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4Dさんのパパラブ 2軒目 ~私たちみ~んな、お父さん大好き!~の長文感想

ユーザー
4D
ゲーム
パパラブ 2軒目 ~私たちみ~んな、お父さん大好き!~
ブランド
BLUE GALE
得点
75
参照数
2966

一言コメント

もうどうしようもない感じに残念な頭をした娘達に囲まれながら日々を楽しくエッチに過ごすというお話。前作で最も受け付けなかった点「二重人格のような父親像」が改善されていたのが良かった。これたぶん、父娘モノじゃなくて普通(?)の兄妹モノなら結構話題になれたんじゃないかなあ。相変わらずちょっとオッサン向けのノリだけど、残念な娘を愛でつつも笑える作品として実にユニークな出来だと思う。殆どネタばれしてないけど一応

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

軽いツンデレ風な長女、
内向的な病弱くせっ毛巨乳次女、
自称宇宙人の電波三女にエロ全開のストレートな四女、
そして年齢不詳の飛び入り娘。
総勢5人とお父さんとの明るく楽しい毎日という感じ。まあ前作とほぼ一緒だね。

先に言っておくとストーリーとかそういうものは無きに等しいw
基本的に一本道で、娘達が総がかりでお父さんを攻略して~Fin.~という感じ。
前作は「前半まともなお父さん」「後半鬼畜な鬼父」と二極化しすぎていたのが難点だったけど、
今作はそう極端な事にはなってない。ところどころ下品にはなるんだけどね。
まあ全体的には安心して読み進める事ができたと思うよ。



「娘達が馬鹿丸出しでネタかましてくるので笑いながら突っ込みを入れる」
このゲームにおける楽しみの半分以上はこれ。
ゲーム開始から終了間際まで途切れる事なくネタが飛び交っていて、
そしてお父さんは中年の割に中々バラエティに飛んだ突っ込みを飛ばしてくれる。
読んでて退屈を感じる事がなかったな。

思ったよりもイチャイチャっとかはしない。
こう書くと「え、萌えとかラブとかねーの?ギャグのみなの?」と思われてしまいそうだけど
そういう訳ではなくて、なんというか…親子ならではの明け透け感、というのかな。
そういったより身近な、他の萌えゲーではあまり味わえない距離感があって一味違う心地よさを感じさせてくれる。
肩の力を抜いたまま楽しめるお気楽エロバカコメディとして良くできてるんじゃないかな。
いやほんと、実際かなり笑ったよ。どうにも下ネタが多いんだよなあw

じゃあもう半分は何かっていうと、まあ、うん、エロですよね。
娘達は絵もキャラ的にも可愛いし、お父さんもキチガイにならないし
可愛くおねだりもするし100%ラブラブ和姦だしで、使えない要素が全くない…はずなんだけどね。
何故か今回はあまり使おうという気になれなかった。ごめん正直言うとCTRLで殆ど飛ばした。日をおいて見直すつもりではあるんだけど。
考えるにこれはたぶん、娘達を「可愛い」と思ってしまった事が敗因だと思う。

―――おれが心から可愛いと認めてしまったもの、その前でおれは無力になる
 フッ オッサンが二次元少女に心魅かれた時から略―――

まあそんな感じで、その境目が一体どこにあるのかは自分でも判らないんだけど、
ある一定以上に萌えというか心の距離が近づくというか、うわあこいつ可愛いいい、みたいな感情を抱いてしまうと
途端に抜けなくなるんだよなあ。なんなんだろうねこれ。
「どんなにエロくてもシナリオゲーだと抜けない」っていうのを時々聞くけど、たぶんそれと似た感じなんだと思う。
つまりそう思える程度にはこのお馬鹿な娘達は可愛くて、そして身近な存在になり得たと言えるのかもしれないね。
しかしホント、この心の動きはなんなんだろうな…好感抱くほど抜けなくなるって、普通に考えると逆っぽいけどなあ。
一度どこかで本腰据えて考えてみたいところ。

と話が逸れたけど、他には原画が進歩しすぎててびっくりしたってのもあるかな。
ずいぶん愛嬌のある表情になったし、立ち絵ですら「可愛いなこいつ」って思えた。こんなのは久々な気がする。
顔は可愛いし体もむちむちっと描けてて非常によろしいです。
しかし本当の姉妹間くらいは髪の色相合わせようぜとも思った。
髪色髪型でしか差別化できないのがエロゲ絵だなんて揶揄されるけども
ある意味確かにその通りで、髪の色相が大幅に異なると途端に姉妹には見えなくなるんだよなあ。暮羽ェ…

あと次女のキャラデザがちょっとありえないくらいにドツボすぎた。生きる気力が湧いてくるレベル。
くせっ毛もぱっつんや姫カットと一緒で、可愛い子にだけ許される髪型なんだなあと再確認させられる思いでした。
あの角みたいな小耳みたいな部分をものすごく掴みてえ。



残念ながらイケてない点もそれなりにある。
とりあえずエロ開始の切っ掛けがどうにも唐突すぎてしっくりこない。
セクロスまでの流れも重視する人には全くお奨めできないね。
BGMの数も非常に少ないせいかシーンと合ってない事が多く、違和感を覚えることが結構あった。

そしてなんというか、ちょっと上手く言えないんだけど…どこか垢抜けてない感がある。
それはシーンの移り変わり方一つとってもそうだし、全体的な物語の構成もイマイチ。
寮に住むとか住まないとか話に盛り込む必要性が感じられず、どうにも浮いてる気がしてしょうがなかった。
メリハリや緩急といったものも非常に薄く、個別ルートがほぼ存在しない事なども併せて
悪い意味で萌えロゲの基本に沿えていないような気がするな。
「おう、萌えロゲの基本ってなんだよ?」と問われると答えづらいんだけどさw
なんというのか、一作品読みきった後の満足感?みたいなものがあまりなかった気がする。
うーん…やっぱり上手く言えないけど、とにかくそんな印象を受けた。
娘達との絡みが面白くて良くできてる分、余計に目立ってしまうんだよね。

75点と個人的には高めの点数をつけた前作より更に、全体的に良くなってるとは思うんだけど
ここら辺がどうにもネックで80点をつける事にためらいが出てきてしまう感じ。
せめてもう少し個別の物語が充実していれば…七星辺りはいいセンいけてた気がするのになあ。



前作の感想でも書いたけど、BLUE GALEって事と父子モノって事でずいぶん損をしてると思うw
近親相姦の背徳感や気持ち悪さみたいなものはあまり感じられないし、
可愛い子達との笑えてノリの良い日常という感じで、思ったより間口は広そうなんだけどな。
まあ少なくとも自分は笑えたし、娘達との触れ合いも満喫したし次女見てたら生きる気力が湧くしで、十分に満足できたよ。
二作続けて面白いものを見せてくれた原画とライターには引き続き頑張って欲しいね。
でも父娘モノはもうお腹いっぱいかな。次は違ったものを見せて欲しいってのが正直なところ。
キモ姉/キモウトモノとかやってくれねーかなあ。



あっとそうだ、簡単なエロの内訳も書いとこう。
CG数は差分除外すると90枚、一人当たり7シーン×5人+複数プレイが4シーンで合計39シーン。
内容は特に偏りもなく、いたって普通の取り揃えという感じ。