キャラ・シナリオ共によくまとまっている良作。ただ、短い……
〇シナリオ
今作のテーマは「愛」
愛ゆえに悪事を犯し、愛ゆえに縛り、愛ゆえに傷つけ、愛ゆえに触れられず、愛ゆえにえっちする
ホラー調のミステリー&サスペンスがウリのシルプラWASABIのなかでも、哲学的なテイストをふんわりと感じさせる作品
〇キャラ
・アンネ
おっぱい&かわいい
「愛したかった」&「愛されたかった」人たちの願いや怨嗟が産んだ悪魔なので、悠久とのいちゃらぶにもどこか健気さを感じさせる
また、(ミドルプライスのボリューム故かミステリー面のテンポ感をよくするためなのか)非常に素直に疑問や意見・欲求を語ってくれるし、悠久の意見にも耳を傾けてくれる
それらが、愛すべき対象でもあり、頼れる相棒でもあり、守りたい大切な人(悪魔)でもあると思わせるに足るキャラ描写に繋がっていると感じた
歩サラの声低めで自然体な演技もイイね…オタク君に優しいギャルみたいでさ…
〇テキスト
実在感を感じさせるキャラクター描写の名手と言っても過言ではないかずきふみ氏だが、今回のアンネも作品自体の狭い舞台や文章量以上に生き生きとした存在感を発揮していた
とにかく、キャラクターの発言・会話・所作から関係性や心情などのテキスト外の情報を読み取らせることに長けているため、キャラの造形自体がステレオタイプでも古臭さは感じない
もしこの人が何かのアニメの脚本or監督やったら第二の細田守になり得るんじゃないか、とは半分冗談半分本気の私の意見
〇システム
・パッチ当てれば進行上の問題はなし
・探索型推理ADVの形式を上っ面だけなぞったような感じで、そういったゲームの雰囲気だけ味わえる
・ミュージックプレイヤーはそろそろ実装してもよくない…?
・悲しいかなE-moteをonにするとまともにうごかなくなる。
まいてつではメモリが逝ってパソコンが落ちていたレベルの貧弱パソコン故仕方がないのだが…
〇ビジュアル
・アンネを中心にゲーム内のUIの意匠やキャラデザが調和をとれているため、思いっきり現代っぽい背景画の中でもファンタジー感あふれるアンネが浮きすぎない工夫がされているように感じた
・前作に登場したキャラは、アンネと同じ画面で並び立たせると不協和音を引き起こしかねないが故にビジュアルイメージすら出てこない。予算的なアレとか原画変更のアレでカットしただけかもしれないけど
・シリーズのお約束として、今作にも可愛い女の子たちのグロCGが用意されていた。一作目のななリンは特にショック性の高いものだったが、今作はそこまで女の子たちを異物、もしくはクリーチャーとして書こうとはしていなかった。(血管や血液等ディテールの部分はかなり頑張っていたが)
・キャラクターが少ないおかげもあって、アンネ一人にE-moteと複数の服装パターンが用意され、行動範囲と背景CGの少なさの割にはプレイ中も目が退屈することは少なかった。アンネの所作に目を奪われてしまうのは、作品のテーマ的にもかなり効果的だったろう
〇BGM
・インストはあまり特徴的な曲はない、とはいえこのゲームのボリュームにしては24曲と数はある方。そのため、讃美歌チック(?)なEDも含めて、楽曲による演出はよく出来ていた
〇「ななリン」「あけいろ」をプレイしていた方がよいのかどうか
プレイしていれば細かいネタに「おっ」と反応することは出来る
ただ、作品が出るたびに設定面でのフィクションラインが引き上げ(?)られているため、「えっ前作ではそんなこと言ってなかったよね」とか「あっそういうふうになったんだ」など、初めて知る・分かることも多い
そういう意味では一見さんのハードルは低いと思われる
総得点:89/100
シナリオ:35/40
キャラクター:28/30
システム:8/10
ビジュアル:9/10
BGM:9/10