ErogameScape -エロゲー批評空間-

8yosuga8さんの恋と選挙とチョコレートの長文感想

ユーザー
8yosuga8
ゲーム
恋と選挙とチョコレート
ブランド
sprite
得点
75
参照数
553

一言コメント

他ではなかなか見られない選挙を題材にしたお話で楽しめました。また、BGM等も作品の雰囲気を盛り上げるために必要以上の役割を果たしていたと思います。ただ、ほかの方も言われているように、キャラが不快な部分がちらちら見えてしまって、そこが残念。長文感想は、それぞれ思ったことを書きなぐっただけです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言感想でも書いたように、選挙を題材にしたお話はあまり馴染みがなかったので思った以上に楽しめました。形だけの選挙かと思いきや、公約などもそれぞれのルートで真剣に考えたり、戦法や選挙の結果が変わっていたのも楽しめました。
ご都合主義と思われがちな部分もあるかとは思いますが、最後がみんな幸せならそれでいいというか、このやさしい雰囲気が壊れなければそれでいいと思ってしまう程、ゲーム内の雰囲気はやさしくあたたかくて素敵です。

以下、攻略順で個別ルートでの感想を

・千里(強制ルート)
 メインヒロイン。なかなか素直になれない幼馴染。
 クリアしたのがずいぶん前、というか、このあとにやったみいちゃん(美冬)ルートが、個人的にどうしても許せなかったので、そこまで印象にないというか覚えてない。
 主人公が千里に対して「恋」という感情を抱けない理由が、しっかりしていて納得しました。だからこそ、そのあとの千里の過去との決別シーンが感動できてよかったです。最後の丘は参りのシーンも最後まですべて、幼馴染の千里から恋人になった千里の成長物語で、読んでる方もあたたかい気持ちになれました。
 ていうか、内容を本当に覚えてないです。ところどころ、千里に対してイライラしたところはあるんですけど、頭からっぽになっててこれ以上、話を膨らませることができません/(^o^)\


・みいちゃんルート
 立ち絵がすごく好きでした。だがしかし、このルートの最後以外は絶対に許せないです。個人的にこのゲームで一番許せない。このルートをやって以降、みいちゃんの言動などすべてが許せなくなってしまって…。
 メインは千里とみいちゃんと主人公の大島くんの三角関係なんでしょうけど、これはひどい。三角関係ならではの葛藤やらなんやらあるとは思いますが、このルートでみいちゃんの取った行動はひどいとしか言いようがないってくらいひどいです。
 まず、千里のことを一番に考えてーとか、千里がー千里がーと何をするにも千里の名前を出す割に、その千里の気持ちを一切理解できてませんし、好きな人である主人公の気持ちも一切考えられていないヒロインとして書かれてしまっています。
 主人公と雰囲気に流されたとはいえ、キスをしてまって千里に会わせる顔がないからと、主人公を避けるようになり、学校も仮病で休むようになる。ここまでは、多少悩むところもありますが、キスの前にごたごたもあったので仕方がないかなと思ったりもしますが、主人公にとっては自分の気持ちが宙ぶらりんでたまったもんじゃないよなー、と。その後、話をしたいというのと心配だったので、みいちゃんの家までお見舞いに行くんですが、その後成り行きでえっちへ。この時、主人公はみいちゃんと体だけじゃなく、気持ちもひとつになれたと、自分とみいちゃんが両思いだということに安心と幸せを感じるでんすが、みいちゃんから言われた言葉は「帰って」「すべてを無かったことにしよう」「あれは間違いだった」あまりにも、自分勝手というか都合のいい話だよなーって思いながらも読みすすめていると、千里と付き合えと無理強いをしてきたり、無理やり2人っきりにさせる割には、裏で嫉妬していたりと、乙女心は難しいというかなんというか…ってかんじです。
 口では千里、千里と言っていても、根本的な部分では、それを我慢できない自分もいるのはわかりますが、結局、主人公だけでなくその千里まで傷つけることになって、もう選挙どころではない。本当に。最後はハッピーエンドなのでよかったし、みいちゃんがどれだけ主人公と千里との3人の関係を大切にしていて、2人のことを大切にしているのかわかりましたが、キャラとしての印象はプレイ前と比べるとだいぶ悪くなりました。
 このルートプレイ後のほかのキャラのルートでのみいちゃんの発言や行動を見ていると、千里のことしか考えられていないように見えて、どこか中身がないように感じられるので納得できない部分が多いように感じました。いい子に違いはないと思うんですけどね。本当にそこが残念。


・衣更ちゃんルート
 このゲームでたぶん一番の良心。この子の笑顔には主人公だけでなく、私も癒されました。ただ、いい子すぎて見ていてつらい場面がいくつかありました。こういう差別やいじめ問題を取り扱うのは難しいですよね。
 ただ、問題が問題なだけに周りのキャラの言動が許せないこともあったり。特にサルコンビ。他のルートでは、食研でのいじられキャラとしていじられつつも、食研のためなら一生懸命がんばるいい子たちなんですが、同時に自分たちにとって関係ない存在と認識した者には、無感情なところが人間味溢れているといいますか…。ただ、差別発言はやっぱりいい気持ちにはなれない。
 主人公も衣更ちゃんのために頑張るのですが、それがから回って部員がどんどん離れていくのは見るに耐えなかった。人としては間違っていなくても、立場として間違った行動を強いられるのは、どんな人でも辛いですよね。ただ、主人公はそこで諦めずに、差別問題に必死に取り組み、結果的に選挙では負けてしまいますが、生徒会副会長としてその問題を取り組むことになります。信じて進んだ道だからこそ、離れていった仲間たちも戻ってきて、サルコンビも衣更ちゃんへ謝罪と、友だちになろうと一歩歩み寄り、この先の差別問題が少しずつ減っていくことを、感じさせられてよかったです。


・皐月ルート
 なんで先生が攻略できないんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!なルートですね。
 メインの皐月の話をしますと、選挙では敵の彼女ですが、ギャップ萌えといえばこの人ってくらい、普段とスイーツを目にした時の反応の差がかわいいです。堂々としていて、一本筋の通ったキャラなので、見ていてとても好感がもてます。内容としては、家族問題が主になってくるんですが、彼女と付き合うことで見えてくる敵陣営の話も、客観的には納得させられる反面、皐月の気持ちを考えると悩まされる部分であり、読んでいておもしろかったです。
 そんなことより、このルートをプレイしていて、短いお話でもいいので先生とのルートを期待した方も多かったんじゃないかなー、と。こんなに一途に想いを寄せてくれているのに、ちょっとくらい攻略したっていいじゃない!なんて、そんなことを何度も思わされました_(:3 」∠)_
 皐月ルートは全体的によくまとまっていて、特に言うこともないかな。ただ、前述したとおり、ギャップ萌えと、キャラとしてのかわいさ、かっこよさを考えると、皐月のヒロインとしての魅力はこのゲームで一番かなーって個人的には思います(贔屓)


・末散ちゃんルート
 単刀直入に言いますと、この子のルートが一番好きです。ほかのルートでも、学園の裏側に触れる部分があったりしましたが、このルートはメインで取り扱っていますので、ヒロインを全員攻略する予定があるなら、この子のルートは最後推奨。千里が表のメインヒロインなら、未散ちゃんが裏のメインヒロインというくらい話の質は高いです。
 若干のご都合主義も感じられるお話ですが、細かいことはどうでもいいのです。魔法を使ってすべて解決✩ってくらい簡単に問題解決できてしまうご都合主義じゃなければ許されるのです(暴論)
 今まで完璧でいた会長が選挙の結果にこだわる理由も理解できました。ただ、マンモス校だからこそ仕方ないのかもしれませんが、この学園に関わる大人は汚い人間が多すぎる。規模が大きければ、大きいほど見えない部分も増えてくるとは思いますが、学園の上の方はほぼ真っ黒なんじゃなかろうかという…書きたいことはたくさんありますが、語りだすと切りがないのでこのへんで。
 ただ、肝心の選挙部分の描写がダイジェストのようになっていたのは残念。もう少し、描写を濃くしてもよかったのではないかなーというかんじ。ただ、このルートでの問題として取り上げた部分は解決されたし、会長の真意や普段謎に包まれていた未散ちゃんのこともわかったので満足です。
 

それぞれのルートの感想はざっとこんなかんじです。
思っていたよりシナリオを楽しむこともできました。特に皐月と未散ちゃんルートはきれいにまとまっていてよかったです。惜しい部分も多々あるようには感じますが、全体的に悪いという印象は受けないし、丁寧に作られていると感じることができるので、個人的には満足です。

キャラもメインだけでなく、サブキャラもそれぞれいい味を出していてよかったです。
個人的に一番好きなのは汐浜さん。最初は嫌な部分もありましたけど、だんだん主人公の選挙を応援してくれたり、記者として正しい情報をみんなに与えたいという熱意が大好きです。
食研ののんちゃん、ユメくんは、衣更ちゃんルートの辰巳の件を除けば、主人公を信じて一緒にがんばってくれましたし、最後までお気に入りです。
会長も個人的に嫌いではなかったのですが、未散ちゃんルートで、普段の冷静な態度の裏に隠された気持ちを知って、好きなキャラになりました。同じく、未散ちゃんルート以外では出ないかなさんも、いいキャラですね。
キャラが多すぎてそれぞれ語ることもできませんが、辰巳以外が結構好きな子たちばかりです。

BGMや音楽もゲーム内の雰囲気を盛り上げるために、力が入っていたように感じました。
OPは結構有名ですが、個人的には挿入歌やEDもいい曲が多いように感じましたので、気になった方は聞いてみることをオススメします。ただ、挿入歌などはゲーム内でのストーリーの物語と一緒に楽しんでもらいたいと思いますので、ゲームを実際にプレイしてみることをオススメします!!

賛否両論、いろいろな意見のあるゲームですが、必要以上を求めなければ楽しめる作品だとは思います。恋と選挙がどう関わるのか気になった方は、試しに触れてみるのもいいかとは思います。ただ、タイトルのチョコレートに関しては、千里ルートでしか深く触れられていないので、メインはあくまでも「恋」と「選挙」部分にあると思った方がいいと思われます。

ここまでいろいろ語ってはきましたが、最後まで読んでくださった方は、最後までお付き合いくださりありがとうございました。