最後の最後に彼女は救われたと信じたい
「救いなんてない」
最後はみんなが救われると思ってプレイすると、絶対に後悔するゲームだと思います。
主人公の大智くんがみんなを救いたいと思い、行動すれば行動する程、その行動がから回り彼が1人苦悩していくのを見るのが本当に辛かったです。希望が見えたと思ったら、どん底に突き落とされ、誰1人として理解者のいないあの世界の中での彼の苦悩は計り知れないと思います。
ずっと味方だと信じていた愛ちゃんが、実は本当の黒幕だったと知ったときのショックも大きかった。
愛ちゃんは愛ちゃんで実の両親から虐待、お金のため商品、使い道がなくなれば殺害の計画をされるなど、目を塞ぎたくなるような悲惨な人生を歩んでいて、プレイしながら彼女に対してどういう見方をしていいのかわからなくなっていきました。
しかし、そんな彼女も1人の被害者なんですよね。誰が悪いといえば、両親である園田夫妻なのかもしれません。
最初は自分を守るために始めた行動が、もう後戻り出来なくなるまでになってしまい、彼女は1人孤独の中、逃げることも目を背けることもできずに戦っていたんだと思います。
彼女のやったことは、許されることではないのかもしれませんが、決して救いが必要じゃない存在ではないんですよね。
むしろ、彼女こそが真の救いが必要な存在だったんだと思います。
そんな彼女ですが、最後は園田先生の狂信者と化した美桜さんに殺されてしまい、救いなんてない結末だったように感じますが、ED後の最後の語りには思わず涙してしまいました。
きっと、救いのない世界の中、最後の最後に彼女は救われたんだと思います。
しかし、この世界の中で一番救われないのは大智くんだったというのは納得できない部分でもありますね。
本当に彼の視点だけでみると、「救いなんてない」この一言に尽きる気がします。
彼が善良で一般的な存在だったからこそ、でしょうか。彼のような存在は幸せに暮らして幸せに終わるのが普通な気がします。ただ、普通の世界じゃなかったからこそ、彼は救われなかったのかもしれません。
ちなみに、一番お気に入りキャラは紗英子ちゃんです。
あまりメガネキャラは好みではないのですが、彼女はすごくお気に入りです。
このゲームの中で、一番えろいなーと感じたシーンは、彼女のホームレスの人たちとの乱交シーンです。本当にありがとうございました(オイ
完璧な自分が貶められるのに興奮を覚えてしまった彼女のENDでは、薬で自分自身だけでなく、お腹の子どもまでもボロボロになってしまい、それが彼女の望んだ道だったとしてもすごく胸糞な話でした……。このENDに関しては、同性だからこそ感じるものもあったのかもしれません。薬、ダメ、絶対!
話は脱線してしまいましたが、このゲームの登場人物たちはみんな、現実世界にも実際にいそうですよね。
悩んでいる内容も、同じ内容で悩んでいる方はたくさんいらっしゃると思います。
そういう点においても、現実世界とリンクさせすぎてしまったのか、他のゲームより感情移入してしまって、大智くんの苦悩をそのまま私も感じてあのクラブの教えを理解できない自分がダメなのかと、本気で考えてしまうこともありました。
妹である芽生ちゃんが男たちに犯されてしまったときも、大智くんのように絶叫、号泣してしまいましたね。
プレイしたあとだから言えることですが、絶対に大智くんに感情移入しすぎてしまってはいけません。自分までもが苦しむことになります。でも、普通にプレイするよりかは、大智くんに感情移入した方がいろんな意味で楽しめるのかもしれません……うーん、難しい……。
でも、プレイ中幸せな気分に浸れたりすることは決してないと思います。少なくとも私は、イライラしたりモヤモヤしたり、気持ちのいい感情といえる気持ちでプレイしたことはありませんでした。
そして、まったく別物だとわかってはいるのですが、どうしてもeuphoriaと比べてしまうんですよね。
別物なので当たり前のことなのですが、読了感などは断然にeuphoriaの方が上ですね。
あっちは救いというものが、わかりやすく書かれていますが、こちらの救いは本当に当事者にならないとわからないものばかりだと思います。みんな悩んで悩んで、その結果がああなってしまって、本人は救われたのかもしれませんが、プレイヤーは素直に喜べないものばかりですよ……。
最後になりますが、euphoriaをプレイして「おっ、これeuphoriaと似たようなゲームだし、やってみるかー!euphoriaが大丈夫だったし、こっちも余裕だろーww」なんて軽い気持ちでプレイするのはダメ、絶対!私の二の舞になります。
逆に、フラテルニテを先にプレイして「こっちの方が評価高いしやってみるかー、同じように欝ゲーかな。グロのレベルはどんなもんだろ」とか思ってプレイすると、肩透かしをくらう可能性があります。
いろいろ比べてはいますが、フラテルニテもeuphoriaもいいゲームには違いないと思います。
でも、ノーマルな人やエロゲ初心者の方は、プレイする前に回れ右して、8月やゆず作品など、安定しておもしろい作品をプレイした方が無難です。
雑なまとめ方になってしまいましたが、「救いなんてない」。
そんなことは決してなかったゲームです。大きな救いはなくとも、ささやかな救いはあります。
結末を見届けたあとのタイトル画面のみんなの幸せそうな表情もすごく大好きです。本当の救いはここに詰まっているのかもしれません。
しかし、そんな救いなんかよりも、大きな絶望が待っているゲームですが、興味のある方はプレイをしても損はないゲームだと思います。ただ、後味が悪いゲームだということに変わりはないので、ハッピーエンドしか認めないという方はスルー安定ですのでお気をつけください。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方はありがとうございました。