面白かったが自分の中で『Heart's』を超えることは無かった。
※『CloverHeart's』および『CloverDay's』の重大なネタバレを含んでいます。前作未プレイ者のこの感想の閲覧は自己責任でお願いします。
『CloverHeart's(以下「前作」)』『TOYつめちゃいましたっ』の二作に続きプレイした本作『CloverDay's(以下「本作」)』。
前作に引き続き「双子」そして「家族」を描いた本作でしたが、前作をプレイした身としては前作の流れを汲みすぎた様に感じられました。
特に杏鈴ルートにおける杏璃のキスや妊娠騒動、杏莉ルートでの図書室(正確には図書室後の校門だが)でのスキャンダルといったものが「あ、これはわざと前作と同じ流れでやってるなぁ」「どうせ前作と同じ流れで進むんだろうなぁ」とプレイ中何度も思ってしまいました。しかも大体の結末は同じでしたし……。
そして前作の大筋である「主人公(夷月・白兎)が過去を乗り越え、自身の弱さに立ち向かう」といった主人公が成長するといった要素が本作では皆無であった事が気になりました。というよりも正確には本編開始時点で既に主人公は家族や友人達によって自身の弱さに立ち向かった後だからだ。
それぞれのルートで見せる主人公の弱さは作中で語られている通り「決意」が足りていないだけであり、それは母親を死なせてしまっただとか、イジメられていただとか、大切な人と死別したといった重いトラウマの様な大それたものではないのだ。
また主人公の弱さそのものである和の存在を、他のヒロインに語るといった事をヘキル&ヒカル、つばめルート以外で見せていない事も残念でしょうがなかった。母親である紫苑に和の存在を語るシーンを期待していただけに、さらっと和の存在を流されてしまった事もホント残念です。
もう一つ忘れてはいけないのが前作を語るならば絶対に必要なヘドロよりもドロドロとした三角関係である。ぶっちゃけ「ちまりルート」の様に家族友人全ての人間関係を破壊してグチャグチャにした後に歪んだ状態で関係を結び直す昼ドラの純愛ハッピーエンド物を本作では期待していました。というより私自身前作で一番好きなルートが玲亜であり、その次がちまりルートというのが大きい。ちまりルートの何が恐ろs……魅力的か一言で語るなら「どう見ても当事者から見ればBADENDなのに第三者から見れば大団円で終えている」という辺りだ。まぁ結論を述べるなら本作にもルート毎のBADENDが欲しかった。それだけです。
また2ndOPのサプライズも発狂するほど嬉しかったのですが、正直に言ってしまえば間奏のセリフは見せすぎだと感じました。杏鈴OPなんて母親の正体や最後の結末(結婚・手紙関連)まで推測可能なのはどうかなぁと感じましたし、少なくとも前作の様にOP用のセリフを用意しても良かったのでは無いでしょうか。
振り返るとマイナス方面のことしか語っていませんが、キャラクター(グラフィック・声優)や前作との些細でありながらそれでも嬉しくなる関連性。またミュージック関連は最上級でした。『TOYつめちゃいましたっ』の様な本編補完FDじゃなくて後日談的FDの発売を15周年辺りに期待して、最後に前作の作中の言葉で〆たいと思います。
――必然と偶然を積み重ね、人は幸福の四つ葉を探しながら生きていく。
傷つき、傷つけられ、やがて傷痕を愛おしみながら。
痛みを優しさに変えながら。
少年少女が駆けた、青の季節は今幕を閉じるけど。
青い思い出は、いつまでもあなたの中に。――