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508さんのHoneyComingの長文感想

ユーザー
508
ゲーム
HoneyComing
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
96
参照数
350

一言コメント

「不快なキャラクター」が居ないのが最大の魅力

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 このゲームはパソコンゲームを購入し始めて割と初期からプレイして、未だに起動することがあるほどの、結構思い入れが深い作品でもあります。まず、プレイ後衝撃を受けたのが、「HOOKSOFTなのにHOOKSOFTらしくない」ということです。
 私は、このゲームを購入する前に、Sugirly Wish -Limited- とLovely Questをプレイしておりました。このことで、「HOOKSOFTといえばドタバタ学園ラブコメディ」といったイメージが付き、シリアス?なにそれおいしいの?といったゲームを連発する会社なのかな? と勝手に思っていました。しかし、このゲームをプレイすることによって、実は例外もあるらしい、ということに気づかされ、同時に今でも起動することがあるような思い入れの深い作品となっていきました。下記では、下の欄に行くほど思い入れの深いメインヒロインとなります。

 緒方 美緒 さん
 この人のルートはあんまり記憶がないです。ですが、ある意味では一番「いつものHOOKSOFT」らしいキャラクターとも言えるのではないでしょうか。あまり物語の起伏はありません。しかし、考え方によっては「メインヒロインの中でも一番安心して読み進めていられる」キャラクターでもあります。演劇を行っているシーンをもうちょっと詳しく見てみたかったですね。

 上条 朝陽 さん
 悪い意味で印象に残ってしまった一人でもあります。朝陽さんが嫌いとか、シナリオが嫌い、とかそういうことではありませんが、上条さんの父方、母方の仲が悪く、重苦しい雰囲気も見受けられたため、読み進めているうちにだんだん耐え切れなくなり、セーブデータを見る限りでは、一年以上次にプレイするまでに開きがありました。

 多賀谷 麻里乃 さん
 この人のお話も割とHOOKSOFTらしい作品でした。結構ツンが激しい人ですが、家族思いの良い人で、アルバイトをして必死に生計を立てている、苦労人であるところに好感を持てました。そして何より多賀谷家に近づく悪役(笑)を全力パンチで撃退しちゃうところ。見ていて爽快でしたねぇ。 ・・・主人公は置いてけぼり食らってますがw
 このゲームのキャラクター専用BGMの中では一番好きでもあります。

 七里 由馬 さん
 恐らくこのゲームで一番の衝撃を受けた一人でもあります。まさかHOOKSOFTの作品で、自殺未遂をやらかす人が出てくるとは思いませんでした。ボイスを聞いているとわかるのですが、この人、性格はともかく声質にも感情の起伏がありません。どうも過去に縛られて生きているような、そんな印象でした。このゲームのチャームポイント(?)の恋愛授業ですが、この人のお話だけ一度通った後でもスキップせずにじっくり読み進めることが多々あります。特に、ペアになった人に手紙を書くところ。由馬さんの心境が知りたくて仕方がなかった主人公に完全に感情移入してしまいました。そして、自殺騒動以降の主人公は本当にかっこよかったです。由馬さんの心を開かせるために、女子寮へ行って話しかけたり、大食い勝負を持ち掛けてみたり、主人公の自宅でパーティーを開いたり。パーティーを開いた後の、由馬さんの笑い声に他キャラクターがビックリする場面があるのですが、私も驚きと共に「やっと心を開いてくれた」と心の中で(もしかしたら顔に出てたかも?)ガッツポーズをしていました。結構かわいい。ステキ。

 前園・koraris・皐 さん
 この作品を好きになった一番の原因の人です。実家がお花屋さんを務めており、物語中でも、お花のお世話をしているところが結構あります。ところが、いつも笑っているクレアさんに因縁をつけた皇城涼子さんに花壇を踏み荒らされてしまいます。この人のお話もHOOKSOFTらしくありません。割かし重いです。
 印象に残っている部分としては、いろいろあるのですが、まず一つに、老人ホームへ皇城さんも招いてお手伝いに行った時のお話でしょうか。クレアさんと主人公はこの性格だし、ホームにいる皆さんに感謝されるのは想像できたので、さほど驚きもしませんでしたが、涼子さんが車椅子に乗ったおばあちゃんの相手をしている時の情景で衝撃と感動を受けました。車椅子に乗ったおばあちゃんは皇城さんのおばあちゃんが涼子さんに対してどう思っていたかを知っており、涼子さんはそれを知ることになります。そのシーンで私は相当感動しました。この部分にイラストがあったのも、かなり高いポイントです(このシーンで車椅子に乗ったおばあちゃんとそれを引く涼子さんの姿を描いたイラストがある)。
 また、クレアさんと主人公がすれ違った時の描写。このブランドではなかなか無かった緊張感(由馬さんのお話や朝陽さんのお話も同様ではありますが)が味わえて、結構ハラハラドキドキしました。すれ違ってショックを受けている時に、涼子さんが元気づけてくれるシーンがあるのですが、そこも一緒に印象に残っています。「敵」だった人が、主人公がピンチに陥った時に助けてくれる、こういうものが私は大好きです。そして緒方父、アンタ意外とカッコイイこと言うじゃないか。いつもは五月蠅いだけだけど(ぁ
 いろいろ書きましたが、最初はクレアさんが一番好きだったのに、何回か最初から読み進めているうちに涼子さんが一番好きになっていました。いつの間にか。

 さて、メインヒロインの感想を上げていきましたが、このゲームはサブキャラクターにも印象に残った人がいます。以下、挙げていきたいと思います。

 一人目は、皇城涼子さん。大体のことはクレアさんの感想の部分で言いましたが、今でもサブキャラクターで最も好きな一人といっても過言ではありません。

 二人目は、雷道苺さん。この人、カッコイイんですよね。恋愛授業担当の先生なのですが、何かあるごとに主人公を助けてくれます。特に麻里乃さんと由馬さん関連での相談に乗るシーンはかっこよかったです。当本人は「カッコイイ」なんて言ったら困惑すること間違いなしでしょうが(女性ですし。そして実は登場人物の中で一番のナイスバディ)。
とても授業中に薙刀をぶん回す横暴な教師には見えませんね!(ぁ

 三人目は、ジョン・山口さん。立ち絵すら無い人ですが、しゃべり方から察するに、盛り上げ役には最適な人だと思っています。身近にこんな人が居れば、暗い感情もぶっ飛んでいきそうな。

 他にも、サブキャラクターは一杯いますが、そのどれも共通するところが「個性的な人はいれど不快になるキャラクターが一人もいない」というところです。これはこの作品の中でも最も好感を持てたところでもあります(皇城さんは賛否分かれそうではありますが)。

 hシーンに関しましては、2シーンx5人、と結構少な目です。ですが、朝陽さんやとりわけ麻里乃さんの足でのシーン、麻里乃さん、クレアさん、とりわけ由馬さんの胸でのシーン、クレアさんの手でのシーン、と使いどころは多数ありました。やっぱり回数よりも自分に合う好みのシチュエーションがあるかどうかですね。反論は心の中で認めます(笑)

 但し、いいところもあれば悪いところもあります。その一つが「恋愛授業」、意味あった?というところです。確かにこれが無いとメインヒロインの情景を説明できない場面もあったような気がしますが、大半は別にそうでもないような・・・? って思うところもあります。共通編の恋愛授業なんてまず一度通ったらスキップしちゃいますしね。但し、私は別に気にしていないため、減点対象ではありません。
 また、ディスクレス起動が不可なのはありますが、結構昔のゲームですし、私にとってはこれも許容範囲内なので減点対象ではありません。
 オンリーワンモードについても、あまり通常時とは変わらないため、なくてもいいんじゃね? という人はいるかもしれませんね。これも気にしていませんが。

 このゲームの評価です。
(美緒さん60点+朝陽さん50点+麻里乃さん70点+由馬さん100点+クレアさん100点)÷5涼子さん+10点その他サブキャラクターに不快な人がいないことに+10点
合計で96点です。

・・・このゲーム、雷道苺さん他サブキャラクターの3キャラクターについてもおまけストーリーがあるのですが、本編で満足してしまったため、途中から全く進めていません。というわけで、おまけストーリーにつきましては点数から除外してあります(^^