面白い作品ではあった
面白い作品ではあった。
しかし、いつまでも記憶に残り続けるかといえば残らない作品だった。
異能バトルものであり学園ものである。この点においてはしっかり作りこまれており、設定や能力の見せ方、学園ものに欠かせない魅力的なキャラクターをしっかりとそろえた作品だった。
ではなぜ最初に述べたように記憶に残らないという評価としたのか。
それは、この作品の終盤がどうもすわりが悪いからである。
共通ルートから個別に入る流れはよく練られており、ルートに入るたび展開が変わる。
ここは素直に楽しめた。制作側もルートロックをかけている以上周回プレイが基本となることをしっかり理解しており、受け手を飽きさせないよう工夫したのだと思われる。
ヒロインが主人公に惹かれていく様も、突拍子もないようなものはなく素直に受け入れられるものだった。
では、個別の終盤の何が納得いかなかったといえば、裏切りとどんでん返しの連続である。
朔ルートを最後にやることとなるのだが、二転三転する物語は面白いのだが、過剰であれば置いてけぼりになってしまう。いままで受け手側を楽しませようとしていたにもかかわらず、最後の最後風呂敷をたたむ際にやりたいことやりすぎて置いてけぼりにしてしまった。
いや。面白いのだ。朔は自身の歴代ヒロインでも上位に入るくらいかわいい。
でも。作品として最後の最後で好きなれなかった。
最後の妹はいらなかったと思うのだ。
大義の裏切りはいい。クローンもいい。
でも生きていたってのはどうなのと。それが最後の敵ってどうなのと。
矛盾があるわけではない。でも腑に落ちなかった。
いい作品の宿命として欠点が目に入ってしまった。良作ではります。
主人公はクソ野郎ですがかっこいい。