本校と分校の二部構成、ここまでギミックが違う二つを繋げた事。その二つがどちらもかなりの完成度であったこと。
あまりに違う二部のシナリオに驚いてしまいました。
一応設定上大きな筋道はあるようです。
「大きな力と無力な自分」
しかし驚いたのは、共通しているように見える大テーマが、
思いのほか共通でないこと。
初めは解決法の違いだけだと思っていたんですが、目的そのものも大きくそれていたんですね。
本校では徹底的に
大きな力に蝕まれた、
心の闇の「解凍」
要するにハートフルストーリー。
分校では
大きな力に押さえつけられた、
心の闇に「実体の伴った解決を。」
分校ルートのほうが完成度が高いと言われるのは、
写実主義が理解しやすのと同じ理由だと思いますし、
一方、本校ルートが好きという方も多いのは
誰しも人として共感するところや、憧れるところがあるからでしょうね。
本校では心理描写
分校では経済の工作
どちらもこの業界に於いては出来すぎなくらい光っていたように思います。
そして、文学作品には求められず、この業界の作品に求められる、最も文学センスの必要な要素。
話の中に自然と流れる、
「「雰囲気」」
それらは全て備わっていたように思いました。
一応改善点を挙げるなら、
最終話「遥かに仰ぎ、麗しの」
あれのインパクトが足りなかった気がします。
この青空に、約束を。
の、「約束の日」
くらいに読み手の真理を突いたものだったら、自分の感想はもっと冷静さを失っていたことでしょう(笑)
もしかしたら二人のライターが造ったこの作品の、そこに由来する唯一の失敗点だったのかもしれませんね。
いずれにしてもいい作品だったと思います。