死んだ者への愛を貫くかどうか。それは残された者の試練
心優しい人間ばかりが住んでいる「すめらぎ」と言うアパート。
そこには主人公の中里光一と愛娘のさくらが住んでいる。
そう。主人公は既婚者だ。
しかし、妻の姿はない。
何故なら、愛する妻――未来は先に旅立ってしまったから。
主人公は妻を愛していた。
それは今も変わらない。
だから、彼の周りにいる魅力的なヒロインたちの儚げなアプローチにも気づかない。
妻を想う気持ちが強いのは良く分かった。
だが、感情移入できるかは別の話だ。
物語序盤で
・妻は昔死んだ
・娘を溺愛し、今は他の女性には目がいかない
という情報が与えられて「おぉ、それは大変だな。じゃあしょうがないよ」と思えるほど私は器用ではない。
一つ一つの段取りを踏んで出来てくる物語にようやく感情が動いてくるものだ。
しかし、本編はそれほど深く光一と未来の馴れ初めなどは書かれていない。
(もちろん、書いてあったが、それでも自分を主人公へ同情させるほどのものではなかった)
だから私の目にはこの主人公は“ヘタレ”にしか見えなかった。
しかも丁寧にボイスまでついている。
そんでもって、その声が全く受け付けられない。即効OFFにした。
ちなみに全ヒロインをクリアした後に見る事ができる、未来とのエピソードがある。
ここで漸く、光一の未来への愛の深さを知る事ができ、やっと感情移入できた。
そこで初めてこのゲームを評価することができたのだ。