これを超える作品はこの先出てくるのか…?
クリア直後、語彙が吹っ飛んで「凄ぇ…」としか言えなかったし、思えなかった。それほど衝撃的な作品!
もう、ほんと凄いから。
あ、まだ語彙が死んでる。
うわー!日常生活に支障出るじゃーん!!どうしよー!!!
改めて、凄い作品だった!これと並ぶ、もしくは超える作品は恐らく出てこないのではないかと、俺にそう思わせるほどの素晴らしい物語。
マブラヴ凄い!鮮やか!と思ったのが、
「平和過ぎるほど平和な世界」と「死と隣り合わせの過酷な世界」、この二つの世界を対比させる構造。この対比構造が作品を通して表現されるメッセージを際立たせる!さらに、この構造の利点として、プレイヤーが作品のメッセージをすんなりと受け入れられること、単純に話が盛り上がることが挙げられるね。ほんと設定の時点で神だな~と、クリア後痛切に感じましたよ…
あと、鮮やか!とは違うけど、この作品は死を上手く扱ってるな~と思う。
俺の持論だけど、作中で死を扱うのって、プレイヤーを感動させるために一番手っ取り早い方法なんだと思う。死って生物にとって根源的な恐怖の対象。自分が、大切な誰かが死ぬというのは、死が不可逆とか、そんな事を考える以前に理屈抜きで悲しいもの…。
だから、手っ取り早く感動させたいなら、主要人物を殺すなり何なりすればいい。
でもこの方法は諸刃の剣とも言えるんだよな。なぜなら、死を上手く扱えなければ、作品が一気にチープなものになってしまうから。
「手っ取り早く感動させたいなら、主要人物を殺すなり何なりすればいい。」とは書いたけど、ただ死なせばいいってもんじゃないよな…。死に至るまでの過程が重要よ。
その点、マブラヴは良くできていて、感動できる死を描けていた。
(思いっきり死亡フラグ立ってたキャラが、光の速さでフラグを回収していったのにはポカンとしちゃったけどw もちろん感動の方が強かったけどさ。あまりにも綺麗な死亡フラグだったから、絶対ミスリードだと思ってたんだけど、ちゃんと回収していくからある意味新鮮だったw てかこのゲーム2006年発売か、もしかしたら発売当時に死亡フラグという言葉や考え方はなかったのかもしれんな)
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白銀武という主人公
弱くて情けない主人公大歓迎!
昨今は 俺TUEEE系、しかも何の努力もなしに棚から牡丹餅的に手に入れた能力で無双する作品が人気だよな。俺は弱くても、情けなくても、みっともなくても、汗水たらし、不断の努力で成り上がる主人公が好みなんで、今の時流にはちょっと不満がある。けど、その点マブラヴは素晴らしいな!武は作品内で徹底的に弱い部分・情けない部分が表現されていて好印象!
(まあ古い作品だからね。もしマブラヴが今の世に生まれたとしたら主人公は完璧超人だったかも?
って、そんなわけないかw)
ただ弱く情けないままじゃなくて、最終的には立派に成長するのも良い!
はいっ!ここ!俺が弱くて情けない主人公が好きなのはここっ!
「最終的には立派に成長する」
最初から強いとか、非の打ち所がないとか、それだと成長の余地がなくてつまらないなって。
弱くて情けない主人公の方が成長の余地があるし、展開的に物語をドラマティックに演出できると思うんだ。実際EXTRA、UNLIMITED、オルタの対比で武の“成長”が感じられる描写が多々あって、本当に感動できた!この感動は主人公が完璧超人だったら無かったな~。
完璧超人主人公が無双するのって、見ていて爽快感はあるのかもしれない。だからそういうの好きな人もいるし、人気もあるんだろう。でもマブラヴに限っては主人公が完璧超人だと魅力が半減してしまうように思う。
なぜなら、この作品が有するメッセージをプレイヤーが正しく受け取るためには、主人公に共感する必要があり、そのためにはプレイヤーが投影しやすい人物像を主人公に設定する必要があるから。
主人公に共感していない状態でメッセージを受け取っても、理解はできるが納得はできないという微妙な状態になり、作品の魅力半減よ。
で、共感するためにはプレイヤーに近い主人公でないといけない。だから完璧超人はダメっ!プレイヤーのみんなは完璧超人と言うより、弱くて情けない…でも日々頑張ってます!みたいな感じだろっ!だから武みたいな主人公の方が感情移入できる。
そういうわけで、マブラヴという作品においては、
弱くて情けない、日常を生きる等身大の若者である白銀武という人物が主人公として適しているという話。
何でこんなこと書いたかというと、武のダメダメさ加減にイライラした方がいたみたいで、そういう人から武を擁護するため。
俺、武がマジで好きだから、
マブラヴは主人公がダメダメだからこそ輝く物語なんだってこと、分かって欲しいのだ…
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BETA
人類に敵対的な地球外起源種
作品内で敵として立ちふさがり、プレイヤーを絶望させるBETA。このBETAの見た目が絶妙なキモさで感心!時代によって美醜の価値観は異なってくるものだと思うけど、BETAの造形はどの時代のどんな人物でもおぞましいと感じるようなデザインで、人類の敵として相応しいな。BETAは、やっぱり人類の敵であり異星からの侵略者なわけだから、不気味で嫌悪感を抱くようなデザインで、人類の理解の埒外でなければならない。それをしっかりと表現できていて、(厳密には違うけど)侵略者としては最も優れたデザイン・設定なんじゃ?とか思いました!
桜花作戦で、あ号標的と対峙した武が様々な疑問を投げかけるシーン。「何で殺すんだー!」とか「何が目的なんだー!」とか。ここ、プレイしてて「は?」と、呆気にとられ思わず声が出てしまったんだよね…。
Q 武「何で殺すんだー!」
A あ号標的「殺してないよ、だって君たち生命じゃないもん」
!?!?
Q 武「じゃあお前らは何なんだよ!」
A あ号標的「僕たちも生命じゃないよ」
!?!?!?
いやもうここほんと、ヤバかった…
驚愕…
重要な情報の畳み掛けがえぐい…
Q 武「何が目的なんだー!」
A あ号標的「資源の回収」
!?!?!?!?!?
BETAにとっては戦争ですらなかったと…
戦ってたBETAも特に戦闘用というわけではなかったと…
そんなやつらに!資源回収用のBETAに!人類滅亡の危機まで追い詰められてたのか…
終盤も終盤、とてつもない絶望に叩き落とされて…
やってくれたなーと…
BETAのせいで、掛け替えのない人たちが命を落としていって、それでも挫けず前に進み、そうしてたどり着いた先に待ち受けていたのが、絶望的な真実…
やりきれねぇなあ…
ここは、うん…
かなり衝撃的だったよね。
絶望的ではあったけど、BETAの創造主の存在が明らかになったのは人類にとっての新たな希望だね。人類が生命だと創造主に認めさせる。そして和平に持ち込む。そんな一縷の望みを抱いて…
え、これどうなるの?なんか続編出るらしいけど、この部分をやるのかな?
ウェーイ!楽しみ楽しみ!!
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EXTRA、UNLIMITEDと泣きゲーかってくらい泣いたんだけど、オルタはそれと比較にならないほど泣いた。涙腺決壊して涙ボロボロ、てかビチャビチャ。脱水症状で死ぬかと思ったよね。マジで。
俺はどうやら涙もろいらしく、主要キャラが死ぬとか、そういった泣きポイント以外の部分でもEXTRAやUNLIMITEDとの対比で感極まってうるうるきちゃうなんてことが多々あった。だから作者が狙った感動ポイントの数以上に泣いたかもしれない。そんな俺が、数多ある俺的感動ポイントの中からいくつかセレクトして語ります。傾注!
まず一個目がクーデターのところ
冥夜と沙霧大尉の対話シーン
「そこまで国を…民を…この煌武院悠陽を想うのならば…」
「―何故そなたは人を斬ったのですかッ!?」
「血は血を呼び、争いは争いを生みます。そのような仕儀をもたらしたそなた達の此度の行い…それは私や民の心を汲んだものだと…本当に言えるのでありましょうか?」
「将軍の意志を民に正しく伝えることが、そなた達の本意であったとしても…それが伝わらぬ者、それを阻む者を排除することが許される道理があろうか…」
「それを許すのであれば、天元山の人々を力尽くで排除した政府を非難する資格…そなたに在ろう筈がない」
「民の意志を語る資格が在ろう筈がない…」
セリフだけ見るとなぜ泣いたのか疑問だが、実際に感動したわけで…
これはオルタの良さがシナリオだけではなく、音楽や演技までに亘っていることの証左ととれるかもしれないな。てかそんなことはどうでもいいんだ。ここマジで泣いたんだよ!俺的には作中で一番泣いた場面かもしれん!涙で文字がよく読めなかったもん!
次、榊と彩峰が戦死するシーン
榊「―初めてね…考えてる事が…一致するの…」
彩峰「―ふっ…」
榊「―タイミング…合わせなさいよ…!?」
彩峰「―榊はいつも…ひと呼吸遅い…」
榊「―ふ…あなたが…早いのよ…!」
彩峰「…かも…ね…」
榊「…最後…ぐらい…」
榊「…最後ぐらい…息を合わせて…」
榊「…白銀達を…驚かせてやりましょうよ…」
これはズルいよなぁ…
こんなセリフ出されたら絶対泣いてしまう…
EXTRA、UNLIMITEDと二人はずっと対立していて、それはオルタでも変わらず。(武が過去の経験から二人を上手くフォローしたおかげで、オルタでは対立の描写はそこまで多くなかったけど)
そんな二人が最後には…
この場面は無印マブラヴとの対比で二人の成長を感じるとともに感動することができるオルタ屈指の名シーンだろ!
このシーンでは、
比較して初めて得られる何かがいくつも存在するから、無印マブラヴをないがしろにしてはいけないと実感した。オルタ単体でも楽しめるっちゃ楽しめるけど、最大限楽しむならしかるべき手順として、無印マブラヴから攻略した方がいいね。
無印マブラヴを理解してないと作品の真髄を味わえない…と思うから。
次、夕呼先生が武に説教するシーン
と言っても、これだけだと「どこやねん!」て感じですよね。
武が元の世界に逃げ帰ってから、元の世界の夕呼に説教されるシーンです。
夕呼「色々と大変だったのはわかるけど…」
夕呼「…向こうの軍隊って、甘えたガキを養成する機関なの?」
武「…どういう事ですか…!?」
夕呼「現実逃避と自己憐憫はものすごくハイレベルだけど、自己弁護はいまいちねぇ…カリキュラムのバランスが悪いんじゃない?」
―バッ…バカにしやがってッ!!
夕呼「全てを途中で投げ出して逃げ帰ってきたあげく、自分の責任を棚に上げて平気なんて…楽そうでいいわね~。あたしもそのカリキュラム受けようかしら」
武「―好き勝手言わないでくださいよッ!! オレだって苦しいんですよ!」
夕呼「…」
武「…夜…ひとりになると…気が狂いそうになるんですよ…」
夕呼「…まりもはもっと苦しかったでしょうね」
武「―!!?」
まりもちゃん…が…苦しい…
夕呼「殺される瞬間…まりもは一体何を考えたのかしら?」
武「―殺される…瞬間…!?」
夕呼「少なくとも、白銀を恨んだりはしなかったでしょうね…」
武「…」
夕呼「あんたはその話を聞いてなんて思う? 恨まれなくてよかったって思うの?」
武「…」
夕呼「いつまでそうしている気…?」
武「…それは―」
夕呼「―甘えてんじゃないわよっ! 次は誰を殺す気? 鑑? 御剣? ああ…それともあたしかしら?」
武「―っ!!?」
夕呼「あんたが被害者面して逃げ回っているこの瞬間にも、何も知らないあんたの知り合いの身に、死が迫っているのかもしれないのよ!?」
夕呼「…それが、どれほど理不尽なことか分かってるんでしょうね?」
武「―だって…先生、昨日大丈夫だっていったじゃないかッ!!」
夕呼「あたしが言ったから安心なの? 人が大丈夫って言ったら安心なんだ?!」
武「うう…ッ!」
夕呼「だったら言ってあげるわ! まりもが死んだのはあんたのせいじゃない! 『向こうの世界』から逃げたのも悪くない!」
夕呼「ほら! 元気だしなさいよ! 安心させてあげたでしょう!? スッキリ気分を入れ替えて見せなさいよ!!」
武「―先生ッ、やめてくださいよっ!!」
夕呼「やめて欲しいなら安心させて頂戴よ! あたしは大丈夫だって安心させてよ!!」
武「―安心って…!!」
夕呼「あんたは悲劇の主人公で満足かもしれないけど…あんたの記憶に1度でも刻まれた周りの人間のこと考えたことあるの!?」
武「そ、それは…」
夕呼「…何も知らずに、あんたの持ち込んだ因果に巻き込まれる人は、まだ気楽かもね」
夕呼「だって、理不尽に降りかかってくる別世界の因果に怯えることは、決してないんだもの」
夕呼「でも、あたしは何が起こっているのかを知ってしまった…あたしが全く恐怖を感じないとでも思っているの?」
武「…」
夕呼「でもあんたは…それを考えることすら放棄しているのよね?」
武「そ、それは…」
夕呼「それが許されることなのかどうか…そんなこともわからないの?どうなのよ?」
武「…」
夕呼「あんたが悲しいのもショックなのもわかってるわよ! でもやらなきゃいけない事はあるんじゃないの? どうなのよ!?」
ここは本当に自分が説教されているような感覚だったな…
俺も理不尽な目にあってんだよ…
夕呼先生は聞きかじっただけだろ!
そんな先生に何がわかるんだよ!
でも…先生の言っていることは正しい…
悔しさと自分の不甲斐なさで涙がボロボロですよ…
あー、もう書いてて涙目になってきた…
ほんとここ泣いたわ…
武自身も突然別世界に飛ばされて、かと思ったらタイムスリップして…かなり理不尽な目に合ってる。それを武の視点で事実として受け止めたプレイヤーは、この場面で心情的には武の立場であるはず。その状態で夕呼先生の説教を聞くと心にしみるよ…
ずっと自分のことばかりだった武が、夕呼先生の言葉で初めて気付く。
自分のせいで酷い目に合うかもしれない人たちのことに。
このシーンは、
今まで自分が辛い、自分が悲しい、自分は理不尽な目にあった、という自分本位の考え方が無意識にあった武の、視野狭窄的な考えが変わるきっかけとなる重要なシーン。この後、純夏が死んでまたダウンしてしまうけれど、ちゃんと立ち上がって、元の世界も背負って戦っていく。
カッケーな…
まりもちゃんの死、夕呼先生の説教
どっちも武の成長には欠かせないエピソードで、二人は武の成長の功労者と言えるかもしれない。そう考えると、二人とも良い教育者なのかも?
ここで死んだまりもちゃんは、伊隅大尉や速瀬中尉みたいに、最良の可能性を秘めた未来を選んだゆえの意味ある死だったのかもね。
まりもちゃんが死ななければ、武は挫折せず成長もなかったわけで、たぶん後の作戦で致命的なミスを犯すことになっただろうから。
ちょっと強引な考え方かもしれないけれど…
他にも感動ポイントたくさんあるんだけどね、キリがないからやめとく。
それにしても何故こんなに感動できるのか、という疑問。プレイしていてあまりにも感動ポイントが多く、感動する展開に既視感のようなものを覚えたから、もしかして感動するメソッドみたいなものが存在しているのではないか?と思った。
例えばだけど、
純夏が武のことを忘れないように、自分の書いた日記を読み返していたという事実が判明したシーン。好きな人を忘れたくない純夏の健気な行動が胸を打って感動するんだけど…
これ、映画か何かで見たことある気がするんだよなぁ、と。
あ、これ別にパクリとかそういうことが言いたいわけじゃなく(というかこっちの方が件の映画より前だと思うし)、どうしたら感動するかみたいなのって技術として確立されてるんだろうかと。(これがさっき書いた感動するメソッド)
感動するメソッドが確立されてるかどうかはさておき、
こうした疑問を抱いてしまったら、基本的に感動する展開に不自然・作為的なものを感じて、萎える。(お涙頂戴だね)けどこの作品は例外。めちゃくちゃ自然で、作為を感じない。誰かが考えた物語ではなく実際にあったことを第三者がまとめて物語にしたレベルのナチュラルさ。
100%天然素材ですっ!
“作品”なわけだから絶対に作為はあるはずなんだけど、それを意識させないのが凄い!
設定と構成が作り込まれてるんだろうな…
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マブラヴという作品のメッセージ
マブラヴという作品について、プレイはしたことがないが多少の聞きかじりがある人というのが少なからず存在していて、そういった人達はマブラヴの魅力を、死と隣り合わせの過酷な世界で侵略者BETAと戦う部分だと思っている人が多いように思う。色々見ていて。
しかし、この作品の最大の魅力は“メッセージ”にある!(まあBETAとの戦闘も魅力の一つだけど…)
極限の世界で生きる人間の有様と、平和な世界で生きる人間の有様、そして平和な世界から極限の世界へ来た武の有様、これらの比較・対比で描き出される強烈なメッセージ…
もちろん比較・対比なしの直接的なメッセージも…
肝心のメッセージの内容について
「お兄ちゃん?散々メッセージメッセージ言ってるけど、つまりは何なの?」と、脳内妹が疑問符を浮かべてるから書きます。
俺がこの作品から受け取ったメッセージは
「いま当たり前にあるものは非常に尊いもので、それはずっと当たり前ではない」
他にも立脚点とか色々あるんだけど、俺的にはこれが一番かなと思ったね。
なぜこのメッセージが一番だと思ったのかというと、
特に深い理由はなくて、単純に作中でこれ見よがしにアピールされてると感じたから。
じゃ、こっから実際にアピールされてると感じた部分を紹介するぜ!
まず、EXTRA編からUNLIMITED編への切り替え。(オルタの感想なのにオルタの話じゃねぇw)
まあ、これは文句ないっしょ!当たり前だと思っていた日常が突然奪われ、元の世界とはかけ離れた過酷な非日常が訪れる…
呑気に「純夏ちゃんprpr♡」や「冥夜hshs♡」と興奮していた豚共を突然地獄に叩き落とす悪魔の所業…
純夏をprprし、冥夜をhshsしていた豚にはさぞ効いたことだろう…
脱線した。
ここは先のメッセージの象徴的な部分だね!
プレイヤーはここで、当たり前にあった日常が突然奪われる感覚を味わうことになるけど、これを理不尽と思った人は作者の思うつぼかもな。作品を通した作者の狙いの一つは、突然日常が奪われる理不尽ってのはフィクションの話じゃなく現実にもあるとプレイヤーに改めて理解させることなんだと思う。辛いし、悲しいし、理不尽だし、という三重苦を抱えた武と一緒に成長し、武がたどり着いた真実をプレイヤーも受容できるように、世界の切り替えは唐突に、理不尽さを感じるようなもので…
さすがに、この作品みたいに突然別世界に飛ばされることはないだろうけど、現実において突然日常が奪われる例って結構あるよな。身近なものだとリストラとか、もっと大きなものになると災害…とか。
そういう理不尽を自分とは無関係なものだと決めつけ、何も考えずに生きてる人への警鐘。先のメッセージにはそんな意味合いが…
(そういえば、無印マブラヴを完全初見でプレイできた人ってどれくらいいるんだろう?大体がUNLIMITED編の存在を知っていてプレイした人だろうから、UNLIMITED編の存在に本当の意味で驚愕した人は結構少ないかもな。俺も詳細は知らなかったけど、ゲームの途中で、ロボットに乗って化物と戦う話に切り替わるってのは知ってたから、そこまで驚きはなかった。その驚きの分、完全初見でプレイできた人がちょっと羨ましいな…)
これ以降UNLIMITED編でもオルタでも
「いま当たり前にあるものは非常に尊いもので、それはずっと当たり前ではない」というメッセージを感じる部分が頻発!
さすがに全部は紹介できないから割愛するけど(細かい部分はもう覚えてないんだ…)、印象に残ってる部分だけ書く。
【武が数式回収のため元の世界に帰ったところ】
ここに住んでいること…この街で、この日本で、この地球で生きていることが…どれだけ幸せなことか…。
誰も気づいてない。
ただただ流されるままに毎日を過ごしている。
良い悪いじゃねぇんだよな。
それがこの世界での人の生き方なんだ。
世界なんて大袈裟な事考えるまでもない。
日本の外に目を向ければ…そこには戦争という現実も存在する。
人間同士の殺し合いだ…。
でも…この日常を本物にするために、一体誰が何をしてるんだろう?
京塚のおばちゃんや、あの婆さん…向こうの世界の人達と違って、この世界の日本では奪われていないモノ。
この世界の人たちは、奪われる前にどうにかすることができるかもしれない状況にいる。
でも…なんにもしてない。
政府の役人や自衛隊とか…そういう連中に任せっきりなんだ。
自分たちで勝ち取ろうとしていない。
与えられたものに寄りかかって…いや、寄りかかっていることすら気付かずに、自己主張ばかりしている。
義務や責任を全うしないで、権利を先に主張する。
オレだって…そうだった。
『平和』や『安全』が無条件に保障されていると、いや、それ以前に、そんなこと考えもしなかった。
けど、全員がそうじゃないことは…わかっている。
あっちの世界と比べられるワケがない…それはわかってる。
でも、今BETAが、いや、人間でもいい。
この国を攻めてきたら…どうする?
『平和』や『安全』…それどころか『人権』とか『常識』を保障している今のシステムなんて、あっという間に崩壊するぞ?
こんな日常なんか、もう2度と体験することはできなくなるんだぞ?
大切なものを勝ち取っていくことの大切さを…甘く見ている。
良くも悪くも…あっちの世界の奴らの方がその大切さをわかってる。
この時点で武はもう向こうの世界に染まってるから、元の世界の平和ボケした人達とギャップを感じてるんだな。プレイヤーも武視点で物語を追うから、武同様に平和だったEXTRA編の記憶が薄まっている。だから武の心情と一致する。これも計算してやってんのかねぇ…
メッセージについては言わずもがな。
もう直接書いてあるな。
【武の小隊長就任祝い】
オレは、大尉ともっと話をしておけば良かったと悔やんだ。
だから、いつ何が起きても後悔しないために、可能な限りみんなと話しておきたい。
自分にしろ誰かにしろ、人に限らず何であっても「いつまでもそこにある」のは当たり前じゃない。
何度もそう思い知って来たのに、いつの間にかまた繰り返してたな…。
これが“この世界”での“常識”なんだよな。
「自分にしろ誰かにしろ、人に限らず何であっても「いつまでもそこにある」のは当たり前じゃない。」
これ当たり前のこと何だけどね~。突然見ず知らずのおっさんが目の前に出てきてこのセリフを言っても「はぁ、そうですか…」で終わりなんだけど、ちゃんと作品を通して表現してくれてるから心から納得できるよね…
このセリフで最初に思い浮かんだのは親。
親は順当にいけば自分より先に死ぬからな、感謝するなら生きている今のうち。
まあ俺はまだ実家暮らしだから、毎日のように顔を合わせてるんで機会はいくらでもあるけど、親元離れて暮らしてる人は、感謝を伝える機会は自分が動かなければ基本ゼロだからな。
たまには親に顔を見せに行ってるか?感謝を伝えてるか?
メッセージを受け取っただけじゃ意味ないぜ。実践してかないと。
くれぐれも自己啓発本を読んだだけで満足するような奴にはならないように(何様だよ)…
【オリジナルハイヴより帰投】
「…みんなが…好きだからだ」
「知り合いだとか、見ず知らずだとか…距離は関係ない…」
「…人間という存在が…生命というものが…とても愛おしいからなんだ」
「『あ号標的』が言ってたろ…この宇宙に炭素生命は存在しないって」
「だから、それだけ貴重で大事なものなんだって…あの時、改めて気付かされたんだ…」
「そして…その意味や価値を、想像したり、認識できない事の恐ろしさも…良くわかったんだ」
「BETAに限った話じゃない。それは人間同士…いや、オレ自身の問題でもあるんだって…思い知った」
「…オレ自身が…かつてそうだったからな…」
俺このシーン鳥肌立ったよ…
あまりにも持っていき方が巧いから…
生きているだけで幸せだってこと、
生きる事すらままならないような世界で武が得た真実…
作中の設定と絡めてこんな強烈なメッセージを打ち出すって…もう反則…
やべぇよこれは、本当に凄ぇよ…
ゲームのメッセージで、
人類の尊さ、生きていることの素晴らしさにつなげるって相当だぞ?
メッセージ自体のスケールがでかいのもそうだけど、そのメッセージが自然と腑に落ちるような構成が凄い…
ここはもう、わけわかめな涙がね…
溢れました…
(プレイ当時このシーンで、ふと頭をよぎったセリフがある。
「当たり前だと思っていたものが奇跡の産物だと知った時
あらゆる事象が美しく 儚く 尊いものだと感じられる」
「Pandora Hearts」18巻からの引用
地球という惑星が生まれる確率
そしてそこに生命が生まれる確率は
天文学的なものらしい
じゃあ地球も生命も奇跡の産物だ
そんな地球で、生きていること、
その美しさ、儚さ、尊さを教えてくれるマブラヴは神ゲー!なのですっ)
ーーーーーーーーーー
「和平するにしろ継戦を選ぶにしろ、権利を盾に自分勝手なことを考えるバカは必ず出てくる」
「そうなれば今まで通り、人類は内輪で戦いながら、BETAに対処しなければならない」
「BETAとのコミュニケーション以前に、人間同士の相互理解が必要なのよ」
「それこそが、人類生存の鍵を握っているわ」
みんな宇宙船地球号の仲間なのに、協力できない、団結できない…
みんな自分の事ばかり考えている…
終盤までプレイすると「人類共通の敵が現れたら、さすがに団結するわw」と笑えない…
もし実際に同じようなことが起きたら一致団結できるのか…?
(どことは言わんけど、足並みを揃えてない国があるよね。俺は国際情勢とか詳しくないからアレだけど、あの国は何がしたいんだと。兵器開発してるみたいだけど、さすがに戦争おっぱじめる気はないんだろうから、抑止力としての武力が欲しいとかなのかな。相互確証破壊みたいな。ともあれ仲良くしたいもんだけど。)
ーーーーーーーーーー
知らなかったじゃ…済まないんだ…。
失って初めてその価値がわかるんじゃ…遅いんだ…。
一時の流行でやった気になったんじゃ…意味がないんだ…
喉元過ぎて痛みを忘れたら…お終いなんだ…
―でも…人類は…人間はそれを繰り返している…!
こんなにも…生きる事に真剣な世界の人達でさえ…。
これこれ!これだよ!!
森羅万象に通ずる(大げさ)、マブラヴという作品が有するメッセージの集約!
ここはマジで、いや、ガチで泣いた。
もう泣きゲーだから。ほんと。
ぶっちゃけるけど、リトルバスターズより泣いた。
できわた…よりは泣いて…ないけど。
このメッセージは痛いほど響く…
何度読み返しても泣けるぜ…
「一時の流行でやった気になったんじゃ…意味がないんだ…」
これ、一個思い浮かんだのがあって、SDGs。オリンピックの関係かなんか知らんけど、いつ頃からか急に企業やメディアがアピールし始めて不自然だった。
まあ悪いことじゃないんだろうけど…
ちゃんと理解してやってるなら。
例えば、企業は既存の事業にSDGsを当てはめて、さも取り組んでいるかのようなアピールだけをして、付加価値を得ようとしているだけに思う。根拠なんか無いけどさ。
SDGsが何なのかしっかりと理解して、社会的な責任を果たしてほしいですね…
一時の流行じゃ困るぜマジで…
ところで、
SDGsって何ですか???
マブラヴのメッセージって、まさに究極だと思うのよ。
尺度を変えれば何にでも当てはめられる…
ーーーーーーーーーー
ここまでを読み返すと、自分でも
「はぁ?何言ってんコイツ??」(https://youtu.be/XWG_mtlShIg?t=156)
と、思うようなことを書いてるなw
これ、ちょっと言い訳させてくださいな。
「化物語」の上巻のあとがき。西尾維新さんの言葉を一部。
「人間思っていることを百パーセント表現できるわけがないし、また表現されたものが百パーセント伝わるわけもなく、実際は上首尾に運んで六十パーセントずつ、つまり作者の思っていることで作品を通して受け手に伝わることは三十六パーセントというのが実際的な数字です。」
だそうで、確かにその通りかなと思うわけです。
で、これを信じるならば、マブラヴという作品をプレイした俺の解釈は当たっている部分もあれば、的外れな部分もあると思うのです。なので俺の解釈を、「こいつマブラヴについて何もわかってねえじゃん!読解力終わってるから母親の子宮から人生やり直せ!!」などと思わずに、「ほえー、こういう解釈もあるんだ。なるほどニャー」と受け止めてくれると嬉しいにゃん♡
終わりに
プレイしてみてわかった。
「この業界は昔に比べ衰退した。昔ほどの熱量ある作品が今は無い(意訳)」
これが声の大きい懐古厨の戯言ではなかったのだと…
このセリフに全面同意はできないけど、マブラヴをプレイすると、そういう発言が出てくるのも仕方ないと思えてしまう。
そのくらい本当に!本当に!本当に!良くできた素晴らしい作品!
絵が微妙とか、古い作品だからとか、そんな理由で敬遠してるならもったいないよ!
少しでも興味を持ったなら是非やってみてほしい!
きっとあなたを夢中にさせるし、必ず何か得られるものがあるから…
と、ネタバレ感想の最後に未プレイ者向けのメッセージを書くあたり、アホが極まってるな~と思う昼下がり…