伝説となる同人ゲームここに堂々の完結(あくまで私的見解ですが)。150点あげてもいいですね。とにかく面白かった、何にもないへんぴな、きたない、田舎の村を舞台にして、良くぞここまで色々詰め込んだものだと思います。主人公たちも何の魅力もないただのガキだと思ってた初めの頃とは違い、別れるのが惜しくて、悲しくなるぐらい感情移入できました。作者は文才は別としてある種の天才ですね。第6話の罪滅ぼし編やった時は、作者この話の伏線につぐ伏線を解決する気があるのかと疑いましたが、その後、完璧な回答を出していました。すごかった。おもしろかった。
(注意:重大なネタバレあります未プレイの方は読まないように)私の犯人予測は外れました、犯人は主人公の母かレナだと思ってましたが、鷹野だとは・・村人たちは、オヤシロ様の信仰を守るために代々催眠術をかけられて、無意識のうちにオヤシロ様の意志といわれるものを実行してしまう。その催眠術を代々かけているのが、りんかだと思ってました。りんかも無意識のうちにやってると。犯人はいない、あるのはただ村の祖先の人が村の秩序を守るために開発した催眠術だけで、それがいまだに代々村に継承され、現代では異常な犯罪という形になってでてきてしまうのかな~と思ってましたが、見事はずれました。
犯人を探す基本は、殺人事件が起こった時、「誰が得をするのか?」「どんな得をするのか?」を考えるのが捜査の基本だと聴いたことがありましたので、そこから考えていきました。もちろん、そんなことがすぐにわかってしまったら、犯人が誰だかすぐわかるので、作者はちょっとづつ情報を小出しにしたり、隠したり、わかりにくいように変化させますので、そこを、どの文章が真意を隠そうと変形させた文章なのか必死に探しました。また、最後にならなければ明かされない犯人の動機もありとあらゆる可能性を想像しながら予測するのも楽しかったです。
田舎の村の素朴な心情描写や本当にありそうな、ダムやオヤシロ様、村八分の話などうまく組み込むな~と感心しましたし。主人公たちの魅力も申し分ありませんでした。
第6話の罪滅ぼし編が終わった時は、作者この話にちゃんとした理論的なオチを用意してるのか?謎が謎を呼び謎のまま終わる昨今よく見られる作品になるのでは?と半分あきれていましたが、7,8話でみごとに完結してくれました。作者としての責任をしっかりははたしてくれる作品は本当にひさし振りでした。思えばエヴァンゲリオンが大ヒットしてから面白ければいいんだと、思わせぶりで、はっきりしない、ちゃんとした回答がないまま終わる作品のなんと多くなったことか、それが「ひぐらし」では、竹を縦に割ったような、ズバッとした真相が用意されており、それがどの話ともしッかりリンクし、矛盾がないので本当にびっくりしたし、感心しました。
今後も作者はどんどん色んな作品を作り、挑戦していくとのことで、とても楽しみです。