おいおい、意外に楽しめちゃったよ。評価低くてもやってみるもんだなー…。
ここの評価がかなり低かったので期待せずにプレイ開始した。
ゲーム開始して早速キャラクターの立ち絵が…
あー、作画崩壊まではいかないけど結構酷く、こりゃ駄目やな…と。髪型と全体的に顔のパーツの大きさ&配置が雑? 非常に際どいバランスでギリギリセーフ判定?レベルの絵。エロよりもシナリオを売りにしてるんだろうが、仮にもエロゲなんだしもうちょっと頑張って欲しかったかなと思ってしまった絵でした。
この絵が好きな人もいるのだろうけど、俺個人としては全く萌えなかったので、最序盤の時点で萌えへの期待は捨ててテキスト・シナリオだけ考えることにした。
で、テキストの方はというと…。
ぶっちゃけかなり良かった。会話のテンポが小気味よく、ポンポン進む。字数が少ないというのもあるけれど、単純に掛け合いが面白い。主人公の性格が超傲岸不遜、超自信過剰のナルシストだから、普通の会話においても内容がどんどんぶっ飛んでいき、相手から呆れられなどするが本人は全く意に介さずで、そのゴーイングマイウェイな生き様は主人公としては珍しく、俺には響いた。俺が知ってる限りだと「ハロー・レディ」の主人公もこんなような感じだが、それよりも遥かに突き抜けていて、「その自信は一体どこから…」という疑問が尽きないw
他には…これは絶対比較しておくべきでしょう。「暁の護衛」の朝霧海斗。海斗がふざけてるときの会話の中で相手を手玉にしてるような感じはかなり近いものがある。その掛け合いが好きな人は今作主人公もハマりそう。だがしかし、海斗と本作主人公には致命的に異なる点があって、それは言動の裏付けとなるもの。「暁の護衛」のネタバレ書くと良くないので詳しく書きませんが、海斗はああいう態度をとってもおかしくない、許されるような、納得できるような裏付けがあるが、本作主人公はマジで口だけ。そのためただ大言壮語を唱えてるやつみたいに捉えた場合嫌いになるかも。(まあ漲る自信は伏線?なんですが)
そんな感じで主人公に対し賛否はあるだろうが、彼の並外れた個性のお陰でテキストは楽しく読むことができた。もう一回記憶消して読みたいな〜。
問題はシナリオ。(やっぱり!(;´Д`))
「暁の護衛」もそうだし、てぃ〜ぐる「レミニセンス」もそうだったけど、やはり「幻のディストピア」も同じ轍を踏んでいた。本作衣笠さんは関わってない?みたいだけど、ブランドや世界観設定的に関わってるようなもんだと思って書きますが、この人は面白い話を書く天才。それは確か。でも毎回毎回、こっちが求めてるゴールよりかなり手前で話を終わらせるし、落ちがうまくつけられない。
「暁の護衛」も「レミニセンス」も
「えー!ここで終わりかよ…」ガックリと肩を落とした。
本作は「ここで終わり…か。まあ、衣笠ならスタンダード」
あの…衣笠さんのせいで変に達観しちゃったんすけど…という文句はさておき、
別にどこで終わらせようが途中まで面白かったのには変わりないし、点数をつける上で減点とかはしてないんだけど、どうしてももったいないと思ってしまう。生まれた区によって人生が決まる。そういう極端に管理統制された社会、格差の生まれる階級社会を描くならもっと暗い闇の部分を表現するべきだったし、最終的なゴールは特区を作って、区ごとに区別することの無意味さを主張し、名ばかりのユートピアをぶっ壊す!
ここまで描かなきゃだめでしょうよ。どの区の人間も変わらないってことをヒロインだけが知るんじゃなくて、1区や2区の生まれに胡座をかいているガキどもに教えてやらなきゃ。人の価値は区どうこうで決まるもんじゃない。生まれは関係なく努力で這い上がれるのが健全。その実現例としての主人公たちと来栖川父やん。ディストピア出身者の二人がユートピアで覇権を握って、下のものに対する偏見を持ちディストピアの存在すら知らない上流階級の奴らに辛酸を嘗めさせる。彼らにとって幻であるディストピアを知らしめる。なぜそこまで描かないのか。
というか、これ系の話はライターお気に入りなのか、「暁の護衛」でも「レミニセンス」でも出てくるが、今回は「暁の護衛 罪深き終末論」の劣化版という感じね。他の人も言ってるけど。あっちも落ちが微妙だけど、「幻のディストピア」よりまだ頑張ってた。後発作品で似たような題材を使って完成したのがレプリカ未満じゃなぁ…。本当に残念でならない。
しかしまあ、こんなに文句を並べといて言うのもあれだが、この作品かなり楽しめたので。結構点数は高くつけた。主人公一人で何もできんのに、めちゃくちゃ喧嘩売ったりするのや、真相に至るまでのハラハラドキドキする緊迫感はなかなか感じられないものだと思う。クリアまで一切飽きることなくプレイできた。残念なところはあれど、やっぱり面白いんだ。面白けりゃそれでいい。それが正義。とはいえ好きだから文句も言いたくなる。愛ゆえに…な。
・OP、EDがかなり良い
まさか一回聴いただけで気に入るとはな…。疾走感があってよろしい。でもやっぱり映像のキャラクターの作画は崩壊気味であった…。
・来栖川のお父さんがディストピア出身というご都合主義
めっちゃご都合主義に感じたけれど、何故かそんなに嫌じゃなかった。主人公が気圧されるオーラを持っていることが伏線になってるからかなぁ。ディストピアから自分の運命を変えるために這い上がった者が持つ特有の自負心。その共通点という説明が自分的に腑に落ちたというか。主人公の普段の言動、1区まで成り上がるために来栖川を利用しようという野心、それらが主人公の無謀極まりない行動の裏付けにもなっているし、ディストピア出身で同じような自負心を持ち行動してきた来栖川父だから1区まで登り詰めることができたというのも納得で。なんかね、そんなに嫌じゃなかったですか…ね。
ただ既に言ったように、ラストただ手を取り合うだけじゃなくて、その後まで見たかった。ディストピア出身者を集めた特区(ユートピア)を作ると来栖川のお父さんは言ってたっけな。まあそれだと復讐で終わりだから、制度自体を崩壊させる…でそこまで描ききる。それが出来てりゃ個人的には傑作判定だった。惜しい。
・説明不足
何とは言わんが、色々と説明するべきことがあったと思う。これは続編ありきだったのだろうか。まあ続編があったとしてまた微妙なとこで終わることは想像に難くない。もっと頑張ってくれよ!
マジで色々な人のバックアップを受けて作ったらエロゲ史に伝説として残るような作品が作れると思うんだが。
衣笠シナリオについて思うに、書きたいところだけ書いているんじゃないか。その世界の歴史を書けていない。けど本人はたぶん満足しちゃってる。そこ改善できれば最強のライターだと俺は思う。でもその欠点のない衣笠さんは、僕の考えた最強のライター並みに机上の空論なんすよね。実在しないことが本当に悲しい。とはいえ、俺も衣笠作品を制覇してるわけではないので、もしかしたら既存の作品に、こちらの期待に応えてくれるものがあるのかも?
とりあえず「流星ワールドアクター」は未プレイなのでやってみなきゃ。