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7080526さんの抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2の長文感想

ユーザー
7080526
ゲーム
抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2
ブランド
Qruppo
得点
89
参照数
2014

一言コメント

非実在系ユートピア

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ぬきたしの完結編として申し分ない出来で大変楽しめました。メインの「センズリポイント・パッコメン」は主人公がSSメンバーと共に異世界に飛ばされるという突飛な内容ながらも、前作では敵キャラだった3人と共同生活を送ることで彼女たちの知られざる一面に触れられ、新キャラの水引とのバトルでは性同一性障害に悩まされる少女を救うまでの熱いぶつかり合いがぬきたし無印のTrueに匹敵、いやそれ以上の密度で大満足でした。


・越えるべき「障害」
秋野水引の「性」の問題は作中で全て語られていて、前作ではアサちゃんを通して少し触れるだけだったものに向き合えた事は勿論素晴らしいけれど、今作ではもう一人「マイノリティの中のマイノリティ」と言える大きな障害を抱えたヒロインが居るのです。ご存知冷泉院桐香ちゃんです。
無印ではその怪しさ、とっつき辛さから「悪の親玉」かのような扱いを受けていた彼女ですが、今作では戦闘以外では日常生活がまともに送れないほどの不器用さと、純粋さが故の気遣いの無さすぎる言動を繰り返す、良く言えば天才、悪く言えばアスペルガー症候群な一面を見せることになります。
そういった彼女と仲を深めてやがて恋人になっていくのですが、このルートの素晴らしい所はいちゃいちゃ(?)メインでシリアス要素無い点も高評価だけど、言ってしまえば障害持ちの女の子と一生を過ごしていくってシナリオを「マイノリティとの共存・相互理解」をお題目に挙げたこのゲームで、尚且つ明るい雰囲気でやったのが凄いと思うのです

得てして障害ってのは泣き要素や暗い雰囲気を伴いがちだけど、このルートにはそれが全くなく終始明るい雰囲気で、しかも道中で淳之介が水引に語ったようにお互いが幸せになれるよう努力も欠かさない

不器用な形だけれどずっと一途に淳之介の事を思い続け行動してきた桐香ちゃん それが漸く正しい形で伝わって
エピローグでは相変わらず不自由だけれど、親子三人とも笑顔で 幸せな日常で

淳之介の理想世界のモデルとして申し分のない形ですよね
こんな風にみんなが生きていけたら
そして誰か一人、そんな相手が見つかれば それはなんて幸せなことなんだろうなって

不自由でも、不幸でも、性別が変わっていても、好きな相手が他の人と違っても
哀れまず、蔑まず、ただ一人の「人間」として生きていることを許す 許すだけ
それは厳しい世界かもしれないけれど、同時に人々の多様性を認めるこれ以上ない「楽園」なのだと思います



と、ここまではシリアス多めですが、足りない分のギャグ要素はSSの個別、各種ヒロインのアフターで補充できる正に痒いところに手が届く出来 アフターは美岬は勿論ナチュラルに狂っている(←褒めてる)のは予想通りでしたが、思っていた以上に奈々瀬アフターがはっちゃけていて最高でした。イチャラブもあそこまで行くと狂気だよなぁ……



ユートピア(理想郷)とはギリシア語で「どこにも無い場所」を由来とした言葉であり、なればこそ前作でたどり着いた楽園も一見完璧なようでまだ欠けていて……今回で更なる高みへ至れたように見えても、まだ何か足りないはずで、だから彼らの戦いも続くのでしょう


青藍島の未来は、きっと「希望」に満ちている