし、本作はゲーム開始時点で引きこもりでコミュ障という、0からではなくマイナスからのスタートである。主人公がコミュ障ながらも少しずつクラスに馴染んでいったり、引きこもりを脱却するために奔走するような場面が多くある。
他の作品は、ヒロインと友達になるということに対し、ハードルがほぼない為、付き合うという1ステップだけなのに対し、こちらの作品はコミュ障が頑張って話しかけたりして友達になる。そしてそこから付き合い始めるという2ステップを踏むことになる。「どうしよう・・・勇気を出して会話に入っていこうか・・」だとかホントコミュ障っぽい選択肢もある。主人公が自分を変えるために頑張ってる感があって、それに伴うイベントもでてくるため結構面白かった。

・王道の恋愛以外の展開
×CATIONシリーズは基本的に王道の恋愛をしていっていると思う。仲良くなって付き合い始める過程も、濃く綿密に描写しているだけの至ってノーマルな展開で、イレギュラーはほぼなかったと思う。
しかし本作品では、王道以外の一捻りある展開が楽しめる。
まず、付き合うまでの過程についてだが、綾ルートを例に挙げると偶然、行動やいく場所が一致してストーカーに間違われるような展開から仲良くなり始める。他にも恋人ごっこをし、体だけの関係なのかに悩むだとか、心のよりどころをみつけるだとか、ヒロインとの距離が縮まっていく過程が独特なものばかりだった。特に綾ルートはとてもいい。
次に付き合ってからの過程なのだが、これも綾ルートを例に挙げると、お互いに友達が少ない中で、軽く共依存し始め、二匹狼?ENDみたいな展開が楽しめる。これがなかなかグッとくる展開になっている。
こういった王道とは少し外れた展開が多く、どれもが面白いものだった。×CATION系はthe王道といったイメージがあったので、これには驚かされた。


他はシリアスシーンが割とあることが気になった。といっても話のワンポイント的な感じででてくる程度なのでそれなりに楽しめる。最近の×CATIONシリーズはずっとイチャラブして終わりな印象があったため、付き合っていく過程でなにかしらの事件が起こり、シリアスシーンがあり、最終的にハッピーエンドというのはこのシリーズにしては珍しいと思う。
それに関連して本作はイチャラブが少ないと感じた。シリアスシーンがあるせいで、単純にイチャラブの尺が短くなるということもあるが、基本的にシリアスシーンが終わると即EDなので、なんらかの障害を乗り越えた先のイチャラブがない。そこをみたかったのに・・・って思った。

他は×CATIONシリーズ全体にいえることで今までプレイしてきた作品全ての感想に書いていることだが、せっかくラブリーコールがあるのに主人公の名前をキミで代用される点。ラブリーコールが別でとっているものを会話中にぶち込むため、違和感がヤバイことが気になった。


×CATIONシリーズ最高傑作だと思う。とても面白かった。