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2+2=80さんのAIR Standard Editionの長文感想

ユーザー
2+2=80
ゲーム
AIR Standard Edition
ブランド
Key
得点
96
参照数
56

一言コメント

不思議なエロゲ、無力感と悲しさ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

かなり難解だった。翼人とは何なのか、結局観鈴は助かってないからBADエンドではないか、観鈴以外のルートでは神奈を助けられなかったのか、等々...一応自分なりの解釈を最後に書いてみた。
以下そこまでは感想
とても不思議なADVである。メインヒロインを一周目では結局救うことができたのか分からず、いよいよこの二周目?(AIR編)で救うのか!と思って始めれば、自分はカラスで何もできない。そして衰弱していく観鈴を観ていくことしかできない。
霧島佳乃ルート、遠野美帆ルート、神尾観鈴ルート、SUMMER編、AIR編どれも泣いた。しっかりと理解してなくても、とても良い話だと感じられる。どれもテーマは親子愛である。名作と言っても過言ではない。
以下解釈
・そもそも翼人について
翼人の記憶を親から子へと継いでいき、それにより地球の記憶を継いでいく者。そして、強大な力を持つ者。この力、記憶を継ぐ方法は、祝詞による。力が継がれる前は飛ぶこともできない。その翼に記憶が保存されている。また、その記憶は幸せで"なくてはならない"。
・平安時代について
朝廷が翼人の強大な力を恐れ、また信仰を別の一つの神に纏めるため、八百比丘尼を幽閉し、呪いをかける。呪いの内容は、想いを寄せた者を病ませる呪い。それにより、翼人信仰を徐々に無くそうとしていた。この呪いは法術によって受け流す事も可能。神奈は力が無いと分かっていたので幽閉まではしていなかった。しかし、神奈を力の継承前に抹殺するために兵を差し向ける(その兵は翼人の力欲しさに裏切る)。神奈は八百比丘尼に触れてしまった事で呪いを継承、また祝詞によって力、記憶も継承。柳也と裏葉を逃がすために飛び立ち強大な力を振るうも、別の呪いを受ける。呪いの内容は哀しい夢を見続けるという物。記憶は幸せでなくてはならないので翼人である神奈はこれに囚われてしまう(解くためには幸せな記憶が必要)。これにより神奈の魂が転生した先の人間(観鈴等)もこれら二つの呪いが降りかかる。
・現代について
霧島佳乃
羽を聖から受け取ったことにより、母親から子へ羽を受け渡した元寇により父を無くした親子の記憶を部分的に継承してしまう。(この羽は翼人の物で、おそらく神奈の物。翼人の羽は記憶を保存する。)それによりその親子の記憶が時々戻り、手を切ったりしてしまうようになる。往人は法術を使いその部分的な記憶を羽を使って復元。羽は記憶を神奈の元に持って帰り消滅。記憶には佳乃と往人の幸せな記憶も含まれ、それにより神奈は救われる。
遠野美帆
みちるというのは神奈の羽の記憶と死んだみちるの魂によって具現化した物。BADではみちるの想いが美帆に届かず、幸せな記憶が持って神奈の元に帰れない。TRUEではみちるの想いが届き、また美帆とその親との幸せな記憶が神奈の元に持って帰れるので、それにより神奈は救われる。
神尾観鈴
神奈の魂の転生先。恐らく神奈はずっと転生を繰り返しており、法術継承者は全員神奈の転生先と会っている。(往人の義母も会っている。)しかし誰も呪いを解くことはできなかった。DREAM編ラストでは往人が法術を使い自らも犠牲となって想いを寄せる人を病ませる呪いを解いた。それにより少し元気を取り戻し、また晴子に想いを寄せられても晴子が病む事は無かった。しかし翼人の記憶を継承するためには器が小さい為足りず、衰弱は結局止まらない。それでも晴子との思い出、また往人(カラス)に見届けられた事で、幸せな記憶を神奈に持って帰り、神奈を救うことができた。もうゴールしてもいいよね?は幸せな記憶がこれで充分だよね?という事。
最後のシーンの子供は往人と観鈴の転生先。神奈の呪いを解き、二人は過去に転生。そして、新しい始まりを迎えたのである。