夜空に輝いてる「星」には、どれだけ手を伸ばしても届かなくて。それでもいつかは届く気がしていて――。俺も洸太朗君も、そんな星の瞬きに魅せられてしまった一人なのかもしれません。これは間違いなく恋物語、「親愛なる彼女」に向ける「恋心」のお話。
(2020/6/6追記 このゲームをプレイしてから1年を過ごした事で、星奏の思いだとか、二人の心は通じ合っていたのか、といった部分において思い直す部分も多々あり、一時期は丸ごと書き直そうかと思っていましたが 初心を覚えておく意味でも残しておく事にします。恋カケが好きなのは今も昔も変わらず。荒い文章ですが、ご容赦くださいませ。)
※後半にキサラギと魔女こいの内容に触れる文がございます 未プレイの方はお気をつけ下さい
凜香ルート&ゆいルート
凜香ルートでは生徒会長の座、ゆいルートでは親の形見でもある花壇と、自分の支えとなるものの喪失から主人公との恋愛を通じて立ち直るまでを描いた成長ストーリー。特にゆいルートは花壇に話が絞られてるお陰で読みやすくて良かったです
この二つのルートでは「喪失、大切なものを失うことと、そこからの歩み」を描いてるように感じました
彩音ルート
幼馴染の長年の「恋」が叶った話
黒板で想いを伝えるシーンや孤立していた彩音を主人公が助けるシーンなど「過去のエピソードをもう一度今繰り返す」シナリオは良かったです 後半揉めた時に仲直りするのが早すぎるかなとは思いましたが
彼女が何より魅力的なのはその立ち位置です
彼女自身は昔に自分を救ってもらった洸太郎の事がずっと好きなのですが、肝心の洸太郎君はここではない遥か先を見つめる星奏の後を追うことに囚われたままで
彩音→洸太郎→星奏→
どこまでも遠くへ行こうとする星奏の後ろを追う洸太郎
洸太郎のことを想う彩音もまた洸太郎と同じで届きそうで届かない恋をしてると言えます
洸太郎が手紙に気がつかなかったのだって、きっと偶然の一言だけじゃないはず
「国見君がわたしの事を好きでなくても、かまわない」
「だからといって、絶対かなわないなんて思わない」
やはり何処か洸太郎と彩音には似たものを感じてしまいます
彼女はまだ洸太郎と結ばれる終わりがある分救われていますね
夕日をバックに「今度はちゃんと返事してよね!」と笑顔で告白するシーンはとても素敵でした
このルートでは「恋」そのものを描いて
星奏ルート~終章
「長年の恋の成就とその喪失、そこからの歩み」
結末に関してはこれを読んでる人は皆知ってると思うので割愛
学生時代に星奏がどこかに居なくなってしまっても納得出来てしまったのは、昔から彼女が大人っぽくて、周りと違っていて、一人のクリエイターとして遠くを見つめていたから
そんな何処か浮世離れした、けれど実際は自分の遥か先を歩んでいた彼女のことが好きだから
きっと今の自分では繋ぎつづけることが出来ないと、そう心のどこかで確信していたからだと思いました。
最後の星奏の「自分の夢と洸太郎、どちらを取るか?」という選択に対して迷った結果自分の夢を取ったことだって予定調和で、そんな夢の為に全てを捧げる彼女だからこそ、洸太郎はずっと、ずっと彼女の事が好きなのでしょう
だからこそ、誰よりも前に進んでいく彼女にいつか届く、追いついて一緒に走ってみせるとひたすらに追いかけた洸太郎君の姿に感動しましたし、たとえ叶わなくたって彼の生き方は間違いなく「恋」であったと断言します
報われなくたって、それでもそんな彼女が好きだから
たとえ片思いで終わっても、「姫野星奏」が最後まで「姫野星奏」であり続けて、そのことに洸太郎が満足しているのであるならば、俺はこの物語に何も不満なんてありません
思えばキサラギGOLD★STARの沙弥ルートエピローグでとって付けたかのような再会に肩透かしを食らい
魔女こいにっきの真エンドには納得できつつもぶつ切り感であまり楽しめず
ついに恋カケで一つの答えに辿りつけた気がします
人を選ぶけれど、少なくとも自分の胸には残る読後感の良いゲームでした。