ゲームを超えた芸術作品
ゲームをプレイしているのではなく、美術館でゆったりと絵画を鑑賞している気分だった。
この作品は、シナリオ、作画、音楽ともに非常に優れている。今までにプレイしてきたノベルゲームに比べあきらかに完成度が違った。これを最初にプレイしてしまうとそれ以前に発売された作品に違和感を覚えるのではないか。
まず、fate stay nightとの大きな違いは、ナラティブだ。この作品は、ノベルゲームでは珍しく三人称視点を採用している。fate stay nightの場合は衛宮士郎の語りのなので、かなり衛宮の精神の内側を覗いている主観的な作品だった。そのためセイバー、凛、桜などの人物たちの気持ちが衛宮を通すことでしか、彼女たちの気持ちがわからなかった。しかし、今回は三人称視点だったがゆえに、青子や有栖らヒロインたちの気持ちが客観的に知ることができた。
あくまでも僕の推測だがおそらくは、青子も有栖も主人公に対して恋愛感情を抱いているわけではないと感じた。そもそも恋愛をメインとしているゲームではないので男と女の関係を期待してこれからプレイしようとしている人はやめた方がよいだろう。
あまり長く叙述しても仕方ないので最後にひと言だけ、僕はこれから毎年冬の夜にコーヒーを準備し、少しだけ部屋の明かりを暗くしこの作品をプレイすることが習慣になるだろう。
リメイクはあるが続編は制作する見込みはないと思われる。そこが唯一の瑕瑾だ。