レッツ
処女作で近親相姦やいじめを題材に若干陰鬱な作品を作り上げていたもんだから、今後もそんな方向で行くのかと思っていたがどうやらそうでもなかったらしい。
二作目ではなんと神様が登場し、処女作とは転じて凄いありきたりな萌えゲーを作ったもんだから驚いた。
「なんだ、無難な萌えゲー路線にシフトしたのか」という印象を強く抱いた二作目だった。
三作目もそんな感じで行くのかと思っていたが、これまた驚愕。なんと今度の作品は萌えゲーとは言い難い凝ったハーレムゲームのようだ。
イマイチ方向性のはっきりしないブランドだ。
もしかしたら、色々なゲームを作ってどんなゲームを作りたいかを模索している段階なのかもしれない。
しかしおかげで、もう新規ブランドとは言えないレベルにまで発展しているくせに、ブランドの評価を固定するのが難しいというわけのわからない状況になっている。
現状だと、三作品をつなぎ合わせている共通点といえば絵柄くらいのものだろう。
ただ、作り上げた作品がつまらないというわけでは決してない。
個人的なことを言えば、今作品は私にとってはどストライクな作品だった。
何においても設定が素晴らしい。
主人公との共同生活のチケットを手に入れるためにヒロイン達が骨肉の争いをするという設定は、従来のエロゲーとはまた違った楽しみ方を期待できる。
今までは主人公がヒロインを選ぶのが普通だったが、この作品ではヒロインが主人公を取り合っている。しかも、かなり実践的に。
具体的に言えば、共通ルートの段階で情事をするというわけだ。(ただし、本番は個別ルートに入ったあとになっている)
共通ルートの段階でまぐわいをするというのは、どちらかというとエロゲーでは回避したほうがいい展開だ。
主人公の優柔不断を助長する結果になるからだ。
ただでさえエロゲーの主人公はその性格上「鈍感」と非難されやすいのに、それに加えて付き合ってもいない相手とまぐわいをするような優柔不断さが露呈してしまえば、プレイヤーの主人公に対する信用はまず間違いなく地に落ちる。
エロゲーは主人公の視点で語られるのが普通なのだから、プレイヤーの主人公に対する信用はなんとしてでも確保しておかなければならない。
そのためにも、主人公の信用を失うような展開はできるだけ避けるべきではある。
だが、この作品に限って言えば共通ルートでの情事は割と功を奏したんじゃないかと思う。
ただでさえヒロインが全員肉親という非現実的なゲームだ。
そんな彼らが迷う様子もなく性的イタズラに走るものだから、なんだかもうカオスにカオスが混ざってしまいもうそれでいいんじゃないと思えてしまう不思議さがあった。
この作品を人にオススメしようとする場合には、最低でも共通ルートの段階で情事があることを前もって教えておく必要があるだろう。
これはまず間違いなく知っておかなけらばならない類の事前情報だ。やる前に、心の準備はしておいたほうがいい。
CUBEの過去作品からは想像もつかない展開だから、余計にタチが悪い。